少年事件と試験観察

2020-11-26

少年事件と試験観察

少年事件試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市東山区に住んでいるAさん(高校1年生)は、近所の高校に通うVさんと喧嘩になり、Vさんに対して全治1ヶ月程度の大けがを負わせてしまいました。
Aさんは、喧嘩を目撃していた通行人の通報で駆け付けた京都府東山警察署の警察官に傷害罪の容疑で逮捕され、京都府東山警察署に留置されることとなりました。
実はAさんは、中学生の時にも喧嘩による傷害事件を起こしており、保護観察処分となったことがありました。
またしても同じ傷害事件を起こしてしまったことから今回は少年院送致となるかもしれないと警察官から聞いたAさんの両親は、どうにかAさんを社会内で更生させることはできないかと考え、京都府少年事件を取扱っている弁護士に相談することにしました。
そこでAさんの両親は、少年事件試験観察について弁護士から詳しい説明を聞きました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年事件の終局処分

少年事件では、成人の刑事事件と異なる手続きや処分が取られます。
未成年の者は可塑性、すなわち柔軟性が高く、矯正教育などをすることで更生できる可能性が高いとされているため、少年事件では少年の更生を重視した手続・処分が取られることとなっているのです。

少年事件では、捜査機関が捜査を終了した後は事件は原則として全て家庭裁判所に送られます(全件送致主義)。
これは、少年の更生のためには専門的な立場から少年自身の資質や少年のいる環境について調査することが求められるため、少年事件の専門家がいる家庭裁判所に調査や判断を委ねようというシステムなのです。

少年事件では、基本的にはこの家庭裁判所での調査を経た上で家庭裁判所で開かれる審判を受けることになります。
審判の結果下される処分は、成人の刑事事件で処される刑罰とは異なり、その犯行・非行をしたことへの「罰」というわけではなく、あくまで少年の更生のための処分(保護処分)という扱いです。
例えば、少年院や児童自立支援施設などの施設に送致して今までいた環境から離れて更生を目指す処分(少年院送致・児童自立支援施設送致)や、保護司や保護観察所と定期的に連絡を取りながら社会内で更生を目指す処分(保護観察処分)があります。

少年院送致というと成人の刑事事件でいう刑務所に行くようなものだとイメージされがちですが、前述のようにあくまで保護処分は更生のための処分であるため、刑務所とは性質が異なります。
少年院の中では、生活習慣の矯正や学校で行われるような教育、就業指導・支援など、少年の社会復帰のための活動が行われています。

・試験観察とは?

しかし、少年院送致が少年のための処分であったとしても、少年院に入っている間は社会から切り離されて生活することになります。
一度社会から全く離れてしまうと、少年院から出てきてもなかなかスムーズに社会復帰できないという悩みを抱える方がいることも事実です。
そういったことを避けたいと、少年院送致を回避したい、社会内で更生を目指したいと考える方も少なくありません。

こうした場合に取られる手段の1つとして、試験観察を目指すという活動が挙げられます。
試験観察とは、文字通り、試験的に観察する期間を設ける処分を指します。
試験観察は、審判の場で少年の処分をどういったものにするのかすぐに決められない場合に取られます。
試験観察となった場合、決められた期間を家庭裁判所の観察のもと過ごし、その期間中の少年の生活態度や様子などによって最終的な処分が決められることになります。
この試験観察期間は、少年の自宅で過ごす場合もあれば、民間の協力者や専門施設に指導を委ねてその指定された場所で過ごす場合(補導委託)もあります。

今回のAさんの事例を見てみましょう。
Aさんは以前にも同じような傷害事件を起こして家庭裁判所から保護処分を受けているようです。
すでに社会内でやり直す機会をもらっていたのにまた同じことを繰り返してしまったことから、更生のためには今までの環境と切り離して生活することが必要と判断され、少年院送致となる可能性もあると考えられます。
こうしたことから、少年院送致を避けたいと考えるのであれば、前回よりもより具体的な手段で社会内での更生が可能であることやそのためにAさん本人やその周囲の家族が具体的に行動し続けられることを示していく必要があると考えられます。
ですから、弁護士と共にAさんやその家族で更生のための環境づくりを行うと共に、その成果を家庭裁判所に見て判断をしてもらえるよう試験観察を目指していく活動が有効であると考えられるのです。

ただし、試験観察はあくまでその期間中試験的に少年やその周囲を観察し、その様子によって最終的な処分を決めるものです。
試験観察を目指すことを最終目的としてしまうのではなく、さらにその先も見据えながら、更生できる環境を整えることが重要です。
そのためには、少年事件の専門知識がある弁護士のサポートを受けることが効果的です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、成人の刑事事件だけでなく少年事件の取り扱いも行っております。
京都府の少年事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。