Archive for the ‘刑事事件’ Category
ストレスで万引きを繰り返し警察署から呼び出しを受けた事例
ストレスで万引きを繰り返し警察署から呼び出しを受けた事例
ストレス発散の目的で万引きを繰り返し、警察署から呼び出しを受けた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
新社会人であるAさんは新生活になじめずにストレスを抱えていました。
ある日、ほんの出来心からコンビニで万引きをしてしまったAさんは、万引きをすることで自分のストレスが解消されることに気づきました。
以降、Aさんは仕事で嫌なことがある度に万引きを続けました。
2か月後、ついにAさんの万引きがバレてしまい、京都府宇治警察署から呼び出しを受けてしまいました。
(事例はフィクションです。)
万引き
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は簡単に説明すると、人の物を持ち主に無断で、自分や第三者の物にすると成立する犯罪です。
万引きはお店の物をお店の許可なく自分の物にするわけですから、多くの場合、万引きをすると窃盗罪が成立します。
万引きは軽い犯罪に見られがちですが、懲役刑を科される可能性があり、決して軽い犯罪だとはいえません。
ですので、万引きだからと楽観視せずにいることが重要になります。
万引きの場合、初犯であれば罰金刑で済む可能性があります。
ですが、罰金刑であっても前科は付くことになります。
前科が付いてしまうことで会社を解雇されてしまう可能性やその後の転職活動に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。
実際に万引きをしてしまっている場合、前科が付くことは避けられないのでしょうか。
結論から言うと、前科を避けられる可能性があります。
刑事事件では、実際に犯罪行為を行っていたとしても被害者が処罰を求めていない場合などに、不起訴処分が下されることがあります。
刑事事件では起訴しなければ刑罰を科せませんので、不起訴処分を得られれば刑罰は科されず、前科も付かないことになります。
とはいえ、万引き事件で不起訴処分を得ることは容易ではありません。
刑事事件では被害者と示談を締結することで不起訴処分の獲得に有利に働く可能性があるのですが、お店と示談を締結する場合にはお店の方針などから応じてもらえない可能性が高いです。
応じてもらえない場合が多いからと言って、絶対に示談に応じてもらえないわけではありませんので、示談について一考してみる価値はあるかと思います。
加害者本人が示談交渉を行い断られてしまった場合であっても、弁護士が示談交渉を行うことで応じてもらえる場合があります。
ですので、示談を考えている方は、一度弁護士に相談をしてみることをおすすめします。
また、その商品が欲しいから万引きするのではなく、事例のAさんのようにストレス発散などの目的で万引きを繰り返している場合には、クレプトマニアの疑いがあるかもしれません。
そういったことは家族や友人などに相談をしにくいでしょうし、いきなり精神科などに通うこともかなりの勇気がいるかと思います。
万引きを繰り返している状態では、犯行態様が悪質であると判断される可能性が高く、初犯であっても重い刑罰が科される可能性もないとはいえません。
弁護士であれば相談をしやすい場合がありますし、弁護士に相談をすることで少しでも刑罰を軽くできる可能性がありますから、Aさんのように警察署から呼び出しを受けた方、万引きなど窃盗罪で捜査されている方は、一度、弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881で受け付けております。
宿泊するつもりがないにもかかわらずホテルに宿泊の予約を入れた男を偽計業務妨害罪で逮捕
宿泊するつもりがないにもかかわらずホテルに宿泊の予約を入れた男を偽計業務妨害罪で逮捕
宿泊するつもりがないにもかかわらずホテルに宿泊の予約を入れた男が偽計業務妨害罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事例
京都府東山警察署は、奈良県在住の男性A(34)を、宿泊するつもりがないにもかかわらず東山区にあるホテルVに7日間連泊の予約を入れて、当日になってもキャンセルの連絡もせずに来泊しなかったとして偽計業務妨害罪の疑いで逮捕した。
男は取調べに対し、「ホテルVのテレビCMで、自分の嫌いな俳優を使っていてムカついたので軽い気持ちで懲らしめてやろうと思って嘘の予約を入れた」と容疑を認めている。
(フィクションです)
偽計業務妨害罪とは
刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
上記233条の、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人(…)の業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」という箇所が偽計業務妨害罪を規定しています。
偽計業務妨害罪の妨害手段は、①虚偽の風説を流布すること、②偽計すなわち人を騙したり誘惑したり、あるいは人の勘違いや不知を利用することです。
本件では、Aは、ホテルVに7日間の宿泊予約をして自身が宿泊客であるかのように装うことでホテルVを騙して、実際には泊まりに来なかったようです。
