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人気ラーメン店で食中毒⁉業務上過失致傷罪で書類送検
人気ラーメン店で食中毒⁉業務上過失致傷罪で書類送検
人気ラーメン店で食中毒が発生し、店長が業務上過失致傷罪で起訴された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事案
ラーメンの激戦区として知られる京都市左京区にある人気ラーメン店「さしすせそ」本店で、食中毒が発生した。
「さしすせそ」本店でラーメンを食べた人たちが、腹痛や下痢を訴え病院に運ばれたことがきっかけで保健所の検査が入り、同店の名物である生チャーシューを原因とする食中毒だとわかった。
厚労省は、豚肉の中心部の温度が63℃で30分以上加熱するよう求めているところ、同店の店長は、この基準を知らなかったためにを同基準を満たさない調理をしていたとのこと。
京都府下鴨警察署は、同店長を業務過失致傷罪で書類送検した。
(フィクションです。)
業務業過失致傷罪とは
刑法211条前段
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
業務上過失致傷罪の「業務」とは、「人が社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う行為であって、他人の生命、身体等に危害を加えるおそれのあるもの」です(最判昭和33年4月18日)。
上記の業務概念は①社会生活上の地位に基づくこと、②反復継続性があること、③生命・身体に対し危険な行為であること、の3つの要素からなりたっています。
本件で書類送検されたのは、ラーメン店の店長ですから、飲食業者という社会的地位に基づいてラーメンを製造し提供していると言えます(①)。
また、ラーメン店を開業しているわけですから、反復継続性も問題なく認められるでしょう(②)。
それでは、ラーメンの製造、提供は③生命・身体に対し危険な行為といえるのでしょうか?
ラーメンの製造、提供は、厚労省の基準にしたがって適切に調理されている限り、危険な行為にはならないといえるでしょうが、今回のように食べ物は適切に調理されなかった場合、食中毒を招き腹痛や下痢、最悪の場合には死に至ることさえあります。
したがって、ラーメンの製造、提供は、生命・身体に対し危険な行為であるといえるでしょう(③)。
ですので、本件のラーメン店「さしすせそ」の店長がラーメンを製造する行為は業務上過失致傷罪の「業務」に該当する可能性が高いといえます。
加えて、業務上過失致傷罪は、「業務上必要な注意を怠」ったといえることが必要です。
本件に即していえば、ラーメン店「さしすせそ」の店長は、チャーシューを作るにあたって、豚肉の中心部の温度が63℃で30分以上加熱する必要があったところ、それを知らずに不適切な調理をしていたようですので、業務上必要な注意を怠っていたといえそうです。
今回、業務上過失致傷罪が問題となっていますから、その成立には傷害結果が生じたことも必要です。
傷害とは人の生理機能を侵害することをいいます(大判明治45年6月20日)。
本件の被害者は腹痛や下痢をうったえていますから、店長は、人の生理機能を侵害したと評価される可能性があります。
以上から本件では業務上致傷罪が成立する可能性があります。
できるだけ早い段階で弁護士に相談を
業務上過失致傷罪は被害者のいる犯罪です。
早い段階で被害者に真摯な反省と謝罪を伝え、示談を成立させることで事件化を防いだり不起訴処分を獲得することができるかもしれません。
仮に、起訴されたとしても示談が成立していることをふまえて量刑が軽くなる能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、業務上過失致傷罪を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、事件化や起訴を防ぐことができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。
隣人に対し「殺してやる」脅迫罪で逮捕
隣人に対し「殺してやる」脅迫罪で逮捕
隣人に対し「殺してやる」などと告げて脅迫したとして脅迫罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事案
京都府東山警察署は、会社員の男(35)を脅迫罪の疑いで逮捕した。
男は、隣の部屋に住む男子大学生が友人達を家に招き、連日深夜まで酒を飲んで騒いでいるのに腹を立てて隣室に突撃し、「うるさい!でてこい、殺してやる」などと繰り返し述べたとのこと。
取り調べに対し、男は、騒音で眠ることができず、カッとなって言ってしまったと容疑を認めている。
(フィクションです)
脅迫罪とは
刑法222条1項
生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処する。
脅迫罪における脅迫とは、一般人を畏怖させることができる程度の害悪の告知をいいます。
本件で逮捕された男は、被害者に対して「殺してやる」と言っています。
これは生命に対して害を加える旨を告知したといえます。
そして、通常「殺してやる」と言われれば、恐怖に感じるでしょうから、脅迫罪が成立する可能性があります。
本件では、深夜飲み会を開いているところに突撃したようです。
被害者は男性で複数の友人と一緒にいたようですので、脅迫を受けても実際に怖がらなかった可能性があります。
この場合、脅迫罪は成立しないのでしょうか?
