多頭飼育崩壊で動物愛護法違反

2020-11-12

多頭飼育崩壊で動物愛護法違反

多頭飼育崩壊動物愛護法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市上京区に住んでいるAさんは、猫を飼っていました。
しかし、飼っている猫が繁殖してしまい、合計50匹を超えてAさんの手に負えない状況となってしまいました。
Aさんは餌やりや糞尿の始末も満足にしておらず、Aさんの飼育している猫には痩せてしまったり病気にかかってしまったりしているものもいました。
そうした状況を見た近所の人が異変を感じ、多頭飼育崩壊しているのではないかと役所等に相談。
Aさんの元には何度か役所の職員が訪れ、飼育環境の改善を求めましたが、Aさんは「そんなに増えているわけではない。自分で世話できる」などと話して受け入れず、環境を変えることなく生活していました。
後日、京都府上京警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんは動物愛護法違反で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・多頭飼育崩壊

最近報道などでも目にするようになった「多頭飼育崩壊」とは、動物を多頭飼育している飼い主の管理不足等で異常繁殖等によって動物の数が増えて飼育できない状態になることを指しています。
近年では、この多頭飼育崩壊が問題となり、報道されることも多くなってきています。

・多頭飼育崩壊と動物愛護法違反

動物愛護法(正式名称「動物の愛護及び管理に関する法律」)は2019年に改正され、その改正動物愛護法は2020年6月に施行されました。
この改正動物愛護法の中には、以下のような条文があります。

動物愛護法第44条
第1項 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。
第2項 愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第3項 愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

動物愛護法第44条第1項にあるように、意図的に動物を殺したり傷つけたりするといった動物虐待行為は、当然動物虐待行為となり、動物愛護法違反となります。
今までよく報じられてきた動物虐待といえば、こうしたわざと動物を傷つける行為をするというものが多く、イメージしやすい方も多いでしょう。
こちらの行為については、動物愛護法の改正によって刑罰が重くなり、厳罰化されています。

そして、動物愛護法第44条第2項については、従来あった虐待の例に加え、愛護動物の「身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせる」、「飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させる」といった行為が明文化されました。
餌をやらない、病院に連れて行かない、整えるべき環境を整えないといった、動物愛護法第44条第1項の「わざとやる」虐待行為だけでなく、「やるべきことをやらない」という虐待(いわゆる「ネグレクト」)も含んでいることが特徴です。
このうち、特に「飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させる」といった部分は、今回のAさんのような多頭飼育崩壊のケースも想定している範囲に入ると考えられます。
ずさんな飼育状況により多頭飼育崩壊に陥ってしまえば、動物愛護法違反という犯罪になる可能性も出てくるのです。

ペットを飼育できる環境なのか、飼育するためにどのような設備・対処が必要なのかといったことを考えてペットを飼育することが大前提ですが、もしも手に負えない状態になりそうということであれば、多頭飼育崩壊に陥る前に専門機関や団体に相談することが必要でしょう。

なお、動物愛護法が保護の対象としている「愛護動物」とは以下のように定義されています。

動物愛護法第44条第4項
前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
第1号 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
第2号 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの
※注:「前三項」とは、前述の動物愛護法第44条第1項~第3項のことを指します。

動物愛護法違反は、頻繁に報道される犯罪というわけでもなく、耳慣れない方もいらっしゃるかもしれません。
改正もあったことから、その内容が良く分からないという方も少なくないでしょう。
こうした犯罪の容疑で逮捕されてしまった場合は、専門家である弁護士にアドバイスを求めましょう。
刑事事件に強い弁護士であれば、改正後の情報や見通し、可能な弁護活動について具体的に助言することが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、多頭飼育崩壊による動物愛護法違反事件のご相談も受け付けています。
まずはお気軽にお電話ください(0120-631-881)。