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私物の電動キックボードを傷つけられた男が3万円を脅し取った疑いで逮捕
私物の電動キックボードを傷つけられた男が3万円を脅し取った疑いで逮捕
私物の電動キックボードを傷つけられた男が3万円を脅し取った疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事件概要
京都府山科警察署は、自営業を営む男性A(35)を恐喝罪の疑いで逮捕しました。
Aは、自分の私物である電動キックボードをコンビニの駐輪場に停めて買い物をしていたところ、同じ駐輪場に停めてあったシェアリングサービスの電動キックボードと勘違いしたV(24)が、誤ってAの電動キックボードの運転スイッチを押してしまいました。
その結果、キックボードが壁にぶつかり、本体が凹んでしまいました。
Aがコンビニから出てきた際、この状況に気付き、Vに対して「どうしてくれるんや!」と怒鳴り、「弁償しないとボコボコにするぞ」と脅しました。
驚いたVは、財布に入っていた3万円をAに渡してしまいました。
この一部始終を目撃していた他の買い物客が警察に通報し、駆けつけた警察官によりAは逮捕されました。
取り調べに対し、Aは「自分の財産を壊されて怒りが収まらなかった」と容疑を認めています。
(フィクションです)
恐喝罪とは
刑法第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
本件で、AはVに対して「ボコボコにするぞ」と脅して現金3万円を受け取っており、このAの行為は恐喝罪に該当する可能性があります。
まず、恐喝罪にいう恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であり、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を指します。
本件で、Aは「ボコボコにするぞ」と言ってVを怖がらせています。
これは身体に対する害悪の告知であり、Aの発言は財物交付に向けられた人を畏怖させるに足りる脅迫に該当します(①)。
次にAの行為は、Vの反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか。
仮に、反抗を抑圧する程度の脅迫に該当した場合、恐喝罪ではなく強盗罪の成否が問題となります。
例えば、鋭利な刃物などの凶器を被害者に向けて脅迫した場合、要求に応じないと命の危険があるため、金品を差し出すしかありません。
このような場合、反抗を抑圧する程度の脅迫に該当し、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性があります。
本件では、Aは「ボコボコにするぞ」と脅しましたが、凶器を用いたわけではありませんので、反抗を抑圧する程度の脅迫とは言えないでしょう。
したがって、Aの発言は恐喝に該当すると考えられます(②)。
以上より、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
恐喝罪の法定刑は十年以下の懲役です。
執行猶予がつくためには、下される量刑が三年以下であることが必要ですから、恐喝罪を犯した場合には執行猶予がつかない可能性があります。
仮に執行猶予がつかず実刑判決が下った場合、刑務所に拘束されるため、日常生活に大きな影響を及ぼしますから、量刑を3年以内に抑えることができるかどうかが非常に重要になってきます。
下される量刑を抑えるには、被害者との間で示談を成立させることが重要です。
ただし、本件のように、脅迫された被害者からすると、加害者とは関わりたくないと思う可能性が高いため、本人自ら示談交渉を行うのは困難です。
そこで、交渉のプロである弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、示談交渉を数多く成立させてきた豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120-631-881にて受け付けております。
全国チェーンの居酒屋の雇われ店長が水増し請求して逮捕
全国チェーンの居酒屋の雇われ店長が水増し請求して逮捕
居酒屋の雇われ店長が水増し請求した疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事件概要
京都府中京警察署は、全国展開する居酒屋チェーン「乾杯家」の京都支店の店長Aを背任罪の疑いで逮捕しました。
「乾杯家」京都支店の雇われ店長として、店舗の飲料や食材の購入を一任されていたAは友人の経営する飲料会社Dと共謀し、特製ハイボールの購入に関して水増し請求を行いました。
通常、京都支店の規模では、毎月の特製ハイボールの仕入れ値は250万円程度ですが、水増し請求によって毎月500万円が仕入れ値として計上されていました。
そのため、チェーン本部の経理担当者が異変に気づき、事件が発覚しました。
警察の取り調べに対し、Aは「家族の医療費を賄うために水増し請求を思いついた」と容疑を認めています。
(フィクションです)
背任罪とは?
