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実際には撮影していないのに逮捕?!スカートの中を盗撮しようとして逮捕された事例

2024-02-23

実際には撮影していないのに逮捕?!スカートの中を盗撮しようとして逮捕された事例

盗撮

盗撮しようとしてスマートフォンをスカートの中に差し入れたとして、性的姿態等撮影未遂罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都市下京区に住むAさんは、通勤のために京都駅を利用していました。
京都駅の改札口に向かうエスカレーターに乗っていたAさんは、前に女子高校生が乗っていることに気が付きました。
魔が差してしまったAさんは、女子高校生の下着を盗撮したいと考えて、カメラを起動しスカートの中に自分のスマートフォンを差し入れました。
Aさんの不審な動きに気づいた人が駅員に通報し、Aさんは性的姿態等撮影未遂罪の容疑で京都府下京警察署の警察官に逮捕されることになりました。
(事例はフィクションです。)

盗撮と新法

昨年7月までは盗撮について、各都道府県の迷惑行為防止条例で規定されていましたが、現在は、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影処罰法」といいます。)で規定されています。
ですので、以前は盗撮をすると都道府県の迷惑行為防止条例違反が成立していたのが、性的姿態撮影処罰法の制定により、性的姿態等撮影罪が成立することになります。

性的姿態等撮影未遂罪

性的姿態撮影処罰法第2条1項1号
正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態

性的姿態撮影処罰法第2条1項では、人が身に着けている下着かつ性的な部位を覆っている部分や性行為中の姿などの性的姿態を撮影する行為を禁止しています。
性的姿態等撮影罪は、簡単に説明すると、盗撮していると気づかれないように、ひそかにスカートで隠れている下着や性行為の様子などを撮ると成立する犯罪だといえます。

また、性的姿態撮影処罰法第2条2項では、「前項の罪の未遂は、罰する。」と規定されていますので、未遂の場合でも罰せられることになります。
ですので、盗撮しようとしたけど撮影できなかった場合などには、性的姿態等撮影未遂罪が成立することになります。

今回の事例では、盗撮したいと考えたAさんが女子高校生のスカートの中にスマートフォンを差し入れています。
スカートで覆われた下着を着用している姿は性的姿態にあたると思われますし、実際に撮影していなくても性的姿態等撮影罪は未遂罪を規定していますので、Aさんに性的姿態等撮影未遂罪が成立する可能性があります。

性的姿態等撮影罪の法定刑は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金です。(性的姿態撮影処罰法第2条1項)
性的姿態等撮影未遂罪も同様の法定刑となります。

盗撮と示談

刑事事件では起訴され有罪になると刑罰を科されることになります。
逆にいえば、起訴されなければ刑罰を科されることはありません。
不起訴になる処分のことを不起訴処分といい、起訴するには証拠が不十分な場合や被害者が処罰を求めていない場合などに不起訴処分に付されることがあります。
ですので、犯罪にあたる行為を行っていたとしても、不起訴処分を獲得することができれば、刑罰を科されることはありませんし、刑罰が科されませんので前科も付きません

では、どうすれば不起訴処分を得られるのでしょうか。

不起訴処分獲得に向けた弁護活動として、示談交渉が挙げられます。
示談交渉を行い、宥恕条項付きの示談を成立することで、被害者が厳しい処罰を求めていないとして不起訴処分を得られる可能性があります。
今回の事例では被害者は女子高校生ですので、おそらく女子高校生の母親や父親と示談を締結することになるでしょう。
保護者相手の示談交渉は、大切な子供が事件に巻き込まれたわけですから、厳しい処罰感情を持たれていることも少なくなく、示談交渉が難航することも少なくありません。
加害者自らが連絡することで新たなトラブルを生む可能性もありますので、示談交渉は弁護士を介して行うことをおすすめします。

また、弁護士は検察官に不起訴処分を求める処分交渉を行うことができます。
弁護士による弁護活動で不起訴処分を獲得できる可能性がありますので、盗撮で捜査を受けている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。

パチンコ店内で口論となった相手を殴った疑いで逮捕された事件

2024-02-21

パチンコ店内で口論となった相手を殴った疑いで逮捕された事件

胸ぐらを掴む男性

パチンコ店内で口論となった相手を殴った疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府南警察署は、パチンコ店内でトラブルとなった相手を殴って全治2ヶ月の重症を負わせた疑いで、京都市内にあるホテルで働く会社員(35)の男性を傷害罪の容疑で現行犯逮捕した。
男は夜勤明けにパチンコをしていたところ負けが続き財布のお金が尽きたのでコンビニATMに行こうとして通路で別の客にぶつかり、イライラしていたこともあり殴ったり蹴ったりしてしまったと容疑を認めている。
相手の男性は殴られた勢いでパチンコ台に肩をぶつけて骨折し全治2ヶ月の重症を負った。
(フィクションです)

傷害罪とは

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)
例えば、人を殴って出血させた場合、血液が担う体内を循環し酸素などの物質や熱を運搬するといった生理的機能に障害を加えたといえます。
したがって、この場合には、人を傷害した、として傷害罪が成立する可能性があります。
本件では、容疑者は、パチンコで負けてイライラしていたところ、店内でぶつかった相手に殴る蹴るの暴行をして骨折させ、生理的機能に障害を加えています。
したがって、本件では傷害罪が成立する可能性があります。

逮捕されたらどうなるの?

