京都府舞鶴市の大麻輸入麻薬特例法違反事件③
~前回からの流れ~
Aさんは、京都府舞鶴市で、X国から大麻を輸入し、その大麻を販売して利益を得ることを数年の間繰り返していたことから、京都府舞鶴警察署に、麻薬特例法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
Aさんは、弁護士との接見(面会)を重ねる中で、麻薬特例法違反で起訴され、有罪となった場合、懲役刑や罰金刑の他に「没収」や「追徴」という処分を受ける可能性があるという話を聞きました。
そこでAさんは、それらが一体どういった処分なのかを弁護士に詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・麻薬特例法違反事件で受けうる処分
前回の記事では、大麻取締法違反と麻薬特例法違反がどういった点で異なるのか、どういった違いから成立が分かれるのかに触れました。
今回の記事では、麻薬特例法違反となった場合に受ける可能性のある処分について取り上げます。
まず、Aさんのような業として大麻輸入行為をしたという麻薬特例法違反で有罪となった場合には、「無期又は5年以上の懲役及び1,000万円以下の罰金」に処せられることになります。
これに加えて、Aさんが弁護士から聞いたように、「没収」や「追徴」という処分を受ける可能性があります。
麻薬特例法11条1項
次に掲げる財産は、これを没収する。
ただし、第6条第1項若しくは第2項又は第7条の罪が薬物犯罪収益又は薬物犯罪収益に由来する財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産に係る場合において、これらの罪につき第3号から第5号までに掲げる財産の全部を没収することが相当でないと認められるときは、その一部を没収することができる。
1号 薬物犯罪収益(第2条第2項第6号又は第7号に掲げる罪に係るものを除く。)
2号 薬物犯罪収益に由来する財産(第2条第2項第6号又は第7号に掲げる罪に係る薬物犯罪収益の保有又は処分に基づき得たものを除く。)
麻薬特例法12条
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第14条及び第15条の規定は、前条の規定による没収について準用する。
この場合において、組織的犯罪処罰法第14条中「前条第1項各号又は第4項各号」とあるのは、「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律第11条第1項各号又は第3項各号」と読み替えるものとする。
※組織犯罪処罰法14条
前条第1項各号又は第4項各号に掲げる財産(以下「不法財産」という。)が不法財産以外の財産と混和した場合において、当該不法財産を没収すべきときは、当該混和により生じた財産(次条第1項において「混和財産」という。)のうち当該不法財産(当該混和に係る部分に限る。)の額又は数量に相当する部分を没収することができる。
※組織犯罪処罰法15条1項
第13条の規定による没収は、不法財産又は混和財産が犯人以外の者に帰属しない場合に限る。
ただし、犯人以外の者が、犯罪の後情を知って当該不法財産又は混和財産を取得した場合(法令上の義務の履行として提供されたものを収受した場合又は契約(債権者において相当の財産上の利益を提供すべきものに限る。)の時に当該契約に係る債務の履行が不法財産若しくは混和財産によって行われることの情を知らないでした当該契約に係る債務の履行として提供されたものを収受した場合を除く。)は、当該不法財産又は混和財産が犯人以外の者に帰属する場合であっても、これを没収することができる。
麻薬特例法13条1項
第11条第1項の規定により没収すべき財産を没収することができないとき、又は同条第2項の規定によりこれを没収しないときは、その価額を犯人から追徴する。
つまり、薬物犯罪の犯罪行為により得た財産や、その財産を使って得た財産は「没収」され、「没収」が不可能な場合には「追徴」されることになるのです。
「没収」とは、その物の所有権をはく奪し、国庫に帰属させることを言います。
すなわち、その物を取り上げて、国のものとしてしまう、ということです。
「追徴」とは、「没収」ができない場合に、その物の価額を強制的に納付させることを言います。
ですから、Aさんの場合、懲役刑や罰金刑だけでなく、大麻輸入やその大麻の販売によって得た利益について「没収」や「追徴」をされることになると考えられるのです。
このように、実は刑事事件の処分は犯罪によって様々で、どういった処分が見込まれるのかは成立した犯罪やその詳しい内容によります。
しかし、こうした見通しがなければ、どういった処分を目指していくか、争うべき事柄が何かという方針が立てられないこともあります。
だからこそ、刑事事件に巻き込まれてしまった時、刑事事件に悩んだ時には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
弊所の弁護士は、刑事事件専門の弁護士として、ご相談者様のお悩みに真摯に対応いたします。
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