刑法第247条が規定する背任罪は、他人のためにその事務を処理する者(①)が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的(②)で、その任務に背く行為(③)をし、本人に財産上の損害を加える(④)犯罪です。
背任罪の主体は「他人のためにその事務を処理する者(①)」です。本件Aは、全国展開する居酒屋「乾杯家」の京都支店の雇われ店長として、京都支店の物品の購入を一任されていたため、「他人のためにその事務を処理する者」に該当します。
次に、背任罪が成立するためには「自己もしくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的(②)」が必要です。
ここでの「本人」とは、背任行為の行為者に事務処理を委託した者を指します。
本件では、Aを雇用している「乾杯家」のオーナーが「本人」にあたります。Aは、「本人」であるオーナーに対して水増し請求分を負担させ、知人と利益を分け合っていたため、図利・加害目的があったと評価されます。
さらに、背任行為(「任務に背く行為(③)」)が背任罪の成立に必要です。
背任行為とは、事務処理者として当該事情の下で信義則上当然行うべく期待される行為をしなかったことをいいます。
本件では、Aが店舗の特製ハイボールの仕入れにおいて、適正価格で購入するという任務に背いて水増し請求を行っていたため、背任行為があったと言えます。
最後に、「本人に財産上の損害を加えたこと(④)」も必要です。
本件では、オーナーは水増し請求により毎月250万円の余分な支出をしていたため、Aが本人に財産上の損害を与えたことになります。
以上より、本件では背任罪が成立する可能性が高いと考えられます。
なるべく早く弁護士に相談を
背任罪を犯してしまった場合には、早期に被害者との間で示談を成立させることが重要です。
早い段階で示談を成立させ、真摯な謝罪と損害の弁償を行えば、不起訴処分になる可能性があります。
仮に不起訴処分にならなかったとしても、判決前に示談を成立させることで量刑が軽くなったり執行猶予付き判決が得られるかもしれません。
示談交渉は、自分で行わずに弁護士に任せることをおすすめします。
本件Aは、「乾杯家」京都支店の店長としてオーナーから信頼されていたにもかかわらず、それを裏切って損害を与えたように、背任罪の加害者は被害者からの信頼を裏切って損害を与えています。
したがって、加害者自ら示談交渉に乗り出しても対応してもらえない可能性が高いです。
しかし、弁護士相手であれば被害者が示談交渉に応じてくれることがありますので、弁護士に一度相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、背任事件をはじめとする豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得や量刑の軽減、執行猶予付き判決の獲得が期待できます。
できるだけ早い段階で、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
閉店作業中の美容室で店員にナイフを突きつけて現金を奪った男を逮捕
閉店作業中の美容室で店員にナイフを突きつけて現金を奪った男を逮捕
閉店作業中の美容室で店員にナイフを突きつけて現金を奪った男が逮捕された事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事件概要
京都府南警察署は、京都市内に住む無職の男性(36)を逮捕した。
男は、京都市南区にある美容室に営業時間後に侵入し、レジ締め作業をしていた女性スタッフに対し所持していたナイフを突きつけて「レジの金を全てよこせ。出さないとナイフで刺すぞ」と脅し、恐怖で抵抗できない女性スタッフからレジの金を奪い取ったとして、強盗罪の疑いで逮捕された。
(フィクションです)
強盗罪とは
刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
本件で、男は、ナイフを美容室の店員に突きつけてお金を無理矢理奪ったとして、強盗罪の疑いで逮捕されています。
このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが発生しやすいと言えますから、強盗罪は、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪に当たる行為が、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有するため、法定刑は5年以上の有期懲役となっています。
手段としての「暴行又は脅迫」
強盗罪を規定する刑法236条によると、強盗罪は「暴行または脅迫」を手段とする犯罪です。
このように犯罪の手段として「暴行または脅迫」が用いられたことを要する犯罪は、強盗罪以外にも恐喝罪などがありますが、各犯罪によって、「暴行」と「脅迫」の意味内容は異なると解されています。
強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。
この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されます。
その中でも特に暴行又は脅迫の態様が重視されます。
例えば、加害者が殺傷能力の高い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫と判断される可能性が高くなります。
本件の容疑者は、営業終了後の美容室にのレジに入っていたその日の売上金(財物)を手に入れようとして、レジ締め作業をしていた女性スタッフにナイフを突きつけたようです。
本件において、容疑者は男性である一方で、被害者は女性です。
一般に、女性の方が男性より力は弱い上に、容疑者はナイフという殺傷能力の高い凶器を突きつけていますから、被害者の女性スタッフが男に対して抵抗すること難しいと言えるでしょう。
したがって、男が女性スタッフにナイフを突きつけた行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行に当たると言えそうです。
加えて、男は女性スタッフに対し、レジ金をよこさないとナイフで刺すぞと脅しています。
ナイフで刺すというのは、身体に対する害悪の告知です。
本件状況のもとで、女性スタッフが男に反抗するのは非常に難しいでしょうから、この行為は強盗罪における脅迫にあたりそうです。
したがって、男は、暴行と脅迫を手段として、その日の美容室の売上金(財物)を奪ったとして、強盗罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
本件では執行猶予がつかない可能性があります。
というのは、執行猶予がつくためには懲役刑の場合は下される量刑が3年以下である必要があるのに対し、強盗罪の量刑は5年以上の有期懲役となっているからです。
執行猶予がつかない場合、刑務所に服役することになり今まで通りの社会生活を送ることはできなくなります。
会社にお勤めの場合には、解雇される可能性が高いでしょう。
ただし、強盗罪を犯した場合であっても、被害者に真摯に謝罪して示談が成立していれば、刑の減軽がされて、3年以下の懲役が下され、執行猶予がつく可能性があります。
したがって、示談を成立させることができるかどうかが重要となります。
もっとも、加害者本人が示談交渉を直接行うことはおすすめできません。
というのは、本件のように従業員に対しナイフを突きつけ、大切な売上金を奪い取った加害者に対し、被害者側は強い処罰感情を有しているでしょうし、そのような加害者と直接連絡をとることに恐怖を感じるのが通常だからです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめいたします。
加害者からの連絡を断固拒絶している被害者も、弁護士とであれば連絡を取ることに応じてくれるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
横領したお金で奨学金の返済から高級車の購入まで私腹を肥やした経理責任者を逮捕
横領したお金で奨学金の返済から高級車の購入まで私腹を肥やした経理責任者を逮捕
経理責任者が会社のお金を横領して奨学金の返済や高級車を購入していた事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例解説
京都府伏見警察署は、京都市伏見区内にある総合病院の経理責任者A(45)を、勤務先の現金を横領していた疑いで逮捕しました。
Aは、業務で病院の財務管理を担当しており、銀行からお金を引き出すための払戻請求書に捺印を行い、これを使って現金を引き出していました。
その際、事前に用意していた白紙の払戻請求書にも同様の方法で捺印し、引き出したお金を私的に使用していた疑いが持たれています。
きっかけは、自身の子供が大学の奨学金の返済に苦しんでいると知り、なんとかしたいという思いから前述の方法で会社のお金を流用し始めたようですが、奨学金の返済が終了した後も会社の金を密かに引き出して家族旅行や高級車の購入をしていたようです。
勤務先病院の同僚が、奨学金の返済に悩んでいたAさんが急に海外旅行に行くようになったことを不審に思い、病院の管理職に報告したことで調査が入り、犯行が発覚しました。
被害額は8000万円にのぼり、病院が被害届を提出したため、彼女は業務上横領罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)
業務上横領罪とは
刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
刑法は、横領罪として単純横領罪(刑法252条)、業務上横領罪(刑法253条)、占有離脱物横領罪(刑法254条)を規定しています。
単純横領罪とは、「自己の占有する他人の物を横領」する罪であり、業務上横領罪とは、「『業務上』自己の占有する他人の物を横領」する罪です。
両罪は、横領した他人の物が『業務上』自己が占有する物であったかどうかで区別されます。
業務上横領罪の「業務」とは、金銭その他の財物を委託を受けて占有・保管することを内容とする職業もしくは職務をいうと解されています。
京都府伏見警察署によると、本件では、逮捕された女性は、病院の経理担当者として、病院のお金を管理する立場にあり、各種支払業務を行っていたようです。
したがって、彼女の職務は業務上横領罪における「業務」に該当し、業務上横領罪が成立する可能性があります。
ところで、彼女は「他人の物を占有」していたと言えるのでしょうか?