本件で容疑者は逮捕されています。
逮捕自体は最大72時間ですが、この間に勾留の必要があるかどうかが検察官と裁判官により判断され、検察官が請求をし裁判官が勾留が必要だと判断した場合、さらに10日間身柄を拘束されることになります。
本件の容疑者は京都市内のホテルに勤務しているようです。
仮に、勾留された場合、仕事に行くことが長期間できなくなり、刑事事件を起こしてしまったことが勤務先のホテルに知られてしまう可能性が高いです。
この場合、長期間勤務できないことを理由に解雇されてしまう可能性がありますから、勾留の必要がないことを検察官と裁判官に説明すべきです。
もっとも、弁護士のように刑事事件に詳しくない一般の人にとって、検察官と裁判官に何をどう説明したら勾留の必要がないと判断してもらえるのか、よく分からないのではないでしょうか。

できるだけ早く弁護士に相談を

そこで、弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士は、検察官と裁判官に対し、勾留に対する意見書を提出することができます。
本件のように現行犯逮捕された場合は即座に弁護士を派遣してもらうことをおすすめします。
弁護士に依頼するのが遅くなってしまうと、適切なタイミングで適切な意見書を提出することが難しくなります。

仮に、釈放されずに起訴された場合、裁判所に対して保釈請求をして、身柄の解放を目指すことになります。
保釈が認められれば、保釈金を支払うことで身体拘束から解放されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、傷害事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
早い段階で弁護士に依頼していれば、長期間の身柄拘束を防ぎ、解雇を防ぐことができるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

同意を得ることなく性行したとして不同意性行等罪の疑いで逮捕された事例

2024-02-18

同意を得ることなく性行したとして不同意性行等罪の疑いで逮捕された事例

逮捕される男性

同意を得ることなく性行したとして不同意性行等罪の疑いで逮捕された事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府左京警察署は、京都市内の大学に通う男子大学生(21歳)を不同意性交等罪の疑いで逮捕した。
大学生は、大学のサークルの打ち上げで酒を飲んで泥酔した女性を自宅に連れ帰り、性交に及んだとされている。
被害女性から被害届が提出された結果、事件が発覚した。
男は取調べに対し、性行はしたが同意はあったと一部容疑を否認している。
(フィクションです)

不同意性交等罪とは

刑法177条は不同意性交等罪を規定しています。
この規定は2023年の刑法一部改正により、従来の強制性交等罪と準強制性交等罪が改正されたものです。

同条1項によれば、例えば、アルコールの影響下にあるために(176条1項3号)、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交(中略)をした者は、(中略)5年以上の有期拘禁刑」を課されることになります。
不同意性行等罪が成立するためには、上記心理状態が、176条1項各号に該当するような行為または事由その他これらに類する行為や事由によって生じていたことが必要です。
具体的には、暴行若しくは脅迫を用いたり(1号前段)、アルコールや薬物を摂取した影響下にあること(3号後段)などによって、性行に及ぶことについて、有効な同意があったとは言えないにもかかわらず、性行に及ぶと不同意性交等罪が成立します。

本件の被害者は、サークルの打ち上げに参加した女性で、お酒を飲んで泥酔していたようです。
したがって、刑法176条1項3号の規定する「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はその影響があること」に該当しそうですし、女性がアルコールの影響で性行について同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難だった可能性があります。
このような状態にあることに乗じて、男が性行に及んだのあれば、不同意性交等罪が成立する可能性があります。

有効な同意の有無

大学のサークルや会社の飲み会など、異性とお酒を飲む機会は決して珍しくありません。
性行した相手方が、事前にお酒を飲んでいた場合、必ず不同意性行等罪が成立するのでしょうか?

お酒を飲んで有効な同意ができない状態になってしまうかどうかは、その人の体質や飲酒量などによって変わってくるでしょうから、お酒を事前に飲んでいたからといって必ず不同意性交等罪が成立するわけではありません。

もっとも、有効な同意ができない状態だったかどうか事後的に判断するのは非常に困難です。
被害者の証言はもちろん重要ではあるものの、それだけで決定的な証拠として事件が処理されるのであれば冤罪のリスクが高まります。

できるだけ早く弁護士に相談を

相手方が性行為について同意していたことを証明することは、とても難しいです。
さらに警察に逮捕されて自由に動けない場合は、自力で意味のある証拠を集めることはなおさら困難ですし、仮に自ら証拠を集めることが可能だったとしても証拠隠滅を疑われてしまうおそれがありますので、不同意性交等罪の容疑をかけられた際は一度、弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。

仮に、同意なく性行為に及んだ可能性がある場合には、被害者と示談を成立させることが非常に重要となります。
たしかに、不同意性交等罪は親告罪ではないため、被害者等の告訴がなくても検察は起訴することができます。
しかし、起訴するとなった場合には、被害者に精神的負担が生じる可能性もあります。
したがって、被害者との間で示談が成立して当事者間で問題が解決しているのであれば、検察官はあえて起訴せずに不起訴処分にすることも多いようです。

もっとも、加害者自ら示談のため被害者に接触しようとするのは得策ではありません。
被害者は通常強い処罰感情を有しているでしょうから、交渉に応じてくれない可能性が高いです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者本人と話をすることを頑なに拒絶される方であっても、弁護士が相手であれば交渉に応じてくれることは少なくありません。
交渉は時間がかかりますから、なるべく早く弁護士に一度相談されることを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、不同意性行等罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分を得られる可能性があります。
仮に、起訴された場合でも、示談の有無が刑や執行猶予を付与するかどうかの判断に影響する可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例紹介】警部補が知り合いを転倒させてけがを負わせ、服の一部を壊した事例

2024-02-16

【事例紹介】警部補が知り合いを転倒させてけがを負わせ、服の一部を壊した事例

胸ぐらを掴む男性

京都府南丹署の警部補が知人にけがを負わせ、服の一部を壊したとして、傷害罪器物損壊罪の容疑で書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

知人に軽傷を負わせたなどとして、京都府警は(中略)、傷害と器物損壊の疑いで、南丹署の30代の男性警部補を書類送検した。(中略)
書類送検容疑は、昨年10月、勤務後に飲酒して帰宅途中だった午後11時ごろ、南丹市内の路上で中傷を受けた知り合いの男性に対し、体を押して転倒させて右膝に軽傷を負わせ、服の一部を壊した疑い。(後略)

(2月15日 京都新聞 「知人にけがを負わせた男性警部補 傷害と器物損壊容疑で書類送検 京都府警」より引用)

傷害罪

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

傷害罪は簡単に説明すると、暴行などを加えて人にけがなどを負わせた際に成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者は知人の体を押して転倒させ、右膝に軽傷を負わせたとされています。
体を押す行為は暴行にあたりますし、体を押されたことで被害者である知人は転倒し、右膝をけがしたようです。
ですので、実際に容疑者が知人を転倒させ、けがを負わせたのであれば、傷害罪が成立する可能性が高いといえます。

器物損壊罪

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、簡単に説明すると、公用文書や私用文書、建造物以外の物を壊したり、使えなくした場合に成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者が知人の服の一部を壊したとされています。
服がどのように壊れたのかは報道からでは明らかではありませんが、おそらく転倒した際に破れたりしたのでしょう。
服は公用文書や私用文書、建造物にはあたりませんし、破れた服を着ることはできないでしょうから、実際に容疑者が知人の服の一部を壊したのであれば、器物損壊罪が成立する可能性があります。

書類送検

ニュースを見ていると、書類送検という言葉を目にすることがあると思います。
書類送検とはいったいなんなのでしょうか。

書類送検とは、事件が検察庁に送られることを指します。
検察官は警察署から送られてきた事件記録などを基に、起訴、不起訴の判断を行います。
書類送検後も必要であれば、取調べなどを追加で行いますから、書類送検されたからといって事件の捜査が終わるわけではありません。

また、書類送検後に起訴、不起訴の判断をするわけですから、略式起訴ではない限り起訴の判断がなされた場合には裁判が開かれることになるでしょうし、有罪になれば懲役刑などを科される可能性もあります。
時々、「これだけの事件を起こしといて書類送検で済むのか」などの意見を目にすることがあるのですが、書類送検は処分ではないため、書類送検された場合でも実刑判決が下されて刑務所に行かなければならなくなってしまう場合もあります。

示談と不起訴処分

器物損壊罪親告罪(刑法第264条)ですので、告訴を取り下げてもらうことができれば、器物損壊罪で刑罰を科されることはありません。

被害者に対して、謝罪と賠償をしっかりと行い示談を締結することで、告訴を取り下げてもらえる場合があります。
ですが、知人との間で起こした事件の場合は、知人と言えど被害者は加害者から連絡をもらいたくない、むしろ関係を断ちたいと思っている可能性もあり、加害者自らが被害者に連絡を取ることはあまり得策ではありません。
むしろ、今までの関係性があることから、事件後に連絡を取ることで余計にトラブルに発展してしまう可能性もあります。
弁護士が間に入ることで、双方が落ち着いて話をすることができる可能性もありますから、謝罪や賠償の申し入れや示談の提案を行う際には、弁護士に相談をすることをお勧めします。

また、傷害罪親告罪ではありませんが、被害者と示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる場合があります。
仮に、不起訴処分を獲得できなくとも、被害者と示談を締結していることが、執行猶予付き判決の獲得や罪の減刑など有利に働く可能性が高いといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
傷害罪器物損壊罪に詳しい弁護士に相談をすることで、不起訴処分などのより良い結果を得られるかもしれません。
傷害罪器物損壊罪で捜査を受けている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

返済見込みがない知人の会社に貸付を行ったとして背任罪で逮捕された事例

2024-02-15

返済見込みがない知人の会社に貸付を行ったとして背任罪で逮捕された事例

手錠とガベル

返済見込みがないにもかかわらず、知人の会社に貸付を行ったとして銀行の支店長が背任罪の疑いで逮捕された事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府北警察署は、市内に支店を構えるイロハ銀行の支店長の男(45)を背任罪の疑いで逮捕した。
男は、資金繰りに苦しむ知人の経営する老舗の和菓子店から頼まれ、十分な担保を得ずに2000万の融資を当該和菓子店にする決断をした。
融資を受けた和菓子店の経営状況は非常に悪く、業績を回復する客観的な手立てもなかったため、融資の段階で男は返済が見込めないことはわかっていたが、小学校からの幼馴染が経営する店だったため独断で融資に踏み切ったとされている。
男の部下であるイロハ銀行の従業員から告発を受けて、京都府北警察署は捜査の上、男を逮捕した。
(フィクションです)

背任罪とは?

刑法247条 
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

背任罪は、窃盗罪のように誰もが犯す可能性がある犯罪ではなく、「他人のためにその事務を処理する者」が特定の行為を実行した場合にのみ成立する犯罪です。
本件では、イロハ銀行の支店長の男性が返済見込みのない企業に融資をして背任罪の疑いで逮捕されています。
銀行の支店長は、銀行という法人のために融資の判断などの銀行の事務を処理する者です。
したがって、支店長である男は「他人のためにその事務を処理する者」にあたり、銀行との間で男が負っている任務に背いた場合には、背任罪が成立する可能性があります。

そして、背任罪が成立するためには、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」が必要です。
本件では、男は、小学校からの幼馴染である知人の経営する和菓子店が資金繰りに困っていたので、その知人を助けるために2000万の融資を決断しています。
したがって、第三者である知人の利益を図るという目的を有していたといえそうです。

次に、背任罪となる行為である「任務に背く行為」があったかどうかが問題となります。
この意義について、いくつかの見解が存在しますが、判例は、信任関係の違背であると考えているようです(大判明治44年10月13日、大判大正3年6月20日)。
本件では、支店長の男は、銀行から支店の業務について任されており、融資の判断にあたっては、回収可能性の有無を担保も含めて厳しく判断し、もし回収できそうにないのであれば融資を見送ることが求められていると考えられます。
にもかかわらず、男は、幼馴染を助けようとして、担保を提供させることなく回収見込みのない融資をすることを決断しています。
したがって、支店長の男は、銀行との間の信任関係に違背したといえそうですから、背任罪が成立する可能性があります。

財産上の損害の有無

ところで、背任罪が成立するためには、「本人に財産上の損害を加えた」ことが求められています。
たしかに、本件では、男は2000万円の融資を決断していますから、本人である銀行は2000万を失うという損害を与えられたといえそうです。
しかし、同時に、銀行は融資先である和菓子店に対して、少なくとも2000万円の債権を取得していますから、両者を合わせるとでマイナスとはならないため、財産上の損害は存在しないのではないでしょうか?
財産上の損害が加えられたか否かの判断について、判例は、経済的見地から財産の価値が減少したか又は、増加するべく価値が増加しなかったどうかで判断するとしています(最決昭和58年5月24日)。
本件についてみると、たしかに、銀行は現金2000万の喪失と同時に、2000万円の債権を取得しています。
しかし、債務者である和菓子店の財政状態は危機的であるため債権の回収見込みはなく、額面上2000万である上記債権の価値は2000万には遠く及ばないといえそうです。
したがって、経済的見地からは、男の融資により、銀行の財産の価値は減少したといえそうです。
以上より、本件では背任罪が成立する可能性があります。

なお、会社法は、取締役等が背任罪にあたる行為をした場合に、これを重く処罰する特別背任罪という規定を設けています(会社法960条)。
刑法の背任罪の法定刑が5年以下の懲役又は50万円以下の罰金であるのに対して、特別背任罪10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとなっています(会社法960条1項2項本文)。
取締役等には支配人が含まれます(会社法960条1項6号)から、支店長の男が支配人として選任されていた(会社法10条)場合は、刑法の背任罪ではなく会社法の特別背任罪が成立することになります。

できるだけ早く弁護士に相談を

上記のように背任罪は損害を加えられた被害者のいる犯罪です。
通常刑事事件の被害者は加害者に対し強い処罰感情を有していることが多いです。
もっとも背任罪の被害者の中には事件を大ごとにしたくないと思う方もいらっしゃるため、真摯に謝罪し背任行為によって生じた損害を弁償すれば被害届の提出など事件化はしないという方向で示談に応じてくれることもあります。
仮に、警察が捜査に乗り出したとしても、示談が成立していれば不起訴処分となったり、量刑が軽くなったり、執行猶予付判決が得られる可能性があります。
もっとも、本件のように逮捕されていては、コンタクトを取ることは困難です。
そこで、なるべく早い段階で交渉のプロである弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、背任事件など刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が企業側と示談交渉を行い示談を締結することで、不起訴処分、刑の減軽、執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

預かっていた自動車を無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例

2024-02-11

預かっていた自動車を無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事例

逮捕される男性

預かっていた自動車を無断で売却したとして横領罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都府伏見警察署は、京都市伏見区内に住む会社経営の男性を横領罪の疑いで逮捕した。
男は、3年前から海外勤務をすることとなった知人から「帰国するまでの間、車を預かって欲しい」「預かってもらっている間は自由に使ってもらって構わない」と頼まれたため、経営する会社の駐車場にその自動車を停めていた。
ところが、経営する会社の負債が膨らみ立ち行かなくなったため、男は返済のためその自動車を売却した疑いが持たれている。
帰国した知人が、そのことに気づき被害届を提出したことで捜査の端緒となった。
男は取調べに対し「借金を返すため会社にあるめぼしい財産を片っ端から売る中で、知人の物ということを忘れてうっかり売却してしまった」と容疑を否認している。
(フィクションです)

横領罪とは

刑法252条1項
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。

本件では、男は横領罪の疑いで逮捕されています。
横領罪とは、簡単にいうと他人から頼まれて預かった物などを自分の物にしてしまう犯罪です。
252条1項の横領罪が成立するための要件を①主体、②客体、③行為の3つの側面から見ていきましょう。

まず①主体すなわち、横領罪を犯すことができるのはどのような人物かについて。
252条1項の横領罪を犯すことができるのは、他人の物を占有(財物の事実的な支配や管理)する者に限られます。
本件では、男は、知人から頼まれて知人の自動車を預かっていますから、横領罪の主体にあたる可能性があります。

次に横領罪の②客体は、条文上「自己の占有する他人の物」とされていますが、文字通り自己の占有する他人の物すべてが客体となるわけではありません。
占有を離れた物を横領する行為については、刑法254条の占有離脱物横領罪が成立します。
したがって、252条の横領罪の客体となるのは、持ち主から頼まれて預かった場合のように、委託信任関係を原因として事実上または法律上支配力を有する状態下にある他人の物に限定されます。
本件では、男は知人から頼まれて自動車を預かっていますから、252条の横領罪が規定する客体にあたる可能性があります。

そして③本罪の行為は、横領することです。
横領とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、他人の物に対し経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をする行為です(最判24年3月8日)。
本件では、男は、知人から自動車を預かるよう頼まれていたにもかかわらず、当該自動車を売却しています。
物を売るという行為は、その物の所有者にしかできない行為ですから男の行為は横領に当たるといえそうです。

加えて、横領罪が成立するためには、故意すなわち男が横領にあたる行為を認識しながら実行したことが必要です。
警察が疑っているように、男が、自身の借金を返済するために知人の物とわかっていながら自動車を売却したのであれば、故意もあったということになり、横領罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

横領罪は被害者のいる犯罪です。
多くの場合、本件のように、被害者が被害届を提出したことをきっかけに捜査機関の捜査が始まります。
加害者と被害者は見ず知らずの他人ではなく、元々物を預けるというような関係性があることから、被害弁償がされれば被害届を出さない被害者もいらっしゃるようです。
したがって、きちんと謝罪と被害弁償をすれば被害届が提出されず、事件化を防げる可能性があります。
仮に、被害届が提出され事件化してしまった場合であっても、被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分となったり、執行猶予付き判決が得られる可能性もあります。
もっとも、加害者自ら、示談成立のための条件を交渉した場合、強気にいきすぎて被害者の神経を逆撫でする可能性がありますし、逆に相手のいうことをなんでも飲んでしまい不利な示談条件となってしまう可能性もあります。
そこで、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、横領事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分や罪の減軽、執行猶予付き判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例

