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(京都市伏見区)直接殴らなくても公務執行妨害罪?②
(京都市伏見区)直接殴らなくても公務執行妨害罪?②
~前回からの流れ~
Aさんは、京都市伏見区の路肩に運転していた自動車を停めて車内で休憩していたところ、あたりを巡回していた京都府伏見警察署の警察官から職務質問を受けました。
警察官は窓の外からAさんに職務質問をしていたのですが、Aさんは職務質問を受けることが億劫になり、車を急発進させました。
その結果、運転席のドアに手をかけていた警察官を引きずって転倒させ、軽傷を負わせる事態となりました。
Aさんは公務執行妨害罪と傷害罪の容疑で京都府伏見警察署に逮捕されることとなり、その知らせを聞いたAさんの家族は、急いで弁護士に相談することにしました。
相談を受けた弁護士は、まずは事件全体の詳細を知ると同時にAさんに今後の手続きや対応をアドバイスする必要があるとして、すぐに逮捕されているAさんに直接面会することにしました。
(※令和元年8月13日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・直接殴らなくても公務執行妨害罪
前回の記事までで、Aさんのケースは「公務員」である京都府伏見警察署の警察官が、職務質問という「職務を執行する」際に起きた出来事であるため、ここでAさんが警察官に対して「暴行又は脅迫」を加えていると認められれば、Aさんは公務執行妨害罪に問われることになるだろうということが確認できました。
しかし、今回のケースでは、Aさんは警察官に直接殴る蹴る突き飛ばすといった暴行を加えているわけではありません。
こうした場合にも公務執行妨害罪は成立するのでしょうか。
結論から言うと、こうした場合でも公務執行妨害罪は成立する可能性があります。
過去の判例では、公務執行妨害罪のいう暴行・脅迫は、公務員に向けられた有形力の行使である必要はあるが、必ずしも直接に公務員の身体に加えられる必要はなく、公務員の身体に感応しうるものであれば足りる、と解釈されています(最判昭和37.1.23)。
よく挙げられる例としては、司法巡査が現行犯逮捕の現場で差し押さえて置いていた覚せい剤のアンプルを踏みつけて壊した行為(最決昭和34.8.27)があります。
その他、公務員本人ではなく、公務員の指揮下にその手足となって働き、職務の執行に密接不可分の関係にある補助者に暴行を加えられたような場合でも、公務執行妨害罪の「暴行」であると判断された例もあります(最判昭和41.3.24)。
つまり、直接公務員を殴りつけるなどの暴行でなくとも、公務執行妨害罪は成立しうるのです。
今回のAさんのケースを見てみると、Aさんは警察官の職務質問中、車を急発進させています。
警察官に直接分かりやすく暴行を加えたわけではありませんが、警察官がそばにいて自動車に触れていると認識して車を急発進させたのであれば、警察官への有形力の行使が認められ、職務質問中の警察官へ「暴行」を加えた=公務執行妨害罪であると判断される可能性が高いでしょう。
・公務執行妨害罪と傷害罪
今回のAさんは、公務執行妨害罪を犯してしまった際に、警察官に怪我を負わせてしまっています。
ですから、Aさんには公務執行妨害罪だけでなく、傷害罪も成立することが考えられます。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
Aさんは警察官に怪我をさせようと思って車を発進させたわけではないかもしれませんが、傷害罪は暴行罪の結果的加重犯=結果が予想よりも重くなった場合に成立するより重い罪です。
つまり、公務執行妨害罪の「暴行」の結果、その結果が重くなり警察官に怪我を負わせていることから、Aさんには傷害罪が成立すると考えられるのです。
そして、今回の場合、Aさんは警察官に暴行を振るうという1つの行為によって、公務執行妨害罪と傷害罪という2つの罪を犯していることになります。
こうしたケースでは、「観念的競合」という考え方が用いられ、この2つの犯罪のうち最も重い刑により処断されます。
つまり、Aさんの場合では、公務執行妨害罪と傷害罪では傷害罪の法定刑の方が重く設定されていますので、傷害罪の法定刑の範囲で処罰が決められるということになります。
どういった行為が公務執行妨害罪となるのか、他にも犯罪は成立するのか、複数犯罪が成立した場合どういった処理が考えられるのか等、刑事事件については様々な疑問があることでしょう。