したがって、AはホテルVに対して偽計を用いたと言えそうです。
業務の妨害
刑法233条によると、偽計を用いるなどして「業務を妨害した」とした場合に偽計業務妨害罪が成立するようです。
もっとも、判例によると現実に業務活動が阻害されたことは必要ではなく、業務活動が阻害されるおそれがあると言えれば良いとされています(大判昭和11年5月7日、最判28年1月30日)。
「業務」とは、職業として行われる活動など、人が社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務をいいます(東京高裁昭和35年6月9日)。
Aが予約をしておきながら実際に宿泊しに来なかったことによって、他の宿泊客からしてもらえたかもしれない予約を逃してしまい営業活動を妨げられている可能性があります。
また、ホテル側はAが宿泊すると思っているわけですから、本来しなくてよかったAを迎えるための業務を行なっている可能性が高く、これによって他の業務に費やせた時間や労力が消費されたかもしれません。
加えて、Aが当日になっても何も連絡しなかったため、ホテル側はAが遅れて泊まりに来るかもしれないと考えてスタッフの配置を修正する必要に迫られた可能性もあります。
また、ホテルでの仕事は社会生活上の活動ですし、継続して行われますので、偽計業務妨害罪が規定する「業務」にあたると考えられます。
したがって、Aの行為は、ホテルの業務を妨害するおそれのある行為だと言えそうですから、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
本件で男は逮捕されており、この後に起訴され裁判となる可能性があります。
裁判となれば有罪となる可能性がありますし、仮に無罪となっても裁判中は大きな負担となります。
偽計業務妨害罪は被害者のいる犯罪ですから、被害者と示談を締結することで、事件を早期に解決したり、有罪となった場合にも執行猶予がつく可能性があります。
例えば、被害者が被害届を警察に提出する前に示談を結ぶことができれば、事件化を防ぐことができるかもしれません。
仮に事件化した場合であっても、示談が成立していれば、不起訴処分といって検察官が起訴をしない選択をする可能性もありますし、起訴されたとしても裁判官が執行猶予をつけてくれる可能性もあります。
示談交渉は加害者自ら行うのではなく交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
本件のように、偽計を用いて宿泊するつもりがないのに宿泊予約をした加害者に対して、被害者であるホテル側は強い処罰感情を有している可能性が高いと言えますから、示談交渉に応じてもらえないこともめずらしくありません。
このような状況であっても、弁護士相手であれば示談交渉に応じてもらえる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、偽計業務妨害事件をはじめ豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
交渉のプロである経験豊富な弁護士が示談交渉を行うことで、事件化や起訴を防ぐことができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。
クリーニング代と称して5万円を脅し取った男を逮捕
クリーニング代と称して5万円を脅し取った男を逮捕
クリーニング代と称して5万円を脅し取った男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事例
京都府下京警察署は、京都市内で不動産会社に勤務する男A(37)を恐喝罪の疑いで逮捕した。
Aは、外回りの営業で歩道を歩いていたところ、後方から自転車でやってきた主婦VがAのそばを通り過ぎる時に、昨日の大雨でできた水たまりの上を通ってしまい、飛び散った泥水がAのスーツにかかってしまった。
そのまま過ぎ去ろうとした自転車に対し、Aは大声で「おいこら!待てや!何してくれとんねん!」と呼び止め、髪を掴みながら「今から客先に行くところやのにどうしくれんねん!」「クリニーング代よこせ!」などと怒鳴り、Vから5万円を受け取ったとされている。
京都府下京警察署の警察官の取調べに対し、Aは「営業がうまくいかずイライラしてるところに泥水をかけられてぶちぎれてしまった」と容疑を認めている。
(フィクションです)
恐喝罪とは
刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
本件で、Aは、スーツを泥水で汚されて激怒しクリーニング代と称してVから5万円を受け取っています。
Aは、5万円という財物を自身に交付させたと言えますから、本件では、恐喝罪が成立する可能性がありそうです。
では、A の行為は恐喝にあたるのでしょうか。
恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、Aは、Vの髪を掴んでクリーニングと称して現金をよこせと言ったようです。
髪を掴むのは暴行に当たりますから、Aは財物交付に向けて、人を畏怖させるに足りる暴行をしたと言えそうです(①)。
では、Aの上記行為は、Vの反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか(②)?
例えば、鋭利な刃物を突きつけながら金銭を要求する行為は、反抗を抑圧するに至る程度の暴行または脅迫に当たると考えられます。
なぜなら、反抗した場合、刃物で刺されて命を落とす可能性があるので、抵抗せずに要求を飲むしかないと考えられるからです。
このような場合には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性があります。
本件では、Aは、Vの髪の毛を掴みながら現金を要求したようです。
たしかに、Aはナイフや拳銃などの凶器を使用したわけではないですから、Aの行為は反抗を抑圧する程度には至っていないとされる可能性があります。
しかし、Vは成人男性であるのに対しAは女性であり力に大きな差があるため、Vの反抗を抑圧する程度に至っていたとされる可能性もあります。
Vの反抗を抑圧する程度に至っていないと判断されれば、Aの行為は恐喝に当たり、恐喝罪が成立する可能性があります。
一方で、Vの反抗を抑圧する程度に至っていると判断された場合には、恐喝罪ではなく、強盗罪が成立する可能性があります。
凶器の有無だけで判断されるわけではありませんが、本件では凶器を使用しておらず、髪の毛を掴んだだけでは反抗を抑圧する程度の暴行にはあたらないように思われます。
ですので、本件では、強盗罪ではなく恐喝罪が成立する可能性が高いと考えられます。
ただ、反抗を抑圧する程度かどうかは総合的に判断されますので、絶対に強盗罪が成立しないかといえば、そうではなく、状況によっては、本件でも強盗罪が成立する可能性があるかもしれません。
なるべく早く弁護士に相談を
恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役です。
執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つですから、恐喝罪を犯すと執行猶予がつかない可能性があります。
仮に執行猶予がつかなかった場合、刑務所の中で服役することなり大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇や退学処分となることが珍しくありません。
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、科される量刑を3年以内に抑えて執行猶予付判決を獲得する必要があり、被害者との間で示談を締結できるかが非常に重要となります。
通常、恐喝事件の被害者は加害者のことを怖いと思っているでしょうから、加害者本人が謝罪するために連絡してきたとしても応じてくれない可能性が高いです。
本件の被害者の女性の場合、突然大声で呼び止められ髪の毛を掴むなどの暴行を受けているわけですから、加害者と金輪際関わりたくないと思っているでしょう。
そこで、交渉のプロである弁護士に第三者的立場から示談交渉をしてもらうことをおすすめします。
加害者と直接連絡を取ることに強い抵抗を示す被害者であっても、弁護士を通じてであれば示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決や不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120-631-881で承っています。
カードショップに侵入して高額のカードを奪い取った男を強盗罪の疑いで逮捕
カードショップに侵入して高額のカードを奪い取った男を強盗罪の疑いで逮捕
カードショップに侵入して高額のカードを奪い取った男が強盗罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事件概要
京都府中京警察署は、市内の大学に通う男子大学生(23)を強盗罪の疑いで逮捕した。
大学生は、開店準備中のカードショップに侵入し、ショーケースの中に入っていた高額カードを奪い取った疑いが持たれている。
カードショップに侵入した大学生は、開店準備中の店長に対し、「ショーケースの鍵をよこせ」と言いながら、自宅から持ってきた包丁を店長に突きつけたとされている。
命の危険を感じた店長は、腰につけていたショーケースの鍵を大学生から奪い取られ、ショーケースに入ってあった総額200万相当の高額なカードを持ち逃げされた。
取調べに対し、大学生は「生活が苦しかった。奪ったカードを転売するつもりだった」と容疑を認めている。
(フィクションです)
強盗罪とは
刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
本件では、男子大学生が、転売によって現金を得るために、開店準備中のカードショップに侵入し、店長に包丁を突きつけてショーケースの鍵を入手し、中に入っていた高額カードを奪い取ったようです。
強盗罪では、本件のように包丁や鉄パイプなどの凶器が使用されることがあります。
このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが発生しやすいと言えますから、強盗罪は、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪の法定刑が5年以上の有期懲役と非常に重たいのも、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有する犯罪であるためです。
手段としての「暴行又は脅迫」
強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。
本件では、容疑者の男は、ショーケースのカード(財物)を奪い取るために、包丁をショップの店長に突きつけたようです。