2024-02-09

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例

犯罪行為で得たお金

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府右京警察署によると、京都市内に住む会社員の女性Aが、SNS上で知り合ったフォロワーに対して、有名高級ブランド品のバッグを売ると偽り、その代金として50万円を騙し取った疑いが持たれている。
被害に遭った女性のフォロワーは、代金を振り込んだ後にAから連絡があまり返ってこなくなり、一向にバッグも送られてこないことを不審に思い最寄りの警察署に被害届を提出したことで事件が発覚した。
Aが京都府右京警察署からの出頭要請を何回も無視したため、逃亡の恐れありとしてAは逮捕された。
女性Aは、「騙すつもりはなく本当に約束のバッグを調達して送るつもりだった」「今回は、バッグの調達予定先が在庫切れとなり、バッグを仕入れることができなくなったため代わりの調達先を探していたため遅くなっただけ」として容疑を否定している。
(フィクションです)

詐欺罪とは

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

「人を欺いて財物を交付させた」というのは、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が処分行為を行い、④その処分行為により財物が行為者に移転する、ということを意味します。
上記の4つの要件が満たされていた場合に、詐欺罪は成立します。

欺罔行為はあったのか?

本件では、Aは有名高級ブランドのバッグをフォロワーに渡すと言っておきながら、いまだに引き渡していないようです。
そのため、被害者とされるフォロワーは、自分は騙された、詐欺に遭ったんだと考えて警察に被害届を提出したという経緯です。
Aがしたことは詐欺罪にあたるのでしょうか?

詐欺罪が成立するためには、少なくとも上記①〜④にあたる事実が全て必要です。

①の欺罔行為とは、財物の交付に向けて人に錯誤に陥らせることをいい、その内容は財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることであるとされています。

仮に、Aがはじめから約束のバッグを引き渡すつもりがなく取引を持ちかけ現金50万円を受け取ったとします。
この場合、Aは、50万という現金を自分の口座に振り込ませるために、被害女性を、バッグが手に入るという錯誤に陥らせています。
バッグが手に入らないのであれば50万をAに振り込むことはなかったでしょうから、財物交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ったということになりそうです。
したがって、Aによる欺罔行為があったことになり詐欺罪が成立することになりそうです。

ところが、本件では、Aは取調べに対して、容疑を否認しており、騙すつもりはなかったと言っています。
約束のバッグを本当に引き渡すつもりであったとのことなので、50万円の振込をするという判断の基礎となる重要な事項を偽ったわけではないことになります。
したがって、Aの主張が認められれば、欺罔行為は存在しないため詐欺罪が成立することもなさそうです。

結局、本件で詐欺罪が成立するかどうかは、Aの騙すつもりはなかったという主張が認められるかどうかにかかっているといえそうです。

出頭要請にどう対処すればよかった?

それでは、Aは本件でどのような行動を取ればよかったのでしょうか?
Aは、警察からの度重なる出頭要請を無視した結果、逮捕されています。
Aとしては、自分が詐欺をしたとは思っていないわけですから、警察に行く必要はないと考えたのかもしれません。
しかし、出頭要請を無視すると逃亡のおそれありとして逮捕されることがありますし、実際に逮捕されていますから、出頭要請を無視するのは得策ではなく、出頭すべきであったと言えるでしょう。

ただし、出頭するにしても何も準備しないで行くのはやはり得策ではありません。
出頭した場合、捜査機関からの取調べを受けることになります。
捜査機関が、すでにAが怪しいと考えていた場合、取調べにおいて、詐欺をしたと認めるように誘導してくる可能性もあります。
このような誘導に乗ってしまい、その発言を文書化した供述調書にサインをし、裁判になった際に証拠として使われた場合、これを覆すのは非常に困難です。

なるべく早く弁護士に相談を

したがって、出頭する前に、取調べで、何を認めて何を認めないのか、きちんと整理しておくことが重要となります。
このような判断を十分な法律の知識なしに適切に行うことは、非常に困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に相談することをお勧めします。

以上をまとめると、Aは、出頭要請を受けた段階ですぐに弁護士に相談して、取調べにどう対処するか準備をした上で出頭すべきであったと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、詐欺罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に事前に相談して取調べのアドバイスを得ることで、逮捕されるのを防げるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

ピザ屋に大量の注文をして受け取りに行かなかった偽計業務妨害罪の事例

2024-02-07

​​ピザ屋に大量の注文をして受け取りに行かなかった偽計業務妨害罪の事例

電話する人

ピザ屋に大量の持ち帰りの注文をして、受け取りに行かなかったとして、偽計業務妨害罪の疑いで男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府南警察署によると、京都市内に住む無職の男性(35)が、近所のピザ屋に大量の持ち帰りピザの注文をしておきながら時間になっても来店せずに無断キャンセルした疑いが持たれている。
京都府南警察署は、男を偽計業務妨害罪の疑いで逮捕した。
取調べに対し男は、「ピザ屋の配達員がデリバリーの際に、ショートカットのため男の私有地を横切っていることに普段から腹が立っていた。ピザ屋を困らせてやろうと思って嘘の注文をした。」と容疑を認めている。
(フィクションです。)

