経理責任者が会社のお金を横領して高級車を購入していた事例

経理責任者が会社のお金を横領して高級車を購入していた事例

財産犯

経理責任者が会社のお金を横領して高級車を購入していた事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します

事例解説

京都府下京警察署は、京都市内にあるIT企業の経理責任者の男(50)を、勤務先の現金を横領していた疑いで逮捕した。
男は、業務で銀行からお金を引き出すために払戻請求書と印鑑を手にした際に、事前に手に入れていた白紙の払戻請求書にも捺印を行い、これを銀行窓口に持ち込んで現金を引き出し、私服をこやしていた疑いが持たれている。
男が高級車を複数台所有していること気づいた同僚が不審に思い、取締役に告げたことで調査が入り発覚した。
被害額は5000万ほどにのぼり、会社が被害届を出したため男は逮捕された。
(フィクションです)

業務上横領罪とは

刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

刑法は、横領罪として単純横領罪(刑法252条)、業務上横領罪(刑法253条)、占有離脱物横領罪(刑法254条)を規定しています。
単純横領罪とは、「自己の占有する他人の物を横領」する罪であり、
業務上横領罪とは、「『業務上』自己の占有する他人の物を横領」する罪です。
両罪は、横領した他人の物が『業務上』自己が占有する物であったかどうかで区別されます。
業務上横領罪「業務」とは、金銭その他の財物を委託を受けて占有・保管することを内容とする職業もしくは職務をいうと解されています。

京都府下京警察署によると、本件では、逮捕された男は、会社の経理担当者として、会社のお金を管理する立場にあり、取引先等への支払業務などを行っていたようです。
したがって、男の職務は業務上横領罪における「業務」に該当し、業務上横領罪が成立する可能性があります。

ところで、男は「他人の物を占有」していたと言えるのでしょうか?
窃盗罪などにいう「占有」とは、物に対する事実上の支配を言いますが、横領罪における「占有」とは、物に対する事実上の支配だけでなく法律上の支配も含むと解釈しています(大判大正4年4月9日)。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人のものを処分しうる状態のことを言います

本件について見てみると、男は経理責任者として、印鑑申請さえすれば銀行窓口で現金を引き出すのに使用する払戻請求書を使って会社のお金を引き出すことができたようですから、男は会社の現金という他人の物を占有していたと言えそうです。
仮に、これを勝手に引き出して私的に使用した場合には、業務上横領罪が成立する可能性があります。

そして、本罪の行為は、横領することです。
横領とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、他人の物に対し経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をする行為です(最判24年3月8日)。
本件では、男は、会社のお金を引き出し、高級車などの購入するために使ったようです。
お金を使うことは、その所有者にしか許されない行為ですから、男のした行為は横領に当たる可能性があります。
以上から、本件では業務上横領罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

横領罪は被害者のいる犯罪です。
本件では会社が被害届を提出したことで、事件化し男は逮捕されています。
実際に、被害者が被害届を提出したことをきっかけに捜査機関の捜査が始まることが多いようです。
加害者と被害者は見ず知らずの他人ではなく、元々物を預けるというような関係性があることから、被害弁償がされれば被害届を出さない被害者もいらっしゃるようです。
したがって、きちんと謝罪と被害弁償をすれば被害届が提出されず、事件化を防げる可能性があります。

もっとも、どのような示談内容であれば妥当なのかは法律に詳しくない人にとってはわからないのではないでしょうか。
被害者が、裏切られた怒りから過度な条件を提示してくる可能性もあります。
そこで、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、横領事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分や罪の減軽、執行猶予付き判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

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