ロマンス詐欺事件で逮捕されたら
ロマンス詐欺事件で逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、京都府綾部市に住んでいる女性VさんとSNSを通じて知り合うと、海外に住んでいる医者を装い、Vさんと親しくなりました。
そしてAさんは、「日本で一緒に暮らしたい」「私が日本に行ったら結婚しよう」などと話すと、日本への渡航費用が必要だと言い含めて、Vさんから150万円を振り込ませました。
その後、Aさんと連絡がつかなくなったことからロマンス詐欺の被害に遭ったと気が付いたVさんが京都府綾部警察署に相談したことをきっかけに捜査が始まり、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和3年10月1日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・ロマンス詐欺
ロマンス詐欺とは、インターネット上の交流サイトやSNSなどで知り合った相手に対して恋愛関係になったように見せかけ、金銭を騙し取る詐欺の一種です。
ロマンス詐欺の中でも、海外の相手を騙すものを国際ロマンス詐欺などとも呼んだりします。
ロマンス詐欺は、名前に「詐欺」と入っていることからもわかる通り、詐欺罪に該当する犯罪です。
刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪の成立要件は、①「人を欺」くこと、②①に基づいて「財物を交付させ」ることです。
このうち、①の「人を欺」く行為は欺罔行為(ぎもうこうい)とも呼ばれ、相手が②の「財物を交付させ」るに至る重要な事実について偽ることを指します。
つまり、ただ単に相手に嘘をついただけでは①の要件を満たさず、それが嘘であれば相手が②の行為をしないであろうことについて嘘をつかなければ詐欺罪成立の要件を満たさないということです。
ロマンス詐欺の場合、相手に対して恋愛関係になったり、結婚の意思があったりするように見せかけるという部分が①に当たることになるでしょう。
例えば、今回のAさんの事例であれば、AさんはVさんと日本で結婚することをほのめかし、日本への渡航費用に必要だからと150万円を要求し、振り込ませています。
しかし、Vさんからすれば、Aさんが日本でVさんと結婚するための渡航費用という話が嘘であれば、150万円という「財物」をAさんへ引き渡すことはしなかったということになるでしょう。
ですから、今回のロマンス詐欺事件では①の要件が満たされていると考えられます。
さらに、詐欺罪成立の要件である②は、①の欺罔行為によって騙された被害者がそれに基づいて財物を交付することです。
今回の事例を見てみると、VさんはAさんが自分と恋愛関係にあり、自分と結婚する意思があるのだと騙されたことによって、それに基づいてAさんに150万円を渡していることになります。
つまり、詐欺罪成立の要件である②も満たすことになると考えられるのです。
こうしたことから、ロマンス詐欺には詐欺罪が成立すると考えられるのです。
・ロマンス詐欺事件と逮捕
ロマンス詐欺事件では、被疑者が被害者の連絡先を知っていること等から、被疑者と被害者の接触を避けるために、今回の事例のAさんのように逮捕されてしまうことも考えられます。
さらに、ロマンス詐欺の特性上、被疑者と被害者がインターネットを介して連絡を取っていることが多く、被疑者の住所地から離れた警察署に逮捕されてしまうことも大いに考えられます。
そうなると、被疑者の家族などが逮捕に対してすぐに活動を開始できないおそれが出てきてしまいます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都支部を含めて全国13都市にある支部と連携をとりながら刑事弁護活動を行っています。
遠隔地に住む被疑者がロマンス詐欺事件を起こして京都府で逮捕されてしまった、自分は京都府に住んでいるが別の場所で家族が逮捕されてしまったといったご相談にも迅速に対応が可能です。
ロマンス詐欺事件の逮捕にお悩みの際は、まずは遠慮なくご相談ください。