お寺の境内にあるモミジの枝を伐採して窃盗罪の容疑で書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
(中略)寺(京都府東山区)の境内で紅葉したモミジの枝を無断で伐採したとして、京都府警が日本料理店の従業員2人を窃盗容疑で書類送検していたことがわかった。
(2月23日 読売新聞 「京都・建仁寺のモミジを勝手に伐採、二つ星レストラン従業員を書類送検…「料理の飾り用に」」より引用)
昨年11月、男2人が境内でモミジの枝が入った袋を持っているところを目撃され、防犯カメラに枝を切り落とす様子などが映っていた。
京都市内の日本料理店が、料理の飾り用に従業員が伐採したことを認めたが、寺は「同様の被害を抑止したい」として被害届を提出していた。
(後略)
窃盗罪
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
簡単に説明すると、窃盗罪は他人が所有している財物を同意を得ずに盗ると成立します。
今回の事例では、容疑者らがお寺の境内にあるモミジの枝を無断で伐採したとされていますが、モミジの枝は財物にあたるのでしょうか。
窃盗罪が規定している財物とは、刑法的保護に値する財産的価値を有するものを指します。
また、誰が見ても財物といえるような客観的な物だけでなく、主観的な使用価値がある場合も財物にあたります。
今回の事例では容疑者らは料理の飾りつけのためにモミジの枝を伐採したとされています。
容疑者らが盗ったとされているモミジの枝は少なくとも、料理の飾りつけに使用するといった使用価値があるといえますので、モミジの枝は財物にあたると考えられます。
また、境内にあるモミジはお寺の所有物ですので、容疑者らが伐採したとされるモミジの枝もお寺が所有している財物になります。
ですので、報道のとおり、容疑者らが無断で境内のモミジの枝を伐採して盗ったのであれば、窃盗罪が成立します。
書類送検
今回の事例では、容疑者らは窃盗罪の容疑で書類送検されたと報道されています。
書類送検は刑事処分ではなく、事件が警察から検察に引き継がれたということです。
ですので、書類送検されたからといって事件が終了するわけではなく、捜査や取調べは続きますし、捜査の結果次第では正式な裁判が行われたり略式命令により罰金刑が科される場合もあります。
また、書類送検は刑事処分ではありませんので、示談の締結や処分交渉により、不起訴処分を獲得できる可能性があります。
示談交渉は加害者自らが行うことも不可能ではないのですが、加害者と直接、示談交渉を行いたくない被害者の方も多く、加害者自らが示談交渉を行う場合には示談の交渉すらできない可能性があります。
ですが、弁護士が代理人として示談交渉を行うことで、示談に応じてもらえる場合があります。
弁護士が示談交渉を行うことで、トラブルを避けられる場合もありますので、示談交渉を考えている方は一度、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
刑事事件に精通した弁護士による示談交渉や処分交渉により、不起訴処分などのあなたにとってより良い結果を望めるかもしれません。
窃盗罪、その他刑事事件でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。