偽計業務妨害罪とは

刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法233条は、信用毀損罪偽計業務妨害罪という2つの犯罪を規定しています。
同条の「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人(…)の業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」という箇所が偽計業務妨害罪にあたります。

偽計業務妨害罪の妨害手段は、①虚偽の風説を流布することと、②偽計すなわち人を騙したり誘惑したり、あるいは人の勘違いや不知を利用することです。
本件では、男は、ピザ屋に大量の持ち帰りピザの注文をしておきながら時間になっても来店せずに無断キャンセルしたとされています。
男は、ピザを注文することであたかも代金を支払う客であるかのように装い、ピザ屋を騙しています。
したがって、男は偽計を用いたと言えそうです。

「業務を妨害した」と言えるか

偽計業務妨害罪が成立するためには、偽計を用いるなどして「業務を妨害した」と言える必要があります。
もっとも、判例によると現実に業務活動が阻害されたことは必要ではなく、業務活動が阻害されるおそれがあると言えれば良いとされています(大判昭和11年5月7日、最判28年1月30日)。
「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務をいいます(東京高裁昭和35年6月9日)。
例えば、職業として行われる活動がこれにあたり、ピザ屋ですと、ピザの製造のほか、仕込み作業、締め作業など多岐にわたります。
本件では、男による大量のピザの注文に応えるため、相当数のスタッフをピザの製造に割り当てています。
男の偽計がなければ、仕込みや清掃などの他の仕事を進めることができたと言えます。
また、男は大量のピザを受け取りに来なかったので、これらのピザを店舗は処理する必要が生じています。
男の偽計がなければ、定時までに終わらせていた締め作業を終わらせることができない可能性が生じています。
したがって、男は、ピザ屋の業務を妨害したと言えそうですから、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

弁護士に相談して事件の早期解決を

偽計業務妨害罪は被害者が存在する犯罪です。
したがって、事件を早期に解決するためには、被害者と示談を成立させることが、重要となります。
本件では、男の注文によりピザ屋に損害が発生していますから、真摯な謝罪をした上で、被害額を含む示談金をお支払いして示談を成立させることができるかどうかが、男性の未来を左右することになるでしょう。

仮に被害届提出前に示談が成立すれば、警察沙汰にならずにすむかもしれません。
事件化した後に示談が成立した場合でも起訴前であれば、不起訴処分となるかもしれません。
不起訴処分となれば前科がつくこともありません。

もっとも、大量の注文にもかかわらず代金を支払ってもらえなかった被害者からすると、加害者に対して強い処罰感情を有しているのが自然ですから、示談交渉に応じてくれない可能性があります。
そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士にお任せすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、偽計業務妨害事件を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、事件化や起訴を防ぐことができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

同僚に誘われて違法賭博をしたところ逮捕された事件

2024-01-31

同僚に誘われて違法賭博をしたところ逮捕された事件

取調べを受ける男性

同僚に誘われて違法賭博をしたところ逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市内に住む会社員の男性Aは、普段から常習的に賭け麻雀をしていた会社の同僚Bに誘われて断りきれず賭け麻雀に参加したところ、店舗が摘発され同僚と一緒に逮捕された。
京都府下京警察署によると、Aは、5万円ほどを賭けて麻雀をしていた容疑が持たれている。
Bは、以前に常習賭博罪の前科があった。
(フィクションです。)

賭博罪とは

賭博とは、偶然の勝ち負けによって財産を得るか失うかを争うことを言います。
刑法は、賭博をした者について、185条と186条1項を用意しています。

刑法185条
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

刑法186条1項
常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

185条は単純賭博罪と呼ばれ法定刑が「五十万円以下の罰金又は科料」であり懲役刑が規定されていないのに対し、186条1項は常習賭博罪と呼ばれ「三年以下の懲役」が規定されているので、常習賭博罪で有罪になった場合は懲役刑に処される可能性があります。
両者はともに、賭博をした場合に成立する犯罪ですが、常習賭博罪は、反復して賭博行為をする習癖のある者賭博をすることにより成立する犯罪です。

本件では、AとBが逮捕されていますが、賭博の常習者であるかどうかで刑罰は大きく異なります。
常習として賭博したか否かは、賭博行為の種類、賭けた金額、賭博の行われた期間・回数、前科の有無などを総合的に考慮して判断されます(最判25年3月10日集刑16号767頁)。
本件では、Bは、常習賭博罪前科があり、普段から賭け麻雀をしているようなので、常習者であると評価される可能性が高いでしょう。
それに対し、Aは今回が初めての参加であるため、成立する犯罪は、常習賭博罪ではなく単純賭博罪となりそうです。
単純賭博罪の場合、適切な弁護活動がなされれば、Aに関しては、微罪処分不起訴処分となる可能性があります。