店長が男性であったとしても、包丁を成人男性から突きつけられれば、反抗するのは難しいと言えると思われます。
抵抗して包丁で切り付けられたり、刺されたりした場合、最悪のケースでは死亡する可能性があるからです。
したがって、大学生がショップの店長に包丁を突きつけた行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行に当たる可能性があります。
ですので、本件では強盗罪が成立するおそれがあります。
できるだけ早く弁護士に相談を
本件のように強盗罪を起こして起訴された場合、執行猶予がつかない可能性があります。
というのは、執行猶予がつくためには、下された量刑が3年以下である必要があるところ、強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役だからです。
ただし、強盗罪を起こしてしまった場合であっても、被害者との間で示談が成立していれば、刑が減刑されて3年以下の懲役となり執行猶予がつく可能性があります。
もっとも、加害者自らが直接被害者と示談交渉を進めようとするのは得策ではありません。
本件ように、強盗罪の被害者は加害者によって財産だけでなく生命身体に危害を加えられているわけですから、通常強い処罰感情を有していると考えられますし、加害者に対して強い恐怖心を抱いている可能性もあります。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめいたします。
加害者と直接連絡を取ることを拒絶する被害者であっても、弁護士相手であれば交渉に応じてくれることは少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件を含む豊富な刑事弁護の経験を持つ法律事務所です。
被害者側との示談交渉はぜひ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にお任せください。
示談交渉を数多く成立させてきた弊所の弁護士が交渉を行うことで、下される量刑を減軽させたり、執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
「あいつはヤクザ」などと名誉を毀損する内容の投稿をSNSにした疑いで逮捕された事例
「あいつはヤクザ」などと名誉を毀損する内容の投稿をSNSにした疑いで逮捕された事例
「あいつはヤクザ」などと名誉を毀損する内容の投稿をSNSにした疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事件概要
京都府中京警察署は、京都市内で飲食店を経営する男性A(56)を名誉毀損罪の疑いで逮捕した。
Aは、自身の店の常連客の一人で、何かと理由をつけてクレームを言ってくるBに日頃からストレスを感じていたところ、ある日提供したビールがぬるいから会計を安くしろなどと難癖をつけてきた。
腹を立てたAは、SNS上で「Bはヤクザ。2度とくるな」などとBの名誉を毀損する内容の投稿をしてしまった。
Bから被害届を提出されたことをきっかけに捜査が開始し、Aは逮捕された。
(フィクションです)
名誉棄損罪
刑法230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
本件では、AはBの名誉を毀損した疑いが持たれています。
Aがした「Bはヤクザ。2度とくるな」という内容の投稿は、「公然と」「事実を摘示して」人の名誉を棄損したといえるのでしょうか?
判例によれば、「公然と」とは、摘示された事実を不特定または多数人が認識しうる状態をいいます(最判昭和36年10月13日)。
不特定とは、相手方が限定されていないという意味です。
多数人とは、具体的な数は規定されていませんが1、2人では多数とはいえないでしょうから、相当の数を必要としていると考えられます。
本件では、Aは日頃から難癖をつけてくるBに腹を立てていたところ、怒りが限界に達し「Bはヤクザ」という内容の投稿をしてしまったようです。
SNSに投稿された内容は、だれでも見ることができますからBがヤクザだとするAの投稿は、不特定の人が認識しうる状態にあったといえます。
したがって、Aは、人の名誉を「公然と」棄損したとされる可能性があります。
次に、「事実を摘示」したといえるかも問題となります。
名誉毀損罪における事実とは、事実証明の対象となりうる程度に具体的であり、かつ、それ自体として人の社会的評価を低下させるような事実をいいます。
本件で、Aが投稿した「Bはヤクザ」という内容は、真実かどうか証明の対象となりうる程度に具体的です。
さらに、公然と「Bはヤクザ」だと言われることで、周りの人からBさんは関わってはいけない悪い人だと思われて社会的評価が低下する可能性があります。
以上より、Aは、公然と事実を摘示して人の名誉を棄損したとして、名誉棄損罪が成立する可能性があります。
なお、条文の規定上、名誉棄損罪の成立には、実際にBの名誉が棄損されたことが必要であるかのように読めます。
しかし、判例によれば、被害者の名誉が現実に棄損されたかどうかの判断は非常に困難ですから、被害者の名誉が現実に侵害される必要はありません(大判昭和13年2月28日)。
できるだけ早く弁護士に相談を
名誉棄損罪は、親告罪と言って、検察官が起訴するために被害者などの告訴が必要とされます(刑法232条)。
起訴されることで、かえって、被害者の名誉が侵害されるおそれがあるためです。