窃盗罪などにいう「占有」とは、物に対する事実上の支配を言いますが、横領罪における「占有」とは、物に対する事実上の支配だけでなく法律上の支配も含むと解釈されています(大判大正4年4月9日)。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人のものを処分しうる状態のことを言います。
本件Aは、経理担当者として容易に銀行窓口で現金を引き出すために使用する払戻請求書と印鑑を使って病院のお金を引き出すことができたようです。
したがって、Aは病院の現金という他人の物を占有していたと言えそうです。
病院のお金を勝手に引き出して私的に使用した場合には、業務上横領罪が成立する可能性があります。
そして、本罪の行為は、横領することです。
横領とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、他人の物に対し経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をする行為です(最判24年3月8日)。
本件Aは、病院のお金を引き出し、奨学金の返済や高級車の購入のために使ったようです。
このようにお金を使うことは、その所有者にしか許されない行為ですから、彼女のした行為は横領に当たる可能性があります。
以上から、本件では業務上横領罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
本件では病院が被害届を提出したことで、事件化し彼女は逮捕されています。
加害者と被害者は見ず知らずの他人ではなく、元々物を預けるというような関係性があることから、被害弁償がされれば被害届を出さない被害者もいらっしゃるようです。
したがって、きちんと謝罪と被害弁償をすれば被害届が提出されず、事件化を防げる可能性があります。
仮に事件化されたとしても、謝罪と被害弁償をして示談をまとめることができれば、不起訴処分を得られる可能性があります。
もっとも、どのような示談内容であれば妥当なのかは法律に詳しくない人にとってはわからないのではないでしょうか。
被害者が、裏切られた怒りから過度な条件を提示してくる可能性もあります。
そこで、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、横領事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分や罪の減軽、執行猶予付き判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
「財布忘れたから」書店でファッション雑誌を盗んだ女を逮捕
「財布忘れたから」書店でファッション雑誌を盗んだ女を逮捕
「財布忘れたから」という理由で、書店でファッション雑誌を盗んだ女が窃盗罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事案
京都府下京警察署は、京都市下京区内の書店でファッション雑誌を盗んだとして、無職の女性Aを窃盗罪の疑いで逮捕しました。
Aは、書店で雑誌を手に取った後、会計を済ませずにそのまま店を出ようとした疑いが持たれています。
取調べに対し、Aは「財布を家に忘れてしまい、お金がなかったが、どうしても雑誌が読みたかった。」「好きなモデルの特集が組まれていて発売を楽しみにしていた雑誌だったので、つい盗んでしまった」と供述し、容疑を認めています。
店内の防犯カメラには、Aが雑誌をカバンに入れる様子が録画されており、これが逮捕の決め手となりました。
(フィクションです)
窃盗罪
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転することを言います。
窃盗罪が成立するためには、まず書店がAがカバンに入れた雑誌を占有していたと言える必要があります。
占有が認められるためには、客観的要件としての財物に対する事実的支配(客観的支配)と、主観的要件として財物に対する支配意思が必要です。
例えば、他人が自由に出入りすることができない自宅などの閉鎖的な支配領域内に置いている物には、家主の客観的支配が認められます。
また、家の中にある物については、家主はそれが自分のものだという支配意思もあるでしょう。
したがって、家の中に置いているものについては、家主が占有していると言えるでしょう。
本件では、Aは書店内にある雑誌を手に取ってから自分のカバンに入れたようです。
書店は店内にある商品に対する客観的支配を有していると言えますから、本件雑誌に対しても書店は強い客観的支配を有していたと言えそうです。
加えて、書店は店内に置いてある商品に対して、自店舗のものであるという強い支配意思を有しているでしょう。
したがって、書店は本件雑誌を占有していたと言えそうです。
そして、Aは本件雑誌を代金を支払わずに持ち出そうとしました。
もちろん、書店は商品代金を支払わずに商品を持ち出すことを許していないでしょうから、Aは占有者である書店の意思に反して本件雑誌を自己の占有に移転させたと言えそうです。
したがって、本件では窃盗罪が成立する可能性があります。
犯行時のAの認識
窃盗罪は故意犯、すなわち自らの行為が犯罪であることをわかった上で行うと成立する犯罪です。
窃盗罪の場合、故意の内容は他人の財物を窃取することを認識・認容していたことです。
取調べによれば、Aは好きなモデルの特集が組まれた雑誌を読みたくてたまらず、自分の物にしようとして、あえて代金を支払うことなくカバンに入れて持ち出そうとしたようです。
したがって、Aには窃盗罪の故意が認められそうですから、やはり本件では窃盗罪が成立する可能性があります。
なるべく早く相談を
窃盗罪のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることができるかどうかが重要となります。
仮に早い段階で示談が成立した場合には、不起訴処分を得られる可能性がありますし、起訴されたとしても裁判官による量刑の判断の段階で、示談が成立していることが刑の減軽につながる可能性もあります。
