キャバクラで無銭飲食したらどうなるの?

キャバクラで無銭飲食をしたとして、詐欺罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

祇園のキャバクラで246万円分の無銭飲食をしたとして、京都府東山警察署は自称会社経営の男性(50)を詐欺罪の疑いで逮捕した。
男は、最初から支払いの意思がないにもかかわらず、祇園にあるキャバクラ店「まいこ祭り」に入店し、シャンパン数十本を注文した疑いがかけられている。

(2021年4月14日神戸新聞「出所翌日、一晩で63万円の無銭飲食 容疑で男逮捕」を参考にしたフィクションです。)

無銭飲食をすると何罪になる?

本件では、無銭飲食をした男が詐欺罪に問われています。
詐欺罪を規定する刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」としています。
「人を欺いて財物を交付させた」というのは、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が交付行為を行い、④その交付行為により財物が行為者に移転する、ということを意味します。

欺罔行為とは?

嘘をつく行為が全て、詐欺罪となりうる欺罔行為となるわけではありません。
詐欺罪となりうる欺罔行為とは、財物の交付に向けて人を錯誤に陥らせることをいい、その内容は財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることであるとされています。

本件では、男は店員に対して「飲み食いした分の料金を払うつもりだ」と明確に嘘をついたわけではなく、店員が勝手に料金を支払ってもらえると勘違いしたようです。
支払の意思がないことを店員に告知しなかったという点をとらえて、本件は不作為による欺罔行為のケースと思われるかもしれません。
※被害者がすでに錯誤に陥っていると知りながら、真実を告げない行為を不作為による欺罔行為といいます。
例えば、生命保険を契約する際に、今までにかかったことのある病気を申告しなかった場合などが、不作為による欺罔行為にあたります。

しかし、常識的に考えれば注文時に代金を支払うと明言しなくても、注文すれば当然、注文した分の代金を後で払うことを意味するでしょう。
したがって、社会通念上、男の行為は注文という作為によって、店員を「男が注文した分の代金を払ってくれる」という錯誤に陥れたということができます。
そして、代金を払ってもらえることは財物を交付(シャンパン等の提供)するうえで、大前提となる重要な事項です。
以上より、代金を支払うつもりがないことを秘してシャンパンを注文した行為は、欺罔行為と言えるでしょう。

実際に、最高裁の昭和30年7月7日決定も、所持金がなく、支払い意思もないのに料亭で宿泊、飲食した行為は、宿泊と飲食をした際に詐欺罪が既遂に達する=支払いの意思なく注文をする行為は欺罔行為にあたると解釈しており、支払い意思のない状態での飲食店での注文は作為による欺罔行為だと認定しています。

欺罔行為に続く因果経過

上述のように、詐欺罪が成立するためには、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が交付行為を行い、④その交付行為により財物が行為者に移転する、という因果経過が必要です。

本件では、代金を支払うつもりがないことを秘してシャンパンを注文し(①)、それにより被害者が注文分の料金を支払ってもらえると錯誤に陥り(②)、その錯誤に基づき被害者が男にシャンパン等を提供しており、これが交付行為に該当します(③)。
そしてこの交付行為によって、シャンパンという財物が被害者から男に移転しています(④)。
したがって、本件では詐欺罪が成立する可能性が高いと言えます。

弁護士に相談を

詐欺罪は被害者のいる犯罪です。
被害者との間で示談を成立することができれば、不起訴処分となる可能性があります。
起訴された場合にも示談が成立していることは、罪の減軽執行猶予付判決の獲得につながる可能性が高いです。

もっとも、本件のように、詐欺罪の容疑がかけられると逮捕されることが少なくなく、逮捕された状態で、示談を進めること非常に困難ですし、被害者が示談交渉に応じてくれるとも限りません。
そこで、弁護士に示談交渉をお任せすることをおすすめします。
加害者と直接示談交渉することに抵抗を感じる被害者でも、弁護士が相手であれば、示談交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、詐欺事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分罪の減軽執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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