したがって、告訴前であれば、真摯に謝罪することで告訴はしないという内容の示談をまとめることが重要です。
仮に、すでに告訴されている場合は、起訴前に告訴を取り消してもらえるかどうかが非常に重要になってきます。
なぜなら、告訴の取下げに成功すれば、不起訴処分となり前科がつくこともないからです。
名誉を毀損された被害者は、自分の社会的な評価を下げさせかねない発言をしてきた加害者に対して、被害者は強い処罰感情を抱いている可能性が高いです。
したがって、加害者が直接相手方と示談交渉をすることは得策ではありません。
本件の場合、被害者は何かと難癖をつけてくる相手のようですから、告訴の取り下げと引き換えに法外な示談金を請求される可能性があります。
そこで、示談交渉のプロである弁護士に示談交渉をお任せすることをおすすめします。
被害者も弁護士相手であれば、冷静に示談交渉に応じてくれる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、名誉毀損事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行い、告訴を取り下げてもらうことで不起訴処分を得ることができる可能性があります。
一度起訴されてしまうと、告訴を取り下げることはできません。
ですので、可能な限り早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
スーパーで食料品を盗んだ主婦を逮捕
スーパーで食料品を盗んだ主婦を逮捕
スーパーで食料品を盗んだ主婦が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事件概要
京都市右京区で専業主婦をしているAさんは、近所のスーパーにごま油とマヨネーズを買いに来たところ、財布を家に置き忘れていたことに気づき、取りに帰ろうかと思ったものの、めんどくさくなり自分の鞄の中に商品を入れて会計を済まさずに店の外に出ようとしました。
Aさんの一連の行為を防犯カメラで見ていた店長は、警察に通報し、店の外に出ようとするAさんを呼び止めました。
Aさんは駆けつけた京都府右京警察署の警察官に窃盗罪の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
窃盗罪とは
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転することを言います。
まず、占有が認められるためには、客観的要件としての財物に対する事実的支配(客観的支配)と、主観的要件として財物に対する支配意思が必要です。
例えば、他人が自由に出入りすることができない自宅などの閉鎖的な支配領域内に置いている物には、家主の客観的支配が認められます。
また、家の中にある物については、家主はそれが自分のものだという支配意思もあるでしょう。
したがって、家の中に置いているものについては、家主が占有していると言えるでしょう。
本件では、Aは、スーパーの商品であるごま油とマヨネーズを自分の鞄に入れて持ち出そうとしたようです。
Aが持ち出そうとした商品は、スーパーの中で陳列されていたものですから、スーパーにはごま油とマヨネーズに対して強い客観的支配があったと言えそうです。
また、店内に陳列している商品について、スーパーは自分のものだという強い支配意思を有していると言えます。
したがって、スーパーがごま油とマヨネーズを占有していたと言えそうです。
また、Aは、ごま油とマヨネーズの代金を支払うことなく店の外に出ようとしたようです。
スーパーが、商品の代金を支払うことなく商品を店の外に持ち出すことを許しているということはないでしょうから、Aは、当該商品を占有者であるスーパーの意思に反して自己の占有に移転したと言えそうです。
以上より、Aには窃盗罪が成立する可能性があります。
商品を鞄に入れた時のAの認識
窃盗罪は故意犯、すなわち自らの行為が犯罪であることをわかった上で行うと成立する犯罪です。
窃盗罪の場合、故意の内容は、他人の財物を窃取することを認識・認容していたことです。
本件では、Aは、持ってくるのを忘れた財布を取りに帰るのが面倒だという理由で、スーパーに陳列されているごま油とマヨネーズを店のものだとわかっていながら本件行為に及んでいます。
他人の物だと認識しながら自分の物にしているわけですから、Aには故意があったといえ、窃盗罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
本件では、Aは逮捕されています。
警察に逮捕された被疑者は、逮捕から72時間以内に、「勾留」という逮捕に引き続く10日間の身柄拘束の必要性について、検察官と裁判官から判断されます。
弁護士は、検察官と裁判官に対し、勾留に対する意見書を提出することで釈放を求めることができます。
したがって、早い段階で弁護士に相談して、意見書を提出する機会を逃さないことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、早期の身柄解放を実現できる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
【事例紹介】木造3階建てを全焼させたとして現住建造物等放火罪で逮捕
【事例紹介】木造3階建てを全焼させたとして現住建造物等放火罪で逮捕
自宅である木造3階建ての建物を全焼させたとして、現住建造物等放火罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
京都府警山科署は8日、現住建造物等放火の疑いで京都市山科区、無職の男(45)を逮捕した。