判例によると、脅迫を受けたものが現実に畏怖したことは必ずしも必要ではなく、一般人を畏怖させることができる程度の害悪の告知を、被害者が認識しさえばよいとしています(大判明治43年11月15日)。
したがって、仮に本件の被害者が実際に畏怖していなかったとしても脅迫罪が成立する可能性があります。
弁護士になるべく早く相談を
脅迫罪のように被害者のいる犯罪では示談を成立させることが非常に重要となります。
早い段階で示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴処分となる可能性がありますし、起訴されたとしても、示談が成立していることを踏まえて量刑が軽くなる可能性もあるからです。
もっとも、本件のように「殺すぞ」などと言ってきた加害者が、示談交渉のために被害者と連絡をとろうとしても拒絶される可能性が高いでしょう。
そこで、示談交渉は弁護士にお任せすることをおすすめします。
加害者と接触することに抵抗を感じる被害者も、弁護士を通じてであれば示談交渉に応じてくれる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、脅迫事件を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得や量刑を軽くすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
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『爆弾をしかけた』と私立大学に電話して業務を妨害した男
『爆弾をしかけた』と私立大学に電話して業務を妨害した男
『爆弾をしかけた』と私立大学に電話して業務を妨害した疑いで、男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事件概要
京都市左京区にある私立大学に、『大学構内に爆弾を仕掛けた。農薬の研究を中止しないと爆破する』などと電話があった。
京都府下鴨警察署は、威力業務妨害罪の疑いで、会社員の男性(34)を逮捕した。
(フィクションです)
威力業務妨害罪とは
威力業務妨害罪とは、威力を用いて人の業務を妨害するおそれのある行為をすると成立する犯罪です(刑法234条)。
威力業務妨害罪が成立するための要件は以下の3つです。
①業務妨害手段として「威力」を用いたこと
②妨害の対象が「業務」であること
③妨害行為により業務が妨害されるおそれがあること
①「威力」について
まず、威力とは人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことを意味します。
具体的には、殴るなどの暴行を受けた場合や「殺すぞ」などと脅迫された場合のほか、多数人で集合して怒号する行為も含まれます。
近年の裁判例を見てみると、上記定義にぴったりあてはまらないような行為であっても、公然と行われる妨害行為を広く「威力」を用いたものとする傾向が見られます(中森「刑法各論」74頁、山口「基本判例に学ぶ」55頁)
本件の場合、男は仕掛けた爆弾を爆破すると脅迫しているので、業務妨害手段として「威力」を用いたと評価できるでしょう。
②「業務」について
次に、業務とは、職業その他の社会生活上の地位に基づいて継続して従事する事務とされています(大判大正10年10月24日)。
例えば、タクシーの運転手がお客さんを目的地まで運ぶための車の運転や、洋食屋さんの店員がお客さんに提供するオムライスをつくる行為などは業務にあたります。
逆に、休日にツーリング目的で自家用車を運転する場合や、お母さんが夕食にオムライスをつくる行為は、社会生活上の活動ではないため業務に該当しません。
本件では、男が脅迫の電話をした先である大学では、大学職員や研究者が働いています。
彼らは継続して大学の事務手続きや研究などをしているわけですから、社会生活上の活動を継続して行っているといえますので、彼らの仕事は業務妨害罪における業務に該当します。
③妨害行為により業務が妨害されるおそれがあること
本件のように、大学に爆破予告がされた場合、大学職員は脅迫電話への対処のため学生等を非難させたり警察に通報したり、本来すべき業務に支障をきたす危険性があります。
研究者も本来すべき研究活動を中止して、避難せざるをえないかもしれません。
したがって、本件の男の爆破予告は業務を妨害するおそれがあったといえるでしょう。
以上より、本件では業務妨害罪が成立する可能性があります。
威力業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。(刑法233条234条)
ですので、威力業務妨害罪で有罪になった場合には、懲役刑が科される可能性があります。
弁護士に相談して事件の早期解決を
威力業務妨害罪は被害者が存在する犯罪です。
被害があればその被害弁償をして被害者と示談を成立させることが、事件の早期解決にとって重要となります。
被害届が出される前に示談が成立すれば、警察沙汰にならずにすむかもしれませんし、仮に事件化した後に示談が成立した場合でも起訴前であれば、不起訴処分となるかもしれません。
もっとも、爆破予告された被害者からすると、加害者と直接連絡をとることを怖いと思うのが自然ですし処罰感情も高いでしょうから、示談交渉に応じてくれない可能性があります。
そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士にお任せすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、威力業務妨害事件を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
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【事例紹介】生後10か月の息子を暴行してケガを負わせた事件
【事例紹介】生後10か月の息子を暴行してケガを負わせた事件
生後10か月の次男を暴行して意識不明となるケガを負わせた事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
(前略)生後10カ月の次男に暴行し意識不明となるけがを負わせたとして傷害の疑いで、(中略)容疑者(28)を逮捕した。
(12月1日 京都新聞「息子に障害疑い、28歳父親逮捕」より引用)
容疑を認めており、県警は動機や、日常的に虐待がなかったかどうかを調べる。
逮捕容疑は11月30日午前、自宅で次男(中略)の頭をソファの肘かけに打ち付け、急性硬膜下血腫のけがを負わせた疑い。
(後略)
傷害罪とは
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪の行為は、人の身体を「傷害」することです。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)
殴るなどして出血させたような外傷のある場合だけでなく、失神させたり、感染症にかからせる行為も傷害にあたります。
本件では、容疑者は、次男の頭をソファの肘かけに打ち付けて急性硬膜下血腫のケガを負わせたとされています。
急性硬膜下血腫とは、頭蓋骨の下にある硬膜と脳の間に出血が起こり、そこに出血した血液が急速にたまることいいます。
脳に損傷を与える可能性が高く、意識障害や記憶障害、身体の麻痺などの後遺障害を引き起こすおそれがあります。
本件報道のとおりであれば、次男は急性硬膜下血種を起こし意識不明の状態になったようですから、容疑者の行為は次男の生理的機能に障害を加えたものとして、傷害罪が成立する可能性があります。
逮捕されたらいつ家に帰れるの?
