京都のメイド喫茶で風営法違反に?①
Aさんは、京都府向日市内でメイド喫茶を経営していました。
Aさんの経営するメイド喫茶では、メイドに扮した従業員が、飲食する客の隣につきっきりで付添い、一緒に飲食や談笑し、サービス内容によっては、食べ物を口元に運んでもらう、いわゆる「あ~ん」ができたり、メイドに扮した従業員とゲームをしたり、体を密着させて写真を撮ったりすることができました。
こうしたサービスからAさんの経営するメイド喫茶は人気店とされていたのですが、ある日、Aさんは京都府向日町警察署から、「この店は風営法上の風俗営業の許可を受けていない店なので接待行為はやめるように」と連絡を受けました。
Aさんは、「メイド喫茶なのだから、キャバクラ等の風俗営業とは別物だ。だから今のままで特に何も必要ないはずだ」と考え、許可を受けることはせず、そのままメイド喫茶の営業を続けました。
すると、後日京都府向日町警察署の警察官がAさんの店にやってきて、Aさんは風営法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・無許可営業と風営法違反
風営法は、正式名称「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という法律で、その名前の通り、風俗営業等の規制や、その業務の適正化について規定している法律です。
略称としては、風営法のほか、風適法、風俗営業法等とも呼ばれています。
さて、この風営法には、風俗営業をする際には許可を受けなければならないという規定が存在します。
風営法3条1項
風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第1項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
このように許可を必要としているのは、風営法の目的である「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持」することや「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」ことに反する風俗営業をさせないようにするためです。
そして、この風営法の規定に反し、許可を受けずに風俗営業を行うと、風営法違反という犯罪になり、刑罰の対象となります。
風営法49条
次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1号 第3条第1項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだ者
・風営法の「風俗営業」
では、営業に許可が必要とされる「風俗営業」とは、どのようなものを指すのでしょうか。
風営法上の定義を確認してみましょう。
風営法2条1項
この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
1号 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
2号 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
3号 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
4号 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
5号 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
このうち、Aさんが営業していたメイド喫茶が当てはまりそうなものは、風営法2条1項1号の風俗営業でしょう。
次回の記事では、具体的にどういった営業がこの風俗営業に当てはまるのか、Aさんのメイド喫茶はそれに当てはまるのか、詳しく検討していきます。
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