(事例紹介)産業廃棄物の不法投棄事件

(事例紹介)産業廃棄物の不法投棄事件

~事例~

京都府警生活保安課と宇治署は16日、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、土地開発会社(大阪市中央区)社長の男(62)=大阪府吹田市=ら男3人を逮捕した。

3人の逮捕容疑は共謀して昨年9月17日夕、京都府宇治市西笠取の山中で、ダンプカーに積んだ石こうボードなど約4トンを投棄した疑い。
(※2022年2月16日21:25京都新聞配信記事より引用)

~産業廃棄物の不法投棄事件~

産業廃棄物不法投棄事件は度々問題となり、今回挙げた事例のように、被疑者が逮捕され、報道されることもあります。

不法投棄は、一般に廃棄物処理法と呼ばれる法律に違反する犯罪です。
一般の家庭で出たごみを、定められた処理方法以外で捨ててしまう(例えば、他人の土地に勝手に置いてくるなど)ケースでも不法投棄として廃棄物処理法違反になりますが、今回の事例のような産業廃棄物を会社ぐるみで不法投棄したといったケースでは、その不法投棄の量や頻度などが多い/高いことが多く、その撤去や回復費用も高額となることが予想されることもあり、より悪質性が高いと考えられ、世間の注目を集めることも多いです。

産業廃棄物の不法投棄事件としては、過去にも以下のようなケースが見られます。

・約16年間にわたって90万トン超の産業廃棄物を瀬戸内海にある小島に不法投棄していたケース(いわゆる「豊島事件」)
不法投棄をしていた会社が廃棄物処理法違反に問われ、不法投棄をしていた会社が罰金50万円、その会社の経営者が懲役10月執行猶予5年という判決を受けました(神戸地判平成3.7.18)。
このケースは、不法投棄事件として問題となった初期の事件であり、戦後最大級の不法投棄事件などとも呼ばれたようです。

・約3ヶ月の間に産業廃棄物約1トンを工場の敷地内の穴に捨てる予定で積み上げたというケース
このケースでは、穴の横に産業廃棄物を積み上げたという行為にういて、「その態様、期間等に照らしても、仮置きなどとは認められず、不要物としてその管理を放棄したものというほかはないから、これを本件穴に投入し最終的には覆土するなどして埋め立てることを予定していたとしても、法16条にいう『廃棄物を捨て』る行為に当たるというべきである。」「産業廃棄物を野積みした本件各行為は,それが被告会社の保有する工場敷地内で行われていたとしても、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るという法の趣旨に照らし、社会的に許容されるものと見る余地はない。したがって,本件各行為は、同条が禁止する『みだりに』廃棄物を捨てる行為として同条違反の罪に当たる」と判断され、廃棄物処理法違反で有罪とされました(最決平成18.2.20)。

・3日間で約50トンの産業廃棄物を埋め立てて不法投棄するなどしたケース
このケースでは、不法投棄をしていた会社に罰金1000万円が、不法投棄していた会社の代表取締役に懲役2年及び罰金50万円が科されました(札幌地判平成16.12.1)。

先ほど紹介した豊島事件などを経て不法投棄についての議論が行われ、現在では不法投棄はより厳しく罰せられるようになったといえるでしょう。
前述したように、不法投棄事件では産業廃棄物の撤去などの対応も考えなければならず、当事者だけで問題解決に動くことは困難が予想されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、様々な刑事事件を取りあつかう弁護士が、不法投棄事件についてもご相談を受け付けています。
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