逮捕された場合、72時間以内に勾留されるかどうかの判断が下されます。
勾留とは、逮捕に続く身体拘束であり、10日間に及ぶ上、場合によってさらに延長されることさえあります。
このように身体拘束期間が長引いた場合、学生の場合は学校に行けなくなり、社会人の場合には仕事に行くことができなくなってしまいます。
結果、犯罪の嫌疑がかけられていることが知られてしまい、退学や解雇される可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
早い段階で弁護士に依頼した場合、早期釈放のための活動を適時に行うことができます。
釈放の判断材料として、弁護士が検察官や裁判官に意見書を提出することで、釈放が認められることがあります。
この意見書は逮捕後72時間以内に提出する必要がありますから、時間との勝負となります。
可能な限り早い段階で一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までお電話ください。
お電話は、0120‐631‐881におかけください。
タバコを注意され逆上した男性が相手の自転車を破壊した事件
タバコを注意され逆上した男性が相手の自転車を破壊した事件
タバコを注意され逆上した男性が、相手の自転車を蹴って壊した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事案
京都市左京区にあるマンションの駐輪場でタバコを吸っていた住人(56)が、同マンションに住む大学生に喫煙を注意されて大声で激怒し、同大学生の自転車を蹴って前輪のホイールを変形させた。
加害者の住人は、騒ぎに気づいた周辺の住民からの通報でやってきた京都府下鴨警察署の警察官に器物損壊罪の容疑で現行犯逮捕された。
(事例はフィクションです。)
器物損壊罪とは
器物損壊罪を規定する刑法261条は、「他人の物を損壊し、または傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する」としています。
まず、ここでいう「他人の物」に公用文書、私用文書、建造物又は艦船は含まれません。
これらのものを壊すなどして使えなくした場合には、器物損壊罪ではない別の犯罪が成立します(刑法258条〜260条)。
次に、「損壊」とは、物の効用を害する一切の行為のことを言います。
物理的にものを壊して使えなくさせる行為はもちろん、食器に尿をかける行為のように心理的に物を使えなくさせる行為も含まれます(大判明治42年4月16日)。
本件では、加害者は被害者の自転車を蹴って前輪を変形させたとされています。
前提として、自転車は公用文書等ではありませんから器物損壊罪の対象だと言えます。
自転車の前輪が変形した場合、前輪を左右から挟み込んでいるフロントフォークに引っかかり前に進めなくなったり、進めたとしても真っ直ぐ進めなくなります。
したがって、加害者が自転車を蹴った行為は、自転車を本来の用途通りに使えなくさせる行為、すなわち自転車を損壊する行為であり、器物損壊罪が成立する可能性があります。
親告罪とは
器物損壊罪は、親告罪といって、告訴がなければ起訴されない犯罪です(刑法264条)。
告訴とは、被害者をはじめとする告訴権者が捜査機関に対して、犯罪にあったことを申し出て犯罪者の処罰を求めるための手続きです。
被害届という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
被害届は、犯罪にあったことを捜査機関に申し出る点で告訴と共通しますが、犯人の処罰を求めているということまで意味するものではない点などで異なります。
本件では、被害にあった大学生が告訴をしない限り検察官は起訴することができないこととなります。
なるべく早く弁護士に相談を
起訴されなかった場合、有罪となることも前科がつくこともありません。
したがって、器物損壊罪を犯してしまった場合、告訴されるかどうかが非常に大きな意味を持ちます。
仮に、一度告訴されたとしても、起訴される前に被害者が告訴を取り下げてくれれば、やはり検察官は起訴することができなくなります。
したがって、器物損壊罪を犯してしまった場合、被害者に謝罪や被害弁償をして告訴をしないように、仮にすでにされていた場合は取り下げてもらうようにお願いする必要があります。
もっとも、加害者本人が直接被害者側とこのような示談交渉をするのは望ましくありません。
被害者は通常、加害者に対して強い処罰感情を有していることが想像されますから、示談交渉に応じてもらえない可能性が高いです。
仮に、応じてもらえたとしても、相場より高い被害弁償の額を要求され、折り合いがつかず交渉が決裂し告訴される可能性もあります。
そこで、示談交渉のプロである弁護士にお任せすることをおすすめします。
第三者的立場から弁護士が被害者と交渉をすることで、被害者が感情的になり生産的でない言動をすることを避けることができるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した法律事務所です。
逮捕前であれば、初回無料で弁護士に相談していただけます。
逮捕後の場合には、弁護士を留置場まで派遣させていただきます。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
詳しくは0120-631-881までお電話ください。
【事例紹介】ゴミ処理場の職員が同僚を刺したとして殺人未遂罪で逮捕された事件②
【事例紹介】ゴミ処理場の職員が同僚を刺したとして殺人未遂罪で逮捕された事件②
前回のコラムに引き続き、センター職員が同僚を刺したとして殺人未遂罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
今回のコラムでは、裁判員裁判について解説します。
殺人未遂罪については前回のコラムで解説していますので、殺人未遂罪に興味のある方は、前回のコラムをご覧ください。
事案
(前略)京都府警右京署によると、同日午前7時50分ごろ、同センターの男性職員(65)=西京区=が同僚の男にサバイバルナイフで左脇腹を刺されて重傷を負い、救急搬送された。同署は殺人未遂の疑いで、下京区小稲荷町、同センター職員の男(59)を緊急逮捕した。
(11月16日京都新聞「ごみ処理場の男性職員が同僚に刺され重傷 殺人未遂の疑いで緊急逮捕」より引用)
(中略)「殺してやろうと思って刺したのではない」と容疑を否認している。
裁判員裁判って?
