向日市の公衆トイレで建造物侵入盗撮事件
向日市の公衆トイレでの建造物侵入盗撮事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都府向日市に住むAさん(高校2年生)は,アダルトサイトを見ているうちに,自分でも盗撮をしてみたいと考えるようになりました。
そこでAさんは,近所にある公園の公衆トイレに盗撮カメラを仕掛けて盗撮をしようと考え,自宅近くにある公園の女子トイレに侵入してカメラを設置しました。
しかし後日,Vさんがトイレを利用しようとした際,Aさんが仕掛けたカメラを発見し,京都府向日町警察署へ通報しました。
捜査の結果,Aさんは京都府向日町警察署の警察官に建造物侵入罪と京都府迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
今回のAさんは,建造物侵入罪と京都府迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されていますが,この2つの犯罪についてみていきましょう。
~建造物侵入罪~
正当な理由がないのに建造物に侵入した者には,建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立し,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられます。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
建造物侵入罪の対象となる「建造物」は,住居と邸宅以外の建物を広く含みます。
ですから,今回Aさんが立ち入った公園の女子トイレも「建造物」に当たると考えられます。
そして,建造物侵入罪の「侵入」とは,管理権者の意思に反した立ち入りをいいます(最決昭和31年8月22日)。
Aさんは,盗撮目的という不当な目的で女子トイレに入っています。
そのような立ち入りは,公園の管理権者の意思に反するものといえるでしょう。
こうしたことから,Aさんの行為は建造物侵入罪に当たると考えられます。
~京都府迷惑防止条例違反~
京都府迷惑防止条例では,盗撮行為自体はもちろんのこと,盗撮するためにカメラを設置したり差し出したりする行為も禁止しています。
京都府迷惑防止条例3条2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1号 みだりに,着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
2号 みだりに,前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み,又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
※注:「前項に規定する方法」とは,「他人を著しく羞恥させ,又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指します。
今回,Vさんはトイレを利用する前にAさんの盗撮カメラに気づいたためにおそらくVさんの下着等については盗撮ができていないでしょう。
しかし,このように盗撮行為自体ができていない場合であっても,上記の京都府迷惑防止条例によって規制されているのです。
今回のAさんも,女子トイレ内に盗撮用のカメラを設置していますから,「着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等」しているといえます。
そのため,Aさんは京都府迷惑防止条例違反になると考えられるでしょう。
~少年の盗撮事件と弁護活動~
少年の盗撮事件の場合,性犯罪であるために,少年自身が保護者に犯行について話したくないがために否認してしまったり,保護者の手前正直な理由や態様を話せなかったりすることもあります。
少年事件では,少年が再犯をしないために,更生をするためにどのような処分とすべきかが重視されます。
そのため,少年が事件について周囲ときちんと話し合えないということは,この更生のための環境を作る上でデメリットとなってしまう可能性が出てきます。
ですから,そういった場合には,第三者的立場であり,さらに少年事件の知識のある弁護士がサポートとして入ることに効果が期待できるのです。
第三者であるからこそ,少年が相談しやすい立場であり,少年事件の手続きの上でもアドバイスを送ることができます。
また,少年事件といえど,被害者の方に対する謝罪や弁償を行うこと,示談締結は大切なことです。
建造物侵入罪の示談の相手方は建造物の管理者となりますが,今回のVさんのように実際に盗撮被害に遭いそうになった女性がいるような場合には,そのような実質的な被害者と示談することもあり得ます。
こうした被害者や被害に遭いそうになった方への謝罪により,少年自身やその家族が事件について受け入れ,反省していることを示すことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では,少年事件についてのご相談・ご依頼も承っております。
まずはお気軽にご連絡ください(0120-631-881)。