オヤジ狩りで恐喝罪①

オヤジ狩りで恐喝罪①

17歳のAさんは、学校の同級生や先輩たちのグループ数人と一緒になって、夜ごと京都市西京区の路上でいわゆるオヤジ狩りをし、被害者から金品を巻き上げていました。
オヤジ狩りの被害が多発したことを受けて、京都府西京警察署は警戒を強化し、その結果、Aさんらは恐喝罪の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの両親は、これをきっかけにAさんに更生してほしいと思ったものの、そもそもAさんがこの後どういった流れでどのような処分を受けることになるのか、全く分かりません。
さらに、まずはとにかくAさんと話をしたいと警察署に行ったものの、警察からは「逮捕されてすぐは会えません」と言われてしまいました。
困り果てたAさんの両親は、京都滋賀少年事件を多く取り扱っている弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・オヤジ狩りと成立する犯罪

オヤジ狩りとは、少年など比較的年齢層の若い者が中年の男性を標的として襲い、金品を巻き上げることを指します。
オヤジ狩りでは、オヤジ狩りをする方が集団で被害者を脅したり、暴行や凶器を用いて脅したりすることで金品を巻き上げるケースが多いようです。
オヤジ狩りでは一体どういった犯罪が成立するのでしょうか。
以下で成立しうる犯罪を見ていきましょう。

①恐喝罪
上記事例のAさんが容疑をかけられて逮捕されているように、オヤジ狩りで成立する犯罪としては、まず恐喝罪が考えられます。
恐喝罪は、刑法249条に規定されている犯罪です。

刑法249条(恐喝罪)
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

恐喝罪のいう「恐喝」とは、脅迫または暴行を用いて相手を畏怖させ、財物の交付を要求することを言います。

脅迫は害悪の告知(害悪を加えることの告知)、暴行は有形力の行使を言います。

この時、脅迫または暴行の程度が相手の犯行を抑圧しない程度であることが求められます。
そして、この「恐喝」によって畏怖した被害者が財物を引き渡すことによって、恐喝罪は成立します。

オヤジ狩りは被害者を脅して金品を巻き上げる行為ですから、恐喝罪に当たりえます。

②強盗罪
オヤジ狩りで成立する犯罪として、もう一つ考えられるのが強盗罪です。
強盗罪は刑法236条に規定されている犯罪です。

刑法236条(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

強盗罪の「暴行又は脅迫」は、①の恐喝罪とは異なり、相手の反抗を抑圧するに足りる程度であることが求められます。
そして、強盗罪のいう「強取」は、暴行・脅迫によって被害者の反抗を抑圧し、被害者の意思に反して財物の支配を自分(又は第三者)に移すことを指します。
①で取り上げた恐喝罪とこの強盗罪はどちらも暴行や脅迫を用いて他人の財物を手に入れる犯罪ですが、恐喝罪は財物を被害者から交付させるいわゆる「交付罪」であるのに対し、強盗罪は財物を被害者から奪ういわゆる「奪取罪」であるのはこういった理由からです。

さらに、この強盗罪を犯してしまった際に被害者に傷害を負わせてしまった場合には強盗致傷罪、被害者を志望させてしまった場合には強盗致死罪が成立します。

オヤジ狩りでも、暴行・脅迫の程度が被害者の反抗を抑圧するほど強いと判断された場合には、強盗罪が成立することになるでしょう。
暴行・脅迫の程度については、その態様や互いの年齢・人数・性別・体格、犯行の時間帯や場所等、様々な状況を考慮して判断されます。

事例のAさんは20歳未満であることから少年事件の手続きにのっとって処分が決められるため、原則として刑罰を受けることはありませんが、①の恐喝罪も②の強盗罪も非常に重い犯罪です。
「子どもがやんちゃしただけ」と軽く考えず、まずは専門家の弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、成人の刑事事件のみならず、少年事件についても数多くの取り扱いがございます。
まずはお気軽に、お問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
京都府西京警察署までの初回接見費用:3万6,800円)

次回の記事では、Aさんに対してどういった弁護活動・付添人活動が考えられるのか、詳しく見ていきます。

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