本件報道によると、容疑者は殺人未遂罪の疑いで逮捕されているとのことです。
仮にこのまま殺人未遂罪で起訴された場合、原則として裁判員裁判となります。
裁判員裁判では、国民の中から選ばれた裁判員6人が裁判官3人とともに、被告人が有罪かどうか、有罪の場合にはどのような刑にするのか決める制度です。
このような国民が裁判に参加する制度は、アメリカやフランスなど欧米でも行われており、司法に対する国民の信頼向上につながることが期待されています。
裁判員裁判になるのはどのような事件?
起訴された刑事事件の全てが裁判員裁判となるわけではありません。
裁判員裁判の対象事件は、①死刑又は無期の懲役・禁固にあたる事件もしくは②法定合議事件(裁判所法26条2項2号)のうち故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた事件です(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項)。
具体的には、殺人罪や現住建造物等放火罪、傷害致死罪や保護責任者遺棄致死罪など、国民の関心が高い重大な事件がこれに該当します。
ですので、本件容疑者が殺人未遂罪で起訴された場合には、原則として裁判員裁判によって裁かれることになります。
裁判員裁判に詳しい弁護士に相談を
上述のように、裁判員裁判では普通の国民が裁判員として審理に加わります。
裁判員は法律の専門家ではないため、専門用語を多用するのではなく、裁判員に向けてわかりやすく丁寧な説明をすることが必要不可欠です。
また、裁判員裁判では、裁判員がいることを踏まえて迅速な裁判の実現のため通常の刑事裁判とは手続きが異なる部分があります。
裁判員裁判の参加する刑事裁判に関する法律49条では、「裁判所は、対象事件については、第一回の公判期日前に、これを公判前整理手続に付さなければならない。」と規定しており、裁判員裁判が行われる場合には、公判前整理手続を行う必要があります。
公判前整理手続では、犯罪にあたる行為や罪名の明確化、争点や重要となる証拠の整理などが行われます。
公判前整理手続後に新たに証拠を提出することは原則できなくなりますので、公判前整理手続で、有利になるような証拠を集め証拠請求をする必要があります。
万が一、公判前整理手続で十分な証拠を得られない状態に陥ってしまいますと、裁判員裁判で窮地に立たされる可能性が非常に高いです。
そういった事態をさけるためにも、刑事事件に精通した弁護士に相談をすることが望ましいといえます。
加えて、裁判員裁判では、裁判官と裁判員の双方の意見を含む過半数の意見により決まります(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律67条1項)。
ですので、少しでも科される罪を軽くするためには、裁判官だけでなく、裁判員に対するアピールも必要になってきます。
先ほども述べましたが、裁判員は国民から選ばれた一般人ですので、法律の専門的な知識に触れたことがない方がほとんどだと思います。
そういった裁判員の方にも弁護士の主張を認めてもらうためには、わかりやすい弁論を行う必要があります。
公判前整理手続や弁論の仕方に工夫が必要など、裁判員裁判は通常の刑事裁判と比べて、非常に特殊ですので、裁判員裁判が控えている方は、裁判員裁判に詳しい経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に依頼し、スピーディな裁判員裁判の手続を踏まえた弁護活動を行うことで、少しでも良い結果を得られるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は0120-631-881にて受け付けております。
【事例紹介】ゴミ処理場の職員が同僚を刺したとして殺人未遂罪で逮捕された事件①
【事例紹介】ゴミ処理場の職員が同僚を刺したとして殺人未遂罪で逮捕された事件①
ゴミ処理場の職員が同僚を刺したとして殺人未遂罪の容疑で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事案
(前略)京都府警右京署によると、同日午前7時50分ごろ、同センターの男性職員(65)=西京区=が同僚の男にサバイバルナイフで左脇腹を刺されて重傷を負い、救急搬送された。同署は殺人未遂の疑いで、下京区小稲荷町、同センター職員の男(59)を緊急逮捕した。
(11月16日京都新聞「ごみ処理場の男性職員が同僚に刺され重傷 殺人未遂の疑いで緊急逮捕」より引用)
(中略)「殺してやろうと思って刺したのではない」と容疑を否認している。
殺人未遂罪
刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
大まかに説明すると、殺人罪は人を殺した場合に成立する犯罪です。
ただ、人を殺せば必ずしも殺人罪が成立するわけではなく、殺人の故意がある場合にのみ成立します。
殺人罪の故意とは、簡単に言えば、人を殺そうとする意志です。
例えば、交通事故で人を死亡させてしまった場合、加害者は被害者を殺そうと思って事故を起こしたわけではないでしょうから、殺人罪ではなく過失運転致死罪などの別の罪が成立することになります。
一方で、殺す意思をもって車で人を轢き殺した場合には、故意が認められますから、殺人罪が成立することになります。
また、殺人罪は未遂であっても罰せられます(刑法第203条)ので、殺す意思を持って人に危害を加えた結果、その人が死に至らなかった場合でも殺人未遂罪として罰せられることになります。
本件では、容疑者が同僚の左脇腹をサバイバルナイフで刺し、殺人未遂罪の容疑で逮捕されたようです。
本件の容疑者は「殺してやろうと思って刺したのではない」と容疑を否認していると報道されていますが、容疑者に被害者を殺そうとする意志があったかどうかは、どのように判断するのでしょうか。
