お酒に酔っている女性から同意を得たうえで性行為をした事例①

不同意性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
Aさんは会社の部下であるVさんに好意を抱いていました。
AさんがVさんに2人で飲もうと誘ったところ、Vさんが了承をしたことから、2人きりでお酒を飲むことになりました。
飲酒開始から1時間程経った頃にはVさんは呂律も怪しくなるほど酔っ払ってしまいました。
AさんはVさんが2人で飲むことを了承したことや2人きりなのに酔っ払うほど自身に気を許していることから、Vさんも自身に好意を抱いているのだと思い、性行為をしてもいいかVさんにたずねました。
VさんがAさんの提案に同意したため、AさんはVさんと性行為を行いました。
翌日、酔いからさめたVさんが京都府向日町警察署に被害を相談し、Aさんは不同意性交等罪の疑いで逮捕されました。
Aさんは性行為についてVさんから同意を得ていたとして、不同意性交等罪の容疑を一部否認しているようです。
(事例はフィクションです。)
同意を得ていても不同意性交等罪は成立するの?
不同意性交等罪を簡単に説明すると、相手の同意を得ないで性交等にあたる行為をすると成立する犯罪です。
今回の事例では、AさんはVさんに性行為をしてもいいかの確認を取り、同意を得たうえで性行為を行っています。
このような場合でもAさんに不同意性交等罪が成立するのでしょうか。
刑法第177条1項
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
刑法第177条では不同意性交等罪を規定しています。
前条第1項各号とは不同意わいせつ罪を規定する刑法第176条1項を指します。
刑法第176条1項各号は以下のように掲げられています。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
上記の刑法第176条1項1号~8号にあたる行為などにより、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて性交等にあたる行為を行うと不同意性交等罪が成立することになります。
例えば、今回の事例のVさんは飲酒により酔っ払っています。
呂律も回らないほど酔っていたようですから、正常な意思決定ができない状態だった可能性が高いと思われます。
アルコールの影響で正常な判断を行えない状態だったのであれば、Aさんからの性行為の提案について提案されている内容を正確に理解することは難しく、同意しない意思を形成することは困難な状態にあったと考えられます。
ですので、Aさんに不同意性交等罪が成立する可能性があるといえるでしょう。
では、Vさんがアルコールの影響を受けていない場合はどうでしょうか。
結論から言うと、Vさんがアルコールの影響を受けていない場合であってもAさんに不同意性交等罪が成立する可能性があるといえます。
AさんはVさんの上司にあたります。
ですので、VさんはAさんからの提案を断ることによって会社でのAさんの地位が脅かされるのではないかと心配になったかもしれません。
この場合には、刑法第176条1項8号規定の「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」に該当する可能性があり、Aさんに不同意性交等罪が成立する可能性があります。
今回の事例のAさんのように、同意を得ていると思っていても実際には同意を得れておらず、不同意性交等罪が成立する可能性があります。
不同意性交等罪は比較的科される刑罰の重い犯罪だといえます。
早期に弁護士に相談をすることで不起訴処分などより良い結果を得られる可能性がありますので、不同意性交等罪でご不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の無料法律相談をご利用ください。

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