(3月9日 京都新聞 「「母親と口論で腹いせ」自宅に放火、全焼させた疑いで逮捕」より引用)
逮捕容疑は、(中略)自宅の木造3階建て延べ約80平方メートルを全焼させた疑い。男は、母親と弟の3人暮らしで「母親と口論になり、腹いせでやった」と話しているという。
現住建造物等放火罪
刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
現住建造物等放火罪は、簡単に説明すると、人が生活している建物や人がいる建物などに放火し焼損させると成立する犯罪です。
現住建造物等放火罪が規定する人とは加害者以外の人を指しますので、加害者だけが住んでいる家や加害者しかいない建物を放火した時には現住建造物等放火罪は成立しません。
放火とは、簡単に言うと火を点けることをいいます。
例えば、木造の家に直接ライターで火を点ける行為は放火にあたりますし、新聞紙などに火を点けて燃え移らせようとした場合にも放火にあたります。
また、焼損を簡単に説明すると、火を点けるための媒介物から家などの目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼し続ける状態のことをいいます。
今回の事例では、容疑者が自宅の木造の建物を延べ約80平方メートルを全焼させたとされています。
この自宅には容疑者のほかに母と弟が暮らしていたようですので、現住建造物にあたるといえます。
また、延べ約80平方メートルが全焼しているということは、火を点ける媒介物から火が燃え移って家が独立して燃焼していたと考えられますから、焼損にあたるでしょう。
ですので、容疑者が放火したのであれば公共の危険を生じさせたといえるでしょうから、容疑者に現住建造物等放火罪が成立する可能性が高いと思われます。
裁判員裁判
現住建造物等放火罪は裁判員裁判の対象となる事件です。
裁判員裁判では通常の裁判とは違い、裁判官だけでなく市民も参加して判決を下します。
ですので、裁判員裁判に向けた弁護活動が必要になってきます。
裁判員裁判では、市民である裁判員の負担を減らすため、短期間に裁判を集中して行います。
そのため、裁判員裁判では必ず裁判前の準備として公判前整理手続が行われます。
公判前整理手続では、事件の争点や証拠の整理が行われます。
弁護士は公判前整理手続の中で被告人に有利になるような重要な証拠を集め、争点を明らかにしていく必要があります。
また、裁判員裁判では、判決に市民である裁判員の意見が反映されますから、裁判官だけでなく裁判員も納得させなければなりません。
通常の裁判と違い裁判員へのアピールも必要になってくるなど、裁判員裁判は通常の裁判と異なりますから、裁判員裁判が行われる場合には、刑事事件の経験豊富な弁護士に相談をすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、少しでも良い結果を得られるかもしれません。
現住建造物等放火罪などの刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
友人から預かっていたPCを無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例
友人から預かっていたPCを無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例
友人から預かっていたPCを無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事件概要
京都府下鴨警察署は、京都市左京区に住む男子大学生Aを横領罪の疑いで逮捕した。
Aは、同じ大学に通う友人が1年間アメリカの大学に留学することになったため、友人が大切に使っていたデスクトップPCを帰国するまで預かることになっていた。
ところが、Aは、友人が出国してから半年が過ぎた頃にギャンブルにはまりお金に困るようになったため、預かっていた友人のPCをフリマアプリで売却したとされている。
日本に帰国した友人は、PCを返却するように求めても一向にAが返してくれないので問い詰めたところ、売ってしまったことが判明し、警察に被害届を提出したことで事件化した。
取調べに対し、Aは、「もらったものと思っていた。」と容疑を否認している。
(フィクションです)
横領罪とは
刑法252条1項
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
本件では、Aは、友人から預かっていたデスクトップPCをお金欲しさに勝手に売ってしまった結果、横領罪の疑いで逮捕されています。
横領罪とは、簡単にいうと他人から預かっている物などを売るなどすると成立する犯罪です。
まず、252条1項に書かれている通り、横領罪を犯しうるのは、他人の物を占有している人に限られます。
本件では、Aは、友人のPCを預かっていたようですから、Aには横領罪が成立する可能性があります。
次に、横領罪の客体は、条文上「自己の占有する他人の物」とされていますが、文字通り自己の占有する他人の物すべてが客体となるわけではありません。
偶然に自己が占有することになった物を横領する行為については、刑法254条の占有離脱物横領罪が成立します。
したがって、252条1項の横領罪の客体となるのは、持ち主から頼まれて預かった場合のように、委託信任関係を原因として事実上または法律上支配力を有する状態下にある他人の物に限定されます。
本件では、Aは友人の大切にしていたPCを帰国するまで預かっているようですから、このPCは、252条1項の横領罪の客体となる可能性があります。