繰り返しになりますが、殺人罪や殺人未遂罪が成立するためには、人を殺そうとする意志が必要です。
ですが、加害者が人を殺そうと思って危害を加えたのかについては、加害者以外知りようがないことです。
であれば、加害者が殺す意思を持っていたかどうかは加害者にしか判断できず、加害者が殺す意思はなかったと容疑を否認すれば、故意がないことを否定できませんから、殺人罪は成立しないことになってしまいます。
ですので、殺す意思があったかどうかについては、加害者の供述以外にも、動機や凶器の有無、危害を加えた箇所や回数、加えた力の強さなど客観的な部分も含めて総合的に判断されます。
例えば、ハンマーで人の頭を数十回殴って殺してしまった場合に、殺すつもりはなかったと、殺す意思を否定した場合であっても、ハンマーで頭を数十回殴れば人が死ぬことは誰でもわかることですから、殺す意思があったとして殺人罪が成立する可能性が高いです。
本件では、容疑者が被害者の脇腹をサバイバルナイフで刺したとされています。
腹部には重要な臓器が多数ありますし、サバイバルナイフであれば1度刺されただけでも致命傷を負いかねません。
ですので、本件では、殺す意思があったと判断され殺人未遂罪が成立するおそれがあります。
また、殺す意思があったかどうかについては、様々な観点から複合的に判断されますので、本件も含め、ナイフで腹部を刺した場合でも殺人罪や殺人未遂罪は成立せず、傷害罪、傷害致死罪にとどまる可能性もあります。
殺人罪と釈放
殺人罪や殺人未遂罪は、他の犯罪と比べて科される量刑が重くなる可能性が高いため、逃亡のおそれがあるとして釈放や保釈が認められづらい犯罪です。
刑事事件では、逮捕されてから72時間以内に、検察官が勾留請求をする必要があるかを判断します。
勾留請求が必要だと判断された場合には、検察官によって勾留請求がなされ、裁判官が勾留の判断を行います。
弁護士には検察官が勾留請求を行う前と裁判官が勾留の判断を行う前の計2回、勾留請求に対する意見書を提出する機会、すなわち釈放を求める機会があります。
この2回の機会を失ってしまうと、勾留満期である勾留決定後10日までに釈放を求めることができるのは勾留決定後に行う裁判所への準抗告の申し立ての1回のみになってしまいます。
勾留満期を迎える際には、一度だけ勾留期間を10日間延長することができます。
この際にも弁護士は勾留延長請求に対する意見書を検察官や裁判官に提出することで、釈放を求めることができますし、勾留延長が決定した後に準抗告を申し立てることが可能です。
また、釈放されずに起訴された場合には、裁判所に対して保釈請求を行うことになります。
保釈の場合には、勾留中の釈放とは異なり、保釈金を納める必要があります。
保釈が認められた後に保釈金を納めることで、身体拘束が解かれることになります。
先ほども述べたように、殺人罪や殺人未遂罪の場合は釈放が認められづらく、一度も釈放や保釈がされないまま裁判に突入してしまう可能性が高いです。
釈放や保釈が認められづらいとはいえ、必ずしも釈放や保釈が認められないわけではありません。
弁護士が釈放や保釈の必要性、家族の監督により逃亡のおそれがないことを訴えることで、釈放や保釈が認められる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した法律事務所です。
弁護士に相談をすることで釈放や保釈を実現できる可能性がありますので、ご家族が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120-631-881までご連絡くださいませ。
3歳男児を浴槽に放置し溺死させた容疑で保護責任者遺棄致死罪で逮捕された事件
3歳男児を浴槽に放置し溺死させた容疑で保護責任者遺棄致死罪で逮捕された事件
3歳男児を浴槽に放置し溺死させた容疑で保護責任者遺棄致死罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事案
交際相手の息子を浴槽に放置して溺死させたとして、京都府警宇治署は30日、保護責任者遺棄致死の疑いで、宇治市の建設業の男(29)を逮捕した。
(京都新聞7月31日「3歳男児を浴槽に放置し溺死させた疑い」より引用)
逮捕容疑は30日未明、男の自宅浴室で、交際相手の女性の長男(3)と入浴した際、湯が張られた浴槽内で男児を放置したまま立ち去り、溺死させた疑い。
同署によると、男は、入浴していた男児が玩具を欲しがり、取りに浴室から約20分間離れ、見つからずに戻ったところ、男児がうつぶせで溺れていたと話している。(中略)男は「間違いない」と容疑を認めているという。
保護責任者遺棄致死罪とは
保護責任者遺棄致死罪(刑法219条)とは、保護責任者遺棄罪を犯した結果、意図せず被害者を死亡させてしまった場合に成立する犯罪です。
保護責任者遺棄罪は、218条に規定されています。
刑法218条
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
保護責任者遺棄罪は、客体と主体が限定されています。
まず、客体は「老年者、幼年者、身体障害者又は病者」です。
幼年者が何歳までを指すのか明確ではないですが、旧刑法336条1項は8歳未満と規定しており、裁判例を見ると2歳から14歳までの実子4人を家に置き去りにした事案で遺棄罪の成立を認めたものがあります(東京地裁昭和63年10月26日)。
本件報道では、死亡した被害者は3歳とのことですから、幼年者にあたると言えるでしょう。
次に主体は「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者」です。
「保護する責任」はどのような場合に発生するのでしょうか?
