チケットの高額転売は処罰対象④~電子計算機使用詐欺罪~

チケットの高額転売は処罰対象④~電子計算機使用詐欺罪~

取調べを受ける男性

チケットの高額転売が社会問題になりつつありますが、罪に問われることはあるのでしょうか。
前回のコラムに引き続き、チケットの高額転売について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都市伏見区に住むAさんは、チケットの転売で利益を得ようと考え、人気アーティストのライブチケットを購入しました。
Aさんはそのチケットをインターネットで転売し、定価の数倍の値段でチケットを高額販売していました。
チケットには、高額転売を禁止することが記載されていましたが、Aさんは許可を得ることなく転売を行いました。
(この話は事実を基にしたフィクションです)

電子計算機使用詐欺罪

インターネットが普及している現代では、チケット窓口に赴き販売員から直接チケットを購入するのではなく、インターネット上でチケットを購入する方が多いかと思います。
Aさんがインターネット上でチケットを購入した場合には、前回のコラムで解説した詐欺罪は成立しません。

刑法第246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

刑法第246条の2では、電子計算機使用詐欺罪が規定されています。
電子計算機使用詐欺罪は簡単に説明すると、コンピューターやオンラインシステムなどに事実とは異なる情報の入力や正しくない指令などを行って、財産や利益を得ると成立する犯罪です。

詐欺罪電子計算機使用詐欺罪の大きな違いは、対象が人かコンピューターかの違いです。
前回のコラムで解説したように、詐欺罪が成立するためには、対象が人でなければなりません。
インターネット上でチケットを購入する場合には、人に対しての欺罔行為(重要な事項について偽る行為)がありません。
ですのので、先ほど触れたようにAさんがインターネットでチケットを購入した場合には詐欺罪が成立せず、電子計算機使用詐欺罪が成立するおそれがあります。

Aさんがインターネット上でチケットを購入する場合は販売サイトに行き、個人情報などを入力して購入することになります。
チケットの転売禁止規定が設けられていた場合、購入を確定する前に、規約などが表示され同意するように求められるはずです。
転売禁止の規定にAさんが同意して購入したのであれば、転売目的で購入したAさんは転売禁止規定に同意したと偽って購入したことになります。
Aさんは、チケット販売サイトのオンラインシステムである電子計算機に、転売禁止規定に同意したという事実とは異なった情報を入力し、財産上不法の利益であるチケットを得たといえます。
ですので、Aさんがインターネット上でチケットを購入した場合には、電子計算機使用詐欺罪が成立する可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
電子計算機使用詐欺罪チケットの不正転売で捜査されている方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら