京都の盗撮事件で逮捕②

京都の盗撮事件で逮捕②

~前回の流れ~
Aさんは、京都市上京区にある駅構内で、
①女性客Vさんのスカートの中を、スマートフォンを差し入れることで盗撮しました。
②駅にある女性用トイレに入り、個室内に盗撮用カメラを仕掛け、女性客がトイレを利用する様子を盗撮しました。
Aさんは他の利用客から京都府上京警察署に通報され、盗撮事件の被疑者として逮捕されることになりました。
Aさんの家族は、接見を依頼した弁護士から盗撮事件の詳細を聞くと同時に、どういった部分がどの犯罪にあたるのか説明を受けました。
(※この事例はフィクションです。)

前回の記事では、駅でスマートフォンを利用した①の盗撮の手口がどういった法律・条例のどの部分に違反することになり得るのかを詳しく見ていきました。
今回の記事では、②のような、トイレ等にカメラを設置して盗撮する手口の盗撮事件についてみていきます。

・②の盗撮の手口

トイレなどに盗撮用のカメラを仕掛けて盗撮する手口の盗撮事件も、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に寄せられる盗撮事件のご相談によくみられるケースです。
こうした盗撮事件の場合にも、まず考えられるのは各都道府県の迷惑防止条例違反の成立です。
京都府の場合、前回の記事で挙げた迷惑防止条例3条の中に、こういった盗撮の手口に対応した規定があります。

京都府迷惑行為防止条例3条3項
何人も、みだりに、公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある他人の姿態を撮影してはならない。

駅のトイレは、利用する人を特定せずみんなに開放されているものですから、「公衆便所」といえるでしょう。
そこでトイレを利用する様を盗撮しているのですから、「公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある他人の姿態」を撮影しているといえます。
こうしたことから、Aさんの②の盗撮行為には京都府迷惑行為防止条例3条3項違反が成立すると考えられます。
この条文の刑罰は、先ほど紹介した①の迷惑防止条例違反と同様に、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっています(京都府迷惑行為防止条例10条2項)。
そして、こちらも同様に、常習的にこうした盗撮行為をしていた場合にはさらに重い刑罰が下されることになっています(京都府迷惑行為防止条例10条4項)

なお、こうした盗撮カメラをトイレ等に設置する態様の盗撮事件では、状況によっては迷惑行為防止条例違反ではなく、刑法の建造物侵入罪が成立することもあります。

刑法130条(建造物侵入罪)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪では、その建造物の管理者の意思に反して建造物に入ることで「侵入」したと考えられます。
例えば、トイレに入る際、盗撮目的であれば、管理者としてはトイレに入ることを許可することはしないでしょう。
さらに、盗撮目的でトイレに入るのであれば、「正当な理由」とも言えません。
こうしたことから、カメラを設置する態様での盗撮事件では、管理者の意思に反してトイレに侵入したとして、建造物侵入罪が適用されることもあるのです。

前回から見てきたように、名称としては同じ「盗撮事件」であったとしても、その手口によって該当する法律・条例の部分が異なったり、成立する犯罪が異なったりします。
容疑を否認している場合はもちろん、盗撮を認めている場合であっても、自分にどういった法律・条令のどの部分に違反した容疑なのか把握しておくことは、冤罪や不当に重い処罰を避けるためにも非常に重要です。
京都府盗撮事件にお困りの際は、刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら