京都市中京区のマッサージ店で性的サービスを提供した疑いで、風営法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
京都府警生活保安課と中京署は11日、風営法違反(無届け、禁止区域内営業など)の疑いで、京都市中京区のマッサージ店経営の女(中略)と従業員の女2人=いずれも中国籍=を逮捕した。
(4月12日 京都新聞 「京都市内のビルで性的サービス違法提供か 中国籍の女3人逮捕、容疑を否認」より引用)
中京署によると、経営者の女は「性的なマッサージをするよう指示していない」と容疑を否認し、他の2人も否認しているという。
3人の逮捕容疑は、(中略)府公安委員会に届け出ずに性風俗店の営業禁止区域や営業禁止地域となっている中京区のビルの店舗内で、男性客3人に性的サービスを提供して店を営んだ疑い。
店舗のある性風俗営業店
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」といいます)では、以下に該当する営業を「店舗型性風俗特殊営業」と規定しています。(風営法第2条6項)
・浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
・個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業
・専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場として政令で定めるものを経営する営業
・専ら異性を同伴する客の宿泊の用に供する政令で定める施設を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業
・店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業
・前各号に掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの
今回の事例では、容疑者らが経営、勤務している、京都市中京区のマッサージ店で、性的サービスを提供したとされています。
報道だけでは詳しい内容はわからないため推測にはなりますが、当該店舗はマッサージ店であることから、店舗の中には個室が設けられており、マッサージを行う際はその個室内で施術が行われていたのではないでしょうか。
もしも店舗内には個室が設けられており、その個室内で性的サービスが行われていた場合、個室内で異性の客の性的好奇心に応じて接触する役務を提供する営業は「店舗型性風俗特殊営業」になりますので、今回の事例の営業形態が「店舗型性風俗特殊営業」に該当する可能性があります。
性風俗営業の届出と禁止区域
今回の事例の営業形態が「店舗型性風俗特殊営業」にあたる可能性があると書きましたが、今回の事例が店舗型性風俗特殊営業に該当していた場合、風営法違反は成立するのでしょうか。
店舗型性風俗特殊営業を行う場合には、必要事項を記載した届出書を公安委員会へ提出する必要があります。(風営法第27条1項)
ですので、届出を出さない場合などは、店舗型性風俗特殊営業を行えません。
また、店舗型性風俗特殊営業には禁止区域があります。
官公庁施設や学校、図書館、児童福祉施設などの周囲200メートルの区域内や、条例などで定められた地域内では、店舗型性風俗特殊営業を行うことができません。(風営法第28条1項、2項)
今回の事例では、容疑者らは、京都府公安委員会に届け出ずに性風俗店の営業禁止区域や営業禁止地域内で性的サービスを提供したとされています。
届け出を提出しなければ店舗型性風俗特殊営業は行えませんし、禁止区域や禁止地域内であれば店舗型性風俗特殊営業は禁止されています。
ですので、報道の通りに、容疑者らが届出を行わずに禁止区域や禁止地域内で性的サービスを提供していたのであれば、風営法違反の罪が成立する可能性があります。
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次回のコラムでは、届出を出さなかった場合や、禁止区域・地域内で営業した場合に、風営法違反で有罪になった場合の量刑、風営法違反の嫌疑をかけられた場合の弁護活動についてご紹介します。