もっとも、加害者自ら示談交渉を行うことは得策ではありません。
書店は大切な商品をカバンの中に入れて代金を支払わずに持ち出そうとしたAに対して、強い処罰感情を有していることが考えられます。
ですので、Aが謝罪したいと言っても聞く耳を持ってもらえないかもしれません。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者からの直接の連絡を取り合ってくれない被害者であっても、弁護士相手であれば示談交渉に応じてもらえる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗罪を含む豊富な刑事弁護の経験を持つ法律事務所です。
逮捕前であれば、弊所にて初回無料で弁護士に相談していただけます。
逮捕後の場合には、弁護士を留置場まで派遣する初回接見サービスがございます。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回無料法律相談、初回接見サービスをご希望の方は、0120-631-881までお電話ください。
全国チェーンのカフェの雇われ店長が水増し請求して背任罪の容疑で逮捕
全国チェーンのカフェの雇われ店長が水増し請求して背任罪の容疑で逮捕
全国チェーンのカフェの雇われ店長が、水増し請求したとして背任罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事件概要
京都府東山警察署は、全国展開するカフェ「Coffee Heaven」の京都店の店長Aを背任罪の疑いで逮捕しました。
Aは、Coffee Heaven京都店の雇われ店長として、店舗で使用するコーヒー豆やミルク、紙コップなどの消耗品の購入をオーナーVから一任されていました。
Aは、マイホームのローン返済に窮しており、友人が経営する「Beverage Supplies社」Cと共謀して、水増し請求を行うことにしました。
通常、京都店の規模であれば、毎月の消耗品代は20万円程度ですが、AはCに指示し、毎月50万円を請求させ、その差額をAとCで折半することにしました。
事件は、Coffee Havenグループの経理担当者が異常な経費の増加に気付き、内部調査を行ったことから発覚しました。
警察の取り調べに対し、Aは「ローンを返済に追われて手元に貯金がなくこのままではまずいと思い、水増し請求を思いついた。」と容疑を認めています。
(フィクションです)
背任罪とは?
刑法第247条が規定する背任罪は、他人のためにその事務を処理する者(①)が、自己もしくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的(②)で、その任務に背く行為(③)をし、本人に財産上の損害を加える(④)犯罪です。
背任罪の主体は、「他人のためにその事務を処理する者(①)」です。
Aは、全国展開するカフェ「Coffee Heaven」の京都店の雇われ店長として、京都店の消耗品の購入をオーナーから任されていたようです。
したがって、Aは、背任罪が規定する、「他人のためにその事務を処理する者(①)」に当たる可能性があります。
また、背任罪が成立するためには、図利・加害目的すなわち「自己もしくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的(②)」が必要です。
ここでの「本人」とは背任行為の行為者に事務処理を委託した者を言います。
本件では、グループ展開しているカフェのオーナーVが、京都店の店長であるAに、消耗品等の購入を任せていたようですので、オーナーVが「本人」に当たります。
そしてAは、「本人」であるオーナーVに支払わせた水増し請求分を、知人と山分けしていたようです。
したがって、自己と知人(第三者)の利益を図ったとして図利・加害目的があった(②)と評価されそうです。
次に、背任行為すなわち「任務に背く行為(③)」が背任罪の成立に必要です。
背任行為とは、事務処理者として当該事情の下で信義則上当然行うべく期待される行為をしなかったことをいいます。
例えば、大審院の判決では、質物(ブランドバックなどの質入れされたモノ)の保管者が信任関係に違背し、質物を債務者に返還したことで財産上の損害を与えた行為が、背任行為に当たると判断されました(大判明治44年10月13日、大判大正3年6月20日)。
そのほかにも、信任関係の違背の例としては、他人から保管を任されていた物を壊す行為などがこれに当たります。
本件では、京都店の雇われ店長であるAは、紙コップなどの消耗品を適正価格で購入することをオーナーから任されていたにもかかわらず、それに反して、自身の友人の経営するBeverage Supplies社に水増し請求させ、過大な代金をCoffee Heaven社(V)に支払わせていたようなので、背任行為があったと言えそうです(③)。
最後に、「本人に財産上の損害を加えたこと(④)」も必要となります。
本件では、本人すなわちCoffee Heavenのオーナーは、水増し請求により適正価格よりも毎月30万円分多く支払っているので、Aは本人に財産上の損害を与えたと言えそうです(④)。
以上より、本件では背任罪が成立する可能性が高いと言えそうです。
なるべく早く弁護士に相談を
背任罪を犯してしまった場合には、早期に被害者との間で示談を成立させることができるかどうかが重要となりますから、示談交渉のプロである弁護士に相談されることをお勧めします。
仮に早期に示談がまとまれば、不起訴処分が得られたり、量刑が軽くなる可能性があります。
本件のAが、Coffee Heaven京都店の店長として、オーナーから信用されていたにもかかわらず、それを裏切って毎月30万円の損害を生じさせたように、背任罪の加害者は被害者からの信頼を裏切って損害を与えています。
したがって、通常加害者は被害者に対して強い処罰感情を有していることが多く、加害者自ら示談交渉に乗り出しても対応してもらえない可能性が高いです。
