(事例紹介)フィギュアの「魔改造」で著作権法違反に

(事例紹介)フィギュアの「魔改造」で著作権法違反に

~事例~

人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の女性キャラクターのフィギュアの頭部を、別の胴体に取り付けて販売したとして、京都府警生活保安課と右京署は18日、著作権法違反の疑いで、岡山県の50代のアルバイト男を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。
(中略)
逮捕容疑は、2020年6月と10月、著作権を持つアニメ制作会社の許可を得ずに、女性キャラクター「惣流・アスカ・ラングレー」の頭部と、別の胴体を組み合わせたフィギュア2点を、ネットを通じて計約2万円で2人に販売した疑い。
(※2022年5月18日12:01京都新聞配信記事より引用)

~フィギュアの「魔改造」と著作権法違反~

今回の事例で行われたように、既製品のフィギュアの頭部を切り離したり、他のキャラクターとつなぎ合わせたりすることを「魔改造」と呼ぶそうです。
今回はこの「魔改造」されたフィギュアを販売したという行為が著作権法違反に問われたということになります。

著作権法では、「著作権」以外にも「著作者人格権」という権利を保護しています。
著作者人格権」とは、
・著作者が未発表の著作物の公表の有無や公表時期、公表方法などを決める権利である「公表権」(著作権法第18条)
・著作者が著作品に自分の実名や変名を表示させるかどうか決める権利である「氏名表示権」(著作権法第19条)
・著作者がその著作品に関して同一性を保持する権利=勝手に変更など改変されない権利である「同一性保持権」(著作権法第20条)
・著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為をされない権利(著作権法第113条第11項)
といった内容の権利です。
大まかにまとめると、「著作者人格権」とは、著作者が精神的に傷つけられない権利をまとめたものであるといえます。

そして、著作権法では、以下のようにして、「著作者人格権」を侵害したものを、その事情を知って販売することを著作者人格権の侵害行為とみなすとしています。

著作権法第113条第1項
次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
第2号 著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を、情を知つて、頒布し、頒布の目的をもつて所持し、若しくは頒布する旨の申出をし、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもつて所持する行為

今回の事例のようなフィギュアの「魔改造」は、先ほど挙げた「著作者人格権」のうち、著作者の意に反して著作品を改変されない権利である「同一性保持権」を侵害する行為であると考えられます。
報道でも、著作権をもつアニメ制作会社の許可を得ずにフィギュアを切り離しつなぎ合わせるという改造=改変行為をしているとされています。
ですから、その「著作者人格権」を侵害する「魔改造」をしたフィギュアを、「魔改造」されたものであると知りながら販売した行為は、著作権法第113条第1項第2号に違反する著作権法違反となると考えられるのです。
著作者人格権を侵害した場合、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされています(著作権法第119条第2項第1号)。

著作権という言葉は周知されているかもしれませんが、著作権法がどういった権利を保護しており、どのような行為が著作権法違反になるのかということを分かるという方はまだまだ少ないでしょう。
だからこそ、著作権法違反事件でご自身やご家族が当事者となった時、どのような容疑をかけられているのか、今後の見通しや手続きがどういったものなのか自分達だけでは理解できないということも予想されます。
こういった時こそ、法律の専門家である弁護士の力を借りましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を多数取り扱う弁護士が、著作権法違反事件などの特別法に関連した刑事事件についてもご相談・ご依頼を承っています。
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