そして、本罪の行為は、横領することです。
横領とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、他人の物に対し経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をする行為です(最判24年3月8日)。
例えば、物を売るという行為は、その所有者にしか許されない行為ですから、横領に当たります。
本件では、Aは、友人が帰国するまでの間、PCを預かることになっていたにもかかわらず、その任務に背き無断でフリマアプリでPCを売却したようです。
したがって、Aの行為は横領にあたり、横領罪が成立する可能性があります。
加えて、横領罪が成立するためには、故意すなわち男が横領にあたる行為を認識しながら実行したことが必要です。
この点、本件Aは、PCは預かっていたのではなく貰ったものだとAは主張しているようですが、友人はPCを譲り渡したつもりはないようです。
警察が疑っているように、Aがお金を得るために友人の物とわかっていながらPCを売却したのであれば、故意もあったということになり、横領罪が成立する可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談を
多くの場合、本件のように、被害者が被害届を提出したことをきっかけに捜査機関の捜査が始まります。
横領罪は被害者のいる犯罪ですが、加害者と被害者は見ず知らずの他人ではなく、元々物を預けるというような関係性があるという特徴があります。
知らない仲ではないため、被害弁償がされれば被害届を出さない被害者もいらっしゃるようです。
したがって、きちんと謝罪と被害弁償をして示談をすれば、被害届が提出されず、事件化を防げる可能性があります。
加害者にとって、被害者は知人であることから自分で示談交渉ができると思われるかもしれません。
しかし、被害者にとって加害者は、信頼して物を預けていたのにその信頼を裏切った人ですから、妥当な金額以上の金銭や条件を要求されるかもしれません。
そこで、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、横領事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が、被害者側と示談交渉を行うことで示談を成立させることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は0120-631-881で受け付けております。
アプリ開発エンジニアが開発中のアプリを無断で第三者に販売した事例
アプリ開発エンジニアが開発中のアプリを無断で第三者に販売した事例
IT企業に勤めるアプリ開発エンジニアが、会社で開発中のアプリを無断で第三者に販売した事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事件概要
京都府中京警察署は、京都市内のIT企業でアプリ開発エンジニアとして働く男(26)を、男が会社で開発中のアプリのコピーを会社の許可なく複数の第三者に販売したとして、背任罪の疑いで逮捕した。
取調べに対し男は、「ほとんど自分が作ったようなものなので、会社のものというより自分のアプリという感覚だったので、自分のものを売る感覚だった。すでにアプリは完成しているのに会社が動作確認をするといってなかなか発売してくれなかったので、自分で売ろうと思った。」として容疑を認めている。
(フィクションです)
背任罪とは
刑法247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
背任罪は、身分犯といって、殺人犯のように誰もがその犯罪主体となれる犯罪ではなく、主体となりうる人が一定の立場にある人に限定されている犯罪です。
背任罪における身分は、「他人のためにその事務を処理する者」です。
本件で、背任罪の疑いで逮捕されたエンジニアの男性は、問題となったアプリの開発担当として、その開発と管理を任されていたようです。
したがって、エンジニアの男性は、勤務するIT企業のためにアプリの開発および管理等の事務を処理する者ですから、背任罪の主体となりうる者といえそうです。
また、背任罪が成立するためには、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」が必要です。
本件では、男は、勤務先の事業の一環で開発中のアプリを、会社の許可なく勝手に販売しています。
したがって、男は自分の利益を図るという目的を有していたといえそうです。
次に、背任罪が成立するためには、男が「任務に背く行為」をしたことが必要です。
「任務に背く行為」とは、他人の事務の処理者として当該具体的事情の下で当然になすべきものと法的に期待される行為をせず、信任関係に違背することを言います(大判明治44年10月13日、大判大正3年6月20日)。
本件でいうと、男は、会社のアプリ開発担当として、アプリを開発し社外に漏れないように管理することが期待されていたにもかかわらず、あろうことか会社に無断で商品であるアプリを第三者に販売して会社を裏切っています。
したがって、男の行為は任務に背く行為であったといえそうですから、背任罪が成立する可能性があります。
財産上の損害の有無
背任罪は財産犯の一種なので、単なる裏切り行為であれば背任罪は成立しません。
背任罪が成立するためには、「本人に財産上の損害を加えた」ことが必要です。
本件では、男は会社に損害を与えたと言えるのでしょうか?