通説や判例では、法律、契約、条理などが保護責任が生じる根拠としてが挙げられます。
例えば、幼児の世話をしている親は保護責任者に該当しますし、実の親でなくとも子供の世話を依頼しているベビーシッターなども保護責任者にあたります。
本件では、容疑者が交際相手の3歳の息子を浴槽に放置したとされています。
本件の容疑者は保護責任者に該当するのでしょうか。
先ほども述べたように、通説や判例では、法律、契約、条理などの観点から保護責任の有無を判断します。
法律は民法などの法律で規定されているものを指します。
例えば民法第730条では、直系親族は互いに扶け合わなければならないと定めていますので、親は子供について保護責任があると解すことができます。
契約については、委任契約などが当たりますので、ベビーシッターなど子供の世話を委任する契約を結んだ場合には、ベビーシッターにも保護責任があると考えられます。
次に条理ですが、これは社会通念などを指します。
ですので、世間一般的に見て保護責任があると認められるような状況であれば保護責任が認められることになります。
例えば、交際相手の連れ子の面倒を頻繁に見ていた場合、実子や契約に基づいた関係でなくとも、他所から見ると保護責任があるように映るでしょうから、連れ子の場合でも保護責任があると考えられます。
本件報道では、容疑者は3歳の交際相手の息子との入浴途中に当該被害男児を放置して、自分だけ外に出たとされているようです。
報道から察するに、容疑者は被害男児をお風呂にいれていたようですので、被害男児の世話をしていたと解されます。
条理の観点からみて、被害男児の世話をしていたと考えられる容疑者は保護責任者に該当する可能性があります。
「遺棄」とは
保護責任者遺棄罪の行為は「遺棄」と「不保護」です。
両者の違いは、主体と客体との間に場所的離隔が生じるものかどうかで区別されます。
場所的離隔を要する遺棄は、さらに移置と置き去りに分類されます。
移置とは、要扶助者を危険な場所に移転させることをいい、置き去りは行為者が離れていき要扶助者を危険な場所に放置することを言います。
不保護とは、間近にいて世話をしないことです。
本件報道によりますと、容疑者は入浴中に、3歳の被害男児を湯が張られた浴槽内に放置して一人だけ浴室の外に出て行ったようです。
浴槽にどれくらいのお湯が張られていたのかはわかりませんが、3歳の子供では少量のお湯でも溺れる可能性は十分にあります。
1分目を離しただけでもその間に浴槽で溺れてしまうおそれもあり、大人の目がない場所で子供を浴槽に放置する行為は子供の命を脅かす可能性がある危険な行為だといえます。
ですので、本件報道の、3歳の被害男児を浴槽に20分放置したとされている行為は「置き去り」、つまり「遺棄」に該当する可能性があります。
以上より、本件では保護責任者遺棄罪が成立する可能性があります。
そして、本件では遺棄の結果、被害男児は死亡しているとのことなので、保護責任者遺棄致死罪が成立する可能性があります。
なるだけ早く弁護士にご相談を
保護責任者遺棄致死罪の罰則は、3年以上20年以下の有期懲役であり(刑法219条、218条、205条、12条1項)、非常に重たいです。
また、保護責任者遺棄致死罪が問題となる事件では、殺人の故意があると評価され保護責任者遺棄致死罪ではなく殺人罪が成立してしまう可能性があります。
殺人罪の法定刑は、死刑又は無期もしくは5年以上の懲役です(刑法199条)。
殺人の故意がなかったのであれば、取調べ段階で警察官や検察官に対して、その旨をはっきり主張する必要があります。
もし、取調べで殺人の故意があったと受け取られかねない言動をしてしまった場合、それが証拠として用いられて殺人罪が成立してしまうかもしれません。
取調べでどのように対処するかによって、量刑だけでなく成立する犯罪まで変わってしまう可能性がありますから、取調べ前に何をどのように話すか精査する必要があります。
もっとも法律の知識がない人にとって、何をどう話すか精査することは非常に困難です。
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京都市バスの運転手の胸ぐらを掴み、公務執行妨害罪の疑いで川端署の警官に逮捕された事件
京都市バスの運転手の胸ぐらを掴み、公務執行妨害罪の疑いで川端署の警官に逮捕された事件
京都市バスへの駆け込み乗車を拒まれ腹を立てた男が、運転手の胸ぐらを掴んだとして公務執行妨害罪の容疑で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事案
京都市バスの車体をたたき、運転手の胸ぐらをつかんで運転を妨害したとして、京都府警は19日、放射線技師の男(65)=京都市中京区=を公務執行妨害の疑いで逮捕し、発表した。「走って乗ろうとしていたのに発車したので腹が立った」と容疑を認めているという。
(2019年6月19日 朝日新聞デジタル「駆け込み乗車拒まれ「ぼけ」市バス追いかけ妨害容疑」より引用)