このような場合であっても、弁護士相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありませんので、弁護士に一度相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、背任事件をはじめとする豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
加害者自らではなく交渉のプロである弁護士が、示談交渉を行うことで不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付き判決を得ることができる可能性があります。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は0120-631-881にて受け付けております。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
「家賃を滞納して家から追い出されそう」心配した男性から30万を騙し取った女を逮捕
「家賃を滞納して家から追い出されそう」心配した男性から30万を騙し取った女を逮捕
「家賃を滞納して家から追い出されそう」と泣きつき、心配した男性から30万を騙し取った女が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事件概要
京都府伏見警察署は、SNSで知り合った男性Vを騙して合計30万円を自身の口座に振り込ませたとして、京都市内に住む無職の女A(28)を逮捕しました。
Vは、AとSNSで親しくなり、予定を合わせてご飯に行こうという話をした後、Aと連絡が取れなくなりました。
心配になったVが何度か留守電を残すと、Aから折り返し電話があり「家賃を滞納しており、すぐに支払わないと追い出される」と告げられ、泣きながら話すAに対して、Vは心配し、家賃を肩代わりすることを決めました。
Aは、大家から滞納を理由に向こう2ヶ月分の家賃を先払いするように要求されたということだったので、Vは、10万円ずつ3回に分けて計30万円を送金した。
送金後、VがAに電話をかけたところ、この電話は使われていませんと自動音声が流れてきたため不審に思い最寄りの京都府伏見警察署に相談したところ、捜査の末Aは詐欺罪の疑いで逮捕されました。
京都府伏見警察署の取調べに対し、Aは「留学費用の足しにするためにお金が欲しかったので、適当に嘘をついてVからお金をもらおうと思ってやった。」と容疑を認めています。
(フィクションです。)
詐欺罪とは
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
「人を欺いて財物を交付させた」とは、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が処分行為を行い、④その処分行為により財物が行為者に移転することを意味します。
本件で逮捕された女Aは、SNSで知り合った男性Vの好意を利用して、家賃滞納を理由に追い出されそうだという嘘をつき、Vを騙して30万円を騙し取った疑いが持たれています。
まず、詐欺罪となりうる欺罔行為(①)とは、財物の交付に向けて人を錯誤に陥らせることを言い、その内容は財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることであるとされています。
逮捕されたAは、Vに30万円を振り込ませるために家賃滞納で追い出されそうだと訴え、家賃が払えれば問題が解決するという錯誤に陥らせています。
仮に、家賃滞納が実際には存在せず30万円を振り込まなくてもAが追い出されることはないと知っていれば、Vは30万円を振り込まなかったでしょうから、Aは財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ったと言えます。
したがって、AはVを欺いて(①)、その欺罔行為によりVは家賃滞納が解消されればAが追い出されないという錯誤に陥り(②)、その錯誤に基づいて30万円をAの口座に振り込み(③)、その処分行為により30万円がAに移転したと言えますから、詐欺罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
詐欺罪のように被害者のいる犯罪では、示談を早期に成立させることができるかどうかが重要となります。
早い段階で示談が成立していれば、不起訴となる可能性がありますし、仮に起訴されたとしても示談が成立していれば、罪の減軽や執行猶予付判決が得られる可能性があります。
ただし、本件のAが自分でVと示談交渉をしようとすると上手くいかない可能性が高いです。
Vからすれば、Aは自身の好意を利用して30万円を騙し取った相手であるわけですから、もう二度と関わりたくないと思っているでしょうし、Aに対する処罰感情も強いでしょう。
そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任することをおすすめします。自分を騙した加害者本人と連絡を取ることに強い抵抗を感じる被害者であっても、弁護士が相手であれば、示談交渉に応じてくれることは少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉は、弊所の弁護士にお任せください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120-631-881にて受け付けております。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
「お前のミスを全員にばらすぞ」恐喝の疑いで会社員の男を逮捕
「お前のミスを全員にばらすぞ」恐喝の疑いで会社員の男を逮捕
「お前のミスを全員にばらすぞ」と恐喝した疑いで会社員の男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事例
京都府伏見警察署は、京都市伏見区内の企業に勤務する男性Aを恐喝罪の疑いで逮捕しました。