会社は、男の行為により会社が金庫や銀行に預けていた現金が減少したわけでも、財産的価値のあるアプリのデータがなくなったわけでもありません。
この点について、判例は、経済的見地から本人の財産全体を考慮して、既存の財産が減少したとき又は将来取得するはずだった利益を喪失したときに、財産上の損害が加えられたと解しています。(最決58年5月24日)。
本件でいうと、たしかに男の行為により、会社の既存の財産は減少していません。
しかし、男がアプリを複数の第三者に売却してしまったため、これらの第三者に対して会社が当該アプリを売ることで得られた代金を会社は得ることができなくなったと言えそうです。
したがって、本件では、男は会社に財産上の損害を加えたとして、背任罪が成立する可能性があります。
できるだけ早く弁護士に相談を
背任罪は被害者のいる犯罪です。
検察による起訴するかしないかの判断や、裁判官の量刑や執行猶予をつけるかどうかの判断において、被害者との間に示談がまとまっているかどうかは大きな意味を持ちます。
示談をするにあたっては、被害者に対して真摯に謝罪した上で背任行為によって生じた損害を弁償することが必要です。
もっとも、被害者は、背任行為という裏切りをしてきた加害者に対して強い処罰感情を有していることが考えられます。
したがって、示談交渉のために被害者と連絡を取ろうとしても拒絶されてしまうかもしれませんし、交渉に応じてくれたとしても示談の内容として妥当ではない要求をされる可能性もあります。
そこで、示談交渉は自分でするのではなく、交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者と直接連絡を取ることを頑なに拒否する被害者でも、弁護士相手であれば、交渉に応じてくれることも少なくありません。
また、当事者でない弁護士が第三者的な立場で示談内容を取りまとめることで、双方が納得する妥協点に至ることができるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、背任罪など刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
【事例紹介】消費者金融アプリのアカウントに不正アクセスしてお金を不正に借り入れた事例②
【事例紹介】消費者金融アプリのアカウントに不正アクセスしてお金を不正に借り入れた事例②
前回のコラムに引き続き、消費者金融会社のスマートフォンアプリのアカウントに不正アクセスしお金を借り入れたとして不正アクセス禁止法違反、窃盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
京都府警サイバー捜査課などは11日、不正アクセス禁止法違反と窃盗の疑いで、(中略)再逮捕した。
(3月11日 京都新聞 「インフルエンサー悪用で被害相次ぐ…不正アクセスで150万円引き出した疑いで男を再逮捕」より引用)
再逮捕容疑は、京都市南区の男(22)=同罪などで起訴=ら男2人と共謀し、昨年8月27日、消費者金融会社のスマートフォンアプリを使い、いずれも20代で東京都や岡山県に住む男女3人のアカウントに不正アクセスし、京都府京丹波町と南丹市のコンビニATMから借入金計150万円を引き出して盗んだ疑い。
(後略)
窃盗罪
刑法第235条では、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
簡単に説明すると、窃盗罪は他人の持ち物をその人の許可なく自分や第三者の物にすると成立する犯罪です。
今回の事例では、消費者金融会社のスマートフォンアプリのアカウントに不正アクセスし、ATMから借入金を引き出したとして不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反、窃盗罪の容疑で再逮捕されたと報道されています。
今回の事例では窃盗罪は成立するのでしょうか。
まず初めに、容疑者らがATMから引き出したとされる借入金刑150万円が容疑者らの手に渡る前の持ち主が誰なのかを考えていきましょう。
考えられる可能性として挙げられるのは、不正アクセスされたアカウントの本来の持ち主である借入の名義人、容疑者らが不正アクセスしたとされる消費者金融会社でしょうか。
実はどちらも違います。
容疑者らの手に渡る前の持ち主は、そのATMを管理している銀行になります。
ではなぜ、借入した名義人や消費者金融会社ではなく銀行が持ち主になるのでしょうか。
銀行と預金者(消費者金融会社の口座名義人)は口座開設の際に、預けたお金は銀行が自由に使うことができ、銀行は預金者が預けたお金と同等の額のお金を預金者が引き出す形で返還する契約を締結しているはずです。
消費者金融会社側が銀行に預けたお金はすでに融資などですでに使われているでしょうから、容疑者らが引き出したとされるお金は消費者金融会社の持ち物だとはいえません。
同様の理由で他の預金者の持ち物だともいえませんの、そのお金が保管されていたATMを管理している銀行が持ち主にあたります。
本来借入金を受け取るはずだった借入人ではない人が借入金を引き出していますので、借入金は銀行の意思に反して容疑者らの持ち物にされたことになります。
ですので、容疑者らが実際に不正アクセスを行ってATMから借入金を引き出したのであれば、窃盗罪が成立する可能性があります。
今回の事例では、被害額が150万円と高額であり、罰金刑では済まずに懲役刑が科されてしまう可能性があります。
懲役刑とは刑務所に収容されて刑務作業を行わなければならない刑罰ですので、懲役刑が執行されると刑務所に行き、自由が制限されることになります。
やはり自由が制限されるのはつらいですし、何とかして刑務所に行くことを避けたいと考える方も多いかと思います。
もしも執行猶予付き判決を獲得することができれば、有罪になって懲役刑が下されたとしても、再犯などしなければ刑務所に行かなくてよくなります。
執行猶予付き判決を獲得するためには、取調べ対応や示談締結などが重要になってきます。
窃盗罪の経験豊富な弁護士による弁護活動で執行猶予付き判決を獲得できる可能性がありますので、窃盗罪でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。