川端署によると、男は3月28日午後8時ごろ、女性運転手(40)の胸ぐらをつかみ、運転業務を妨害した疑いがある。男は熊野神社(京都市左京区)前の停留所を出発したバスを追いかけ、後部のドア付近をたたき停車させて乗り込んだ後、車内では「走っているのがわからんのか、ぼけ」と暴言も吐いたという。(後略)
公務執行妨害罪と職務
刑法95条1項は、「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」として公務執行妨害罪を規定しています。
公務執行妨害罪は、公務員による公務の円滑な執行を守ることを目的として規定されています。
ですので、公務執行妨害罪が成立するためには、公務員の職務の執行に対して、暴行や脅迫が加えられる必要があります。
例えば、職務時間外に暴行や脅迫が加えられた場合、公務員による公務の円滑な執行が妨げられることはないので、公務執行妨害罪は成立しません。
では、本件の京都市バスの運転手がバスを運転する行為は公務員の職務にあたるのでしょうか。
判例では、公務員の職務について、「ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる」としています(最判昭和35年3月1日)。
京都市バスの運転手は公務員にあたりますので、京都市バスの運転手の主な業務であるバスを運転する行為は、間違いなく公務員の職務に該当するでしょう。
公務執行妨害罪の暴行、脅迫
公務執行妨害罪における「暴行」とは、公務員に向けられた不法な有形力の行使をいいます(最判昭和37年1月23日)。
先ほども書きましたが、公務執行妨害罪の規定は、公務員による公務の円滑な執行を守ることを目的としており、公務員の身体の安全そのものを守ることを目的としているわけではありません。
したがって、暴行が公務員の「身体」に向けられていることまでは要求されていない点が特徴です。
ですので、警察官が押収した証拠品を壊す行為など、一見すると暴行にはあたらないような行為でも、公務執行妨害罪が規定する「暴行」に該当します。
また、公務執行妨害罪が規定する「脅迫」についても、脅迫罪が成立する行為よりも広く規定されています。
ですので、脅迫罪では脅迫にあたらないような害悪の告知であっても、公務の執行が妨害されるおそれがあるのであれば、公務執行妨害罪が規定する「脅迫」にあたります。
本件では、容疑者の男は公務員である京都市バスの運転手の胸ぐらを掴んだとされています。
胸ぐらを掴む行為は間違いなく暴行にあたりますので、実際に容疑者が京都市バスの運転手の胸ぐらを掴んだのであれば、公務員に向けられた不法な有形力の行使があったと評価できます。
したがって、報道されている容疑者の行為は公務執行妨害罪が規定する「暴行」にあたる可能性が非常に高く、容疑者に公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士への相談を
公務執行妨害罪では、被害者が警察官の場合は現行犯逮捕されることが多いですが、本件のように被害者が警察官以外の場合には現行犯逮捕はされずに後日逮捕されるケースもあります。
当然、逮捕されてしまうと、いつも通り仕事に行くことはできません。
逮捕はある日突然されますから、前もって職場に欠勤の連絡を入れることもできず、無断欠勤になってしまう可能性が非常に高いです。
逮捕後、勾留されてしまうと、勾留期間は最長で20日間にも及びますから、長い間、職場と連絡をとれない状況に陥ってしまうことも少なくありません。
長期間、職場に連絡を入れられないことで、上司に逮捕されたことを知られてしまうおそれがありますし、無断欠勤が続き連絡が取れないことで解雇されてしまうことも考えられます。
逮捕前に弁護士に相談をしておくことで、弁護士が警察官へ働きかけを行い、逮捕を回避できる可能性がありますし、逮捕された場合でも早期に身柄開放活動を行うことで、勾留されずに釈放を認めてもらえる可能性があります。
早い段階で動くことで、あなたやご家族様にとって有利に進むこともあるでしょうから、公務執行妨害罪などの刑事事件を起こしてしまった際は、なるべく早く弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、公務執行妨害事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
身柄開放活動に精通した弁護士に相談をすることで、早期釈放を実現できるかもしれません。
公務執行妨害罪でお困りの方は、できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
いたずら電話が犯罪に⁈ 偽計業務妨害罪はどんな罪?
いたずら電話をかけた場合にどのような犯罪が成立するのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
偽計業務妨害罪とは?