共犯

ところで、AとBは同じ卓を囲んで賭け麻雀をしていたようですので、一緒に同じ犯罪を犯したと言えそうです。
刑法60条は、「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と規定しています。
本件で、刑法60条が適用され、Bのした常習賭博罪が正犯にあたり、Aにも常習賭博罪が成立することはないのでしょうか?
結論からいうと、通説によれば、そのようなことにはなりません。
Aのような賭博の常習性がない者と、Bのような賭博の常習性がある者とが、共同して賭博を行った場合、前者には単純賭博罪が、後者には常習賭博罪がそれぞれ成立すると理解されています(条解刑法<第4版>552頁)。

弁護士に相談を

捜査機関は、AがBと同僚であり一緒に賭け麻雀をしていたこと、Bが賭博の常習者であることからAについても賭博の常習者と考えているかもしれません。
その場合、捜査機関は逮捕後の取調べで、Aに常習性を認めるかのような供述をするよう誘導してくる可能性があります。
仮に、常習性を認めるかのような供述をして、その供述を文書化した供述調書にサインしてしまった場合、裁判になってこれを常習性を覆すのは非常に困難です。

したがって、取調べ前に、認めることと認めないことの線引きをしておくことが重要となります。
このような判断を十分な法律の知識なしに適切に行うことは、非常に困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、賭博罪を含む刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に事前に相談して取調べのアドバイスを得ることで、常習賭博罪の嫌疑を晴らすことができるかもしれません。
また、単純賭博罪についても微罪処分不起訴処分に落ち着かせることができるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

2024-01-28

金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

ハンマーを振りかざす男性

金庫の金を脅し取った男が強盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府上京警察署は、無職の男性(34)を強盗罪の疑いで逮捕した。
男は、深夜に包丁を持って一人暮らしの女性宅に侵入し、物音に気づいて起床した女性に刃物を突きつけながら「家にある現金を全てだせ。出すまで刺すぞ」と脅し、金庫に入っていた50万円を奪って逃走した疑いが持たれている。
(フィクションです。)

強盗罪とは

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

強盗罪は、量刑が5年以上の有期懲役ですから、非常に重たい犯罪の1つです。
例えば、他人を凶器で殴ったり、脅したりして抵抗することを難しくさせ、無理やりに財産を奪うような行為が強盗罪にあたります。

このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが非常に発生しやすいと言えますから、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪に当たる行為が、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有するため重い刑が課されます。

手段としての「暴行又は脅迫」

一般に暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは害悪の告知を言います。
しかし、暴行・脅迫を犯罪行為の一部としている犯罪は暴行罪恐喝罪などたくさんあり、各犯罪によってその意味は微妙に異なるものと理解されています。

強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。

この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されます。
特に暴行又は脅迫の態様が重視されます。
例えば、加害者が殺傷能力の高い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫と判断される可能性が高くなります。

本件では、男は、現金という財物を手に入れようとして、被害者の女性に対し包丁を突きつけています。
寝起きの無防備な女性が、自分よりも力の大きい男性に包丁という殺傷能力の高い凶器を突きつけられた場合、反抗するのは困難と言えます。
したがって、男の包丁を突きつける行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行にあたりそうです。

また、男は被害女性に対し、現金を出さないと包丁で刺すと脅しています。
包丁で刺すというのは身体に対する害悪の告知であり、上述のように、被害女性が男に反抗するのは困難でしょうから、強盗罪における脅迫にもあたりそうです。

結局、本件で男は、暴行脅迫を用いて現金50万という他人の財物を奪ったと言えそうですから、強盗罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

強盗罪の量刑は5年以上の有期懲役です。
執行猶予がつくためには懲役刑の場合は下される量刑が3年以下である必要がありますから、本件の男のように強盗罪を犯した場合、執行猶予がつくことは諦めざるを得ないのでしょうか?

実は、被害者に真摯に謝罪して示談が成立していれば、刑の減軽がされ、3年以下の懲役が下される可能性があります。
この場合には、執行猶予がつく可能性があります。
したがって、示談を成立させることができるかどうかが重要となります。

もっとも、本件のように、凶器を突きつけてきた加害者から謝罪がしたいと言われたとしても、被害者はこれに応じてくれる可能性は低いでしょう。
被害者としては、非常に怖いと思っているでしょうし、加害者に対する処罰感情も強いでしょうから、加害者が直接接触しようとするのは得策ではありません。 
そこで、弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめいたします。加害者を断固拒絶している被害者も、弁護士とであれば連絡を取ることに応じてくれるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を減軽させたり、執行猶予付判決を得たりすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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