ある日、同僚のVが顧客の重要なデータを誤って消去してしまったことが発覚しました。
Vはこのミスを隠すためにAに相談しましたが、Aはその情報を逆手に取り、「このミスを全員にばらすぞ。会社をクビになりたくなければ100万円をよこせ」と脅しました。
Vは恐怖のあまり、Aに対して10万円を即座に渡し、残りの金額を後日支払うことを約束させられました。
しかし、Vはその後、恐喝されたことを上司に相談し、上司の勧めで警察に通報しました。
京都府伏見警察署の捜査の末Aは逮捕され、Aは取り調べに対し「借金があったので金を取りたかった」と容疑を認めています。
(フィクションです。)
恐喝罪とは
刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
本件で、AはVのミスを利用して、100万円を要求し、10万円を差し出させたようですから、Aの発言が恐喝に当たる場合、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。
恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であり、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
まず①について検討すると、本件では、AはVに対して「ミスをばらす」と脅して金銭を要求しました。
この発言は、Vの社会的地位や仕事に重大な影響を与える可能性があり、Vを畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです(①)。
次に、②についてですが、反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金を出さないと殺す」などと脅す場合です。
本件では、Aの脅迫は口頭によるものであり、物理的な暴力や凶器の使用はありませんでしたので、反抗を抑圧する程度にまでは至っていなかったと言えそうです。(②)。
以上より、Aの発言は恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役です。
執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つですから、恐喝罪を犯した場合、執行猶予がつかない可能性があります。
量刑を3年以下にするための方法として、被害者との間で示談を成立させることがあります。
ただし、示談交渉は、逮捕されているかどうかに関わらずご自分で行うことは望ましくありません。
本件Aは、同僚Vが助けを求めてきたにもかかわらず、これをお金を巻き上げるチャンスと捉えて、ミスをばらされたくなければ100万円を支払えなどと脅したようですから、VはAに対して強い処罰感情を有しており、Aが謝罪のために連絡しても応じてくれない可能性が高いです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任することをおすすめします。加害者本人ではなく、その弁護士が相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決や不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
相談のご予約は0120-631-881で承っています。
深夜のホテルに侵入して金庫にある現金を奪い取った男を強盗罪の疑いで逮捕
深夜のホテルに侵入して金庫にある現金を奪い取った男を強盗罪の疑いで逮捕
深夜のホテルに侵入して金庫にある現金を奪い取った男が強盗罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事件概要
京都府右京警察署は、強盗罪の疑いで京都市内に住む自称フリーランスの男を逮捕した。
男は、京都市右京区にあるホテルに深夜侵入し、巡回していた夜間スタッフに日本刀を突きつけて金庫に保管されていた現金70万円を奪い取った疑いが持たれている。
取調べに対し男は、「取引先への支払のため緊急でお金が必要だった」と容疑を認めている。
(フィクションです)
強盗罪
刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
本件で、男はホテルの金庫にある現金を奪い取ろうとして深夜に侵入し、日本刀を夜間スタッフに突きつけたようです。
強盗罪では、ナイフなどの凶器が用いられることが多く、本件では日本刀が使用されたようです。
日本刀などの凶器を突きつけられると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが発生しやすいと言えますから、強盗罪は、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪の法定刑が5年以上の有期懲役と非常に重たいのも、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有する犯罪であるためです。
手段としての「暴行又は脅迫」
強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。
この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されますが、特に重視されるのは、暴行又は脅迫の態様です。
本件の男は、ホテルの金庫の中にある金目のものを目当てに、深夜のホテルに忍び込み、夜間スタッフに対して日本刀を突きつけて現金70万を奪い取ったようです。
ホテルの夜間スタッフが男性であったとしても、日本刀を突きつけられれば多くの人は抵抗することができないでしょう。
もし抵抗すれば日本刀で切りつけられ大怪我をしたり、最悪の場合には命を落とす可能性があるからです。
したがって、男が夜間スタッフに対し、日本刀を突きつけた行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行にあたりそうです。