偽計業務妨害罪は、刑法第233条に規定されています。
刑法第233条では、偽計業務妨害罪は「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定されています。
「業務」と「偽計」の意味
業務: この文脈での「業務」とは、職業や社会生活上反復、継続して行う作業を指します。
例えば、病院の受付や、商店の販売活動などが該当します。
偽計: 「偽計」とは、人を欺く行為や、誤解を利用する行為を指します。
これには、虚偽の情報を提供する、誤った印象を与えるなどが含まれます。
大まかに説明すると、偽計業務妨害罪は、人を欺くことで業務を妨害するおそれがある場合に成立します。
いたずら電話で犯罪に⁈
事例
Aさんは京都市上京区にあるV店に100回以上のいたずら電話をかけました。
後日、Aさんは偽計業務妨害罪の疑いがあるとして、京都府上京警察署の警察官に話を聞かれることになりました。
(事例はフィクションです。)
この事例では偽計業務妨害罪が成立するのでしょうか。
通常、店に電話がかかってくれば、その店の従業員は店に用事があるのだと思い対応するでしょう。
当然、Aさんからのいたずら電話も電話にでるまでは内容がわからないため、店に何らかの用事があってかけてきた電話だと思って電話にでるはずです。
ですので、Aさんがいたずら電話をかける行為は、実際には店に対して用事があるわけではないのに、店側に用事があるかの装い、誤解させていることになります。
かかってくる電話がAさんからのいたずら電話だけとは限りませんから、すべての電話を無視するわけにはいかないでしょう。
100回以上かかってくるいたずら電話にでて、対応をするのにも時間がかかりますし、今後いたずら電話がかかってこないようにするための対策を練るなどの今後の対応も必要になるでしょう。
いたずら電話の対応に割いた時間があれば、客への対応や在庫の管理、新商品の開発などの業務が行えた可能性がありますから、Aさんのいたずら電話は業務を妨害するおそれがある行為だといえます。
偽計業務妨害罪は、偽計行為によって業務が妨害されるおそれがある場合に成立しますから、今回の事例のAさんに偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いといえます。
偽計業務妨害罪と刑罰
偽計業務妨害罪は、有罪になると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
懲役刑が科されるか、罰金刑が科されるのかは、被害の程度や犯罪の重大性、犯人の過去の犯罪歴などによって判断されます。
軽い気持ちでいたずら電話をかけた場合であっても、懲役刑が科される可能性があり、注意が必要です。
示談と弁護活動
偽計業務妨害罪などの刑事事件では、示談交渉などの弁護活動も重要な選択肢となる場合があります。
示談の可能性、その手続き、そして弁護士の役割について解説します。
示談の可能性
偽計業務妨害罪においては、被害者と加害者のあいだで示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる場合があります。
示談は双方が納得する内容で締結するため、双方が納得できる条件を探るために示談交渉を重ねる必要があります。
示談手続き
示談を行う場合、加害者と被害者が直接示談交渉をすることもありますが、そのような場合にはトラブルが生じる可能性も考慮する必要があります。
特に、被害者が加害者に連絡先を知られることや直接なやりとりを避けたい場合、加害者が直接示談交渉を行っても示談を断られる可能性が高く、そもそも示談交渉すら行えない可能性があります。
弁護士を入れることで、そういった事態を避けられる可能性がありますので、弁護士を通して示談交渉を行うことが推奨されます。
弁護士の役割
弁護士は、示談交渉を円滑に進めるための専門的な知識と経験を持っています。
また、弁護士は検察官に対して処分交渉を行うことができ、示談を締結できなかった場合でも、不起訴処分の獲得など、より良い結果を得る可能性があります。
注意点と対策
偽計業務妨害罪は、犯罪になるとは知らなかった場合や軽い気持ちでやったとしても成立してしまうおそれがあります。
偽計業務妨害罪に問われないようにするためにも、以下の注意点について常日頃から注意し、対応していくことが重要になります。
注意点
誤解を招く情報の拡散: SNSや口コミでの情報共有は慎重に行いましょう。誤情報が拡散されると、偽計業務妨害罪の成立要件に該当する可能性があります。
業務妨害の可能性: いたずら電話や無用なクレームなど、他人の業務を妨害するおそれのある行為は避けましょう。
意図の確認: 何らかの行為をする前に、その行為が他人の業務にどのような影響を与えるかを考慮することが重要です。
対策
情報の確認: 情報を共有する前に、その情報が正確であるかを確認しましょう。
コミュニケーション: 業務に関わる人々とのコミュニケーションをしっかりと取ることで、誤解やトラブルを防げる可能性があります。
法的な相談: 何か問題が起きた場合は、早めに法的な相談を行い、適切な対応を取ることが推奨されます。
偽計業務妨害罪に強い弁護士
一見些細な行為でも、偽計業務妨害罪が成立してしまうおそれがあります。
犯罪にあたると知らなかったという言い訳は効きませんので、犯罪だと知らずに行った場合でも懲役刑や罰金刑が科される可能性があります。
懲役刑や罰金刑が科されれば前科が付きますので、軽はずみな行動が将来に悪影響を及ぼす可能性は十分にあります。
偽計業務妨害罪にあたるような行為をしてしまったとしても、示談交渉や処分交渉などの弁護活動により不起訴処分を獲得できる可能性がありますから、弁護士に相談をすることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、偽計業務妨害罪など、刑事事件に強い法律事務所です。
初回接見サービスや無料法律相談も行っていますので、偽計業務妨害罪などの刑事事件でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。