「同じ目に合わせるぞ」と恐喝した疑いで会社員の男性を逮捕
「同じ目に合わせるぞ」と恐喝した疑いで会社員の男性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事例
京都府伏見警察署は、京都市伏見区内のマンションに住む会社員の男性Aを逮捕した。
Aは、ロードバイクに乗ることを趣味にしており、マンションの1階の駐輪所に自身のロードバイクを置いていた。
Aのマンションの駐輪所は、簡単な屋根はあったものの雨風を完全に凌げるわけではなかったため、台風が襲来した折に、マンションの自転車はドミノ倒し状態となってしまった。
台風が過ぎ去り、サイクリングに出かけようとしたAは、自分のロードバイクが、同マンションの住人である男子大学生Vのママチャリが覆い被さる形で倒れているのを発見し、状態を確認したところ、本体フレームに目立つ傷ができてしまっていた。
大切にしていたロードバイクに傷がついたAは、ちょうど駐輪所にやってきたVに対し、「お前の自転車のせいで、俺のロードバイクが傷ついたやないか!弁償しろ!10万払え!払わないなら同じ目に遭わすぞ!」と言って3万円を脅し取った。
後日、Vが被害届を京都府伏見警察署に提出したところ、Aは逮捕された。
(フィクションです)
恐喝罪とは
刑法249条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
本件で、Aは大切にしていたロードバイクが、台風で倒れたVの自転車によって傷ついてしまったため、弁償と称してVに対して10万円を要求し3万円を差し出させたようです。
AはVに対して、3万円という財物を自身に交付させていますから、Aの発言が恐喝に当たる場合には、恐喝罪が成立する可能性があります。
恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、Aは、Vに対して弁償と称して10万円を要求し、支払わないのであればVを自転車と同じ目に遭わすと脅したようです。
傷ついたロードバイクと同じ目に遭わすというのは、要するに、Vを痛めつけると言っているのと同じですから、Aの発言は、財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです(①)。
次に、Aの発言は社会通念上一般に反抗を抑圧するに至らない程度かどうかが問題となります(②)。
反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金、時計、宝石あるもの全部出せ」などと脅すような場合がこれに当たります。
この場合、言われた通りお金などを差し出すほかないでしょうから、反抗を抑圧する程度の脅迫と言えます。
本件Aは、Vに対し、損傷したロードバイクと同じ目に遭わす(=Vを痛めつける)と脅しているので、Vとしては恐怖を感じたと思われますが、Aはナイフのような凶器を持っていた訳でもないので、成人男性であるVにとって反抗をすることが困難であったとまでは言えない可能性があります(②)。
以上より、Aの発言は、恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
恐喝罪を犯した場合、示談を成立させられなかった場合には、執行猶予がつかない可能性が高まります。
というのは、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役であるのに対し、執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つであり、示談の成立は量刑の判断に影響するからです。
仮に執行猶予がつかなかった場合、刑務所の中で服役することなり大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇や退学処分となることが珍しくありませんから、示談を締結できるかどうかが非常に重要となります。
本件では、Aは逮捕されていますから、自分で示談交渉をすることが難しいですが、仮に逮捕されていなかったとしても、加害者自ら示談交渉を行うのは得策ではありません。
恐喝の被害者は加害者に脅されて金銭などの財物を無理やり差し出させた相手なわけですから、加害者のことを怖いと思っているでしょう。
したがって、加害者本人が謝罪するために連絡してきたとしても応じてくれない可能性が高いです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任することをおすすめします。
加害者本人ではなくその弁護士相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決や不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談などのご予約のお電話は0120-631-881で承っています。