コカインと覚せい剤を間違えて所持したら?①
滋賀県東近江市に住んでいるAさんは、コカインを使ってみたいと思い、インターネットでコカインを販売しているというBさんに連絡を取り、お金を渡して薬物を譲り受けました。
ある日、滋賀県東近江警察署の警察官が令状をもってAさん宅に家宅捜索に訪れ、Aさんの持っていた薬物を発見しました。
そこで、AさんはBさんから譲り受けた薬物をコカインだと思い込んで所持していたのですが、警察の捜査でその薬物が覚せい剤であったことが発覚しました。
Aさんは違法薬物を所持していたとして逮捕されてしまったのですが、Aさんは、「自分はあくまでコカインを所持している認識しかなかった。だが実際に持っていたのは覚せい剤だった。自分はいったいどういった犯罪で裁かれるのだろう」と不安に思い、家族の依頼で接見に訪れた京都府・滋賀県の刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※最決昭和61.6.9を基にしたフィクションです。)
・コカイン所持
コカインは、コカの木から取れる有機化合物で、局所麻酔薬にも使われているもので、日本では、麻薬取締法(正式名称:麻薬及び向精神薬取締法)で麻薬として所持等の行為を規制されています。
コカインには、覚せい剤に似た中枢神経興奮作用もあり、摂取によって爽快感や興奮を得られるとされていますが、そうした作用の持続時間が短いことから使用頻度が高くなり、依存症になりやすいとも言われています。
また、コカインの過剰摂取は、心疾患や脳の損傷を引き起こす可能性があり、他の違法薬物同様、危険な薬物であるといえるでしょう。
上述の通り、コカインの所持は麻薬取締法によって規制されています。
麻薬取締法66条
ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に該当する者を除く。)は、7年以下の懲役に処する。
麻薬取締法では、麻薬をジアセチルモルヒネ=ヘロインとそれ以外に分けて罰則を定めています。
ヘロイン以外の麻薬であるコカインは、このように所持しているだけでも7年以下の懲役という大変重い刑罰を受けることになります。
なお、コカインの所持目的が自分で摂取するためなどの目的ではなく、営利目的であった場合には、さらに重い刑罰が下されます。
・覚せい剤所持
覚せい剤とは、精神刺激薬の一種で、脳神経に作用して心身の働きを一時的に活性化させる薬です。
しかし、乱用によって依存症になったり、幻聴・幻覚を引き起こしたり、過剰投与によって死亡してしまったりするケースも多く、日本では覚せい剤取締法によってその所持等が規制されています。
覚せい剤取締法41条の2
覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
こちらも、先ほどのヘロイン同様、所為しているだけで犯罪となりますし、所持の目的が営利目的であった場合には、さらに重い刑罰が科されることになります。
・違法薬物の所持と逮捕
今回のAさんのように、コカインや覚せい剤といった違法薬物の所持事件では、逮捕・勾留による身体拘束を伴う捜査が行われることが非常に多いです。
それは、違法薬物という証拠物が簡単に隠滅できてしまったり、売人等の関係者が複数にわたる可能性があったりするという事件の性質によります。
Aさんのように、令状を持った警察官がやってきて家宅捜索されるというケースも珍しくありません。
逮捕や家宅捜索は突然なされることも多いうえ、日常的に関わる機会のない強制手続きでしょうから、被疑者本人はもちろんのこと、その周囲の家族や友人の方も大きく戸惑われることが予想されます。
どうしていいのか分からない、何が分からないかも分からない、という状況であれば、まずは専門家である弁護士を頼りましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、コカインや覚せい剤を含む違法薬物所持事件のご相談・ご依頼も多く承っています。
逮捕に迅速に対応するための初回接見サービスも行っていますから、違法薬物所持事件にお困りの方にも安心してご相談いただけます。
お問い合わせは0120-631-881でいつでも行っていますので、お気軽にお電話ください。
次回の記事では、Aさんのケースについて詳しく触れていきます。
(滋賀県東近江警察署までの初回接見費用:4万2,500円)