本件では、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行によって現金70万円を奪っていますので、強盗罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
強盗罪を犯してしまった場合には、被害者との間で示談をまとめることができるかどうかが重要となります。
というのは、強盗罪の量刑は5年以上の懲役であり、示談がまとまらない場合には執行猶予がつくための要件である下された量刑が3年以下であるという要件を満たすことができない可能性があるからです。
逆に、示談をまとめることができれば、刑が減軽され、下される量刑が3年以下となり執行猶予がつく可能性があります。
本件で日本刀を突きつけられた被害者のように、強盗罪の被害者は加害者に対して恐怖心を持っていたり、強い処罰感情を有していると考えられますから、加害者自ら示談交渉を行うことは得策ではありません。
加害者が直接連絡を取ろうとしても被害者に拒絶される可能性が高いですが、弁護士であれば交渉に応じてくれることは少なくありません。
示談交渉は、法律のプロである弁護士に一任されることをおすすします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件を含む豊富な刑事弁護の経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弊所の弁護士が交渉を行うことで、下される量刑を減軽させたり、執行猶予付判決を得たりすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
高額なトレーディングカードをカードショップから盗んだ容疑で男を逮捕
高額なトレーディングカードをカードショップから盗んだ容疑で男を逮捕
高額なトレーディングカードをカードショップから盗んだ容疑で男が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事件概要
京都市中京区に住む会社員のAは、子供の頃から大好きだったトレーディングカードを収集する趣味を持っていました。
ある日、Aは普段からよく訪れる京都市内のカードショップで、ずっと欲しかった高額なトレーディングカードが展示されているのを見かけました。
そのカードは非常に高価で、Aには購入する余裕がありませんでした。
事件当日、Aはいつものようにカードショップを訪れ、高額カードが展示されている棚の鍵がかかっていないことに気付きました。
衝動に駆られたAは、ついそのカードを盗んでしまいました。
犯行の様子は店内の防犯カメラに録画されており、後日、京都府中京警察署の警察官によって窃盗罪の容疑で逮捕されました。
取調べに対し、Aは「ずっと欲しかったが値段が高くて買えなかったため、つい盗んでしまった」と容疑を認めています。
(フィクションです)
窃盗罪とは
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転することを言います。
まず、占有が認められるためには、客観的要件としての財物に対する事実的支配(客観的支配)と、主観的要件として財物に対する支配意思が必要です。
例えば、他人が自由に出入りすることができない自宅などの閉鎖的な支配領域内に置いている物には、家主の客観的支配が認められます。
また、家の中にある物については、家主はそれが自分のものだという支配意思もあるでしょう。
したがって、家の中に置いているものについては、家主が占有していると考えられます。
本件のAは、カードショップで展示されていた高額なトレーディングカードを衝動的に盗んだようです。
このカードは、ショップの展示棚に置かれていたものであり、店側にはこのカードに対する強い客観的な支配が認められそうです。
また、店側にはこのカードが当店のものであるという強い支配意思も有していたと考えられそうです。
したがって、カードショップは、このカードを占有していたと言えます。
そして、Aは、このカードを無断で持ち帰ろうとしたようです。
展示棚のカードは非売品であり、店側は店外に持ち出されることを想定していないでしょうから、Aは、当該カードをその占有者である店側の意思に反して自己の占有に移転したと言えます。
Aは、カードが店のものであると認識した上で、どうしても欲しいという気持ちから持ち去ろうとしたようですから、本件では窃盗罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
本件のように警察に逮捕されると、単に身柄を拘束されるだけでなく、容疑についての取調べが行われることになります。
取調べの内容は、調書として文書化されて、被疑者は確認の上それにサインするよう求められます。
サインしてしまった調書は、裁判で証拠として用いられることがあり、仮に、証拠として提出された場合にその内容を覆すのは非常に困難です。
調書は、取調べで供述した内容がそのまま一言一句記載されるわけではなく、取調べ室にいた警察官のフィルターを通して作成されます。
場合によっては、供述した内容と微妙に異なることがあり、その微妙な違いが後の裁判で有罪無罪の判断に大きく影響する可能性があります。
したがって、取調べ前に何をどのように供述するのかを整理しておく必要があります。
もっとも、法律に詳しくない一般の方にとって、どのように受け答えするのが適切か判断することは困難です。
そこで、できるだけ早い段階で弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗罪を含む豊富な刑事弁護の経験を持つ法律事務所です。
早い段階で弁護士に相談して取調べに対するアドバイスを得ておくことで、適切に取調べに対処することができ供述調書が思いがけず不利に働くことを防げる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
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