そうした疑問の数々は、専門家の弁護士に相談するのが一番です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が事務所での初回無料法律相談や、逮捕・勾留された方向けの初回接見サービスを実施しています。
まずは0120-631-881までお電話ください。
(京都市伏見区)直接殴らなくても公務執行妨害罪?①
(京都市伏見区)直接殴らなくても公務執行妨害罪?①
Aさんは、京都市伏見区の路肩に運転していた自動車を停めて車内で休憩していたところ、あたりを巡回していた京都府伏見警察署の警察官から職務質問を受けました。
警察官は窓の外からAさんに職務質問をしていたのですが、Aさんは職務質問を受けることが億劫になり、車を急発進させました。
その結果、運転席のドアに手をかけていた警察官を引きずって転倒させ、軽傷を負わせる事態となりました。
Aさんは公務執行妨害罪と傷害罪の容疑で京都府伏見警察署に逮捕されることとなり、その知らせを聞いたAさんの家族は、急いで弁護士に相談することにしました。
相談を受けた弁護士は、まずは事件全体の詳細を知ると同時にAさんに今後の手続きや対応をアドバイスする必要があるとして、すぐに逮捕されているAさんに直接面会することにしました。
(※令和元年8月13日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・公務執行妨害罪
今回のAさんは公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、そもそも公務執行妨害罪は、刑法95条に規定のある犯罪です。
刑法95条
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
公務執行妨害罪の客体は「公務員」です。
今回のAさんのケースのような警察官や、市役所や区役所の職員、公立学校の先生等が「公務員」の例として考えられます。
そしてその「公務員」が「職務を執行する」際に、暴行・脅迫をした者に成立するのが公務執行妨害罪です。
では、その「職務を執行する」とはどういうことかというと、簡単に言えば、公務員の仕事をするということです。
つまり、警察官や市役所職員といった「公務員」であっても、休日のプライベートな時間を過ごしている最中に暴行・脅迫された場合には、公務執行妨害罪ではなく暴行・傷害罪や脅迫罪、強要罪といった犯罪が成立するにとどまるということになります。
今回のAさんのケースで言えば、京都府伏見警察署の警察官は付近の見回りをしており、職務質問をしています。
職務質問は、警察官執務執行法という法律の2条に定められている行為で、警察官の職務の1つです。
警察官職務執行法2条
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
この職務質問の最中の警察官は、まさに「公務員が職務を執行」しているところであるといえるでしょう。
なお、公務執行妨害罪にいう「職務」は適法な「職務」であることが要求されます。
違法な公務の執行は保護される必要がなく、これを保護してしまえば公務員の地位を保護することになってしまい、公務執行妨害罪の趣旨(=公務の執行の適正を保護すること)から外れてしまうからです。
ですから、万が一、Aさんのケースで職務質問が違法なものであったような場合には、Aさんは公務執行妨害罪を問われずに済む可能性もあります(ただし、自動車を急発進させて警察官に怪我をさせていることから、傷害罪等については問われる可能性が残ります。)。
また、判例では職務の執行中だけでなく、職務開始直前の、執務と密接に関連した待機状態も含むと認められている例もあることから、仕事の時間になっていない=必ず公務執行妨害罪となるわけではなく、その詳細な事情を考慮されて判断されるものであると注意するべきでしょう。
さて、この「公務員が職務を執行する」際に暴行・脅迫をすることで公務執行妨害罪が成立するのですが、今回のAさんのような場合でも公務執行妨害罪は成立するのでしょうか。
次回の記事で詳しく見ていきましょう。
0120-631-881では、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専門スタッフがいつでもお問い合わせを受け付けています。
公務執行妨害事件の場合、警察官相手に暴行等を行い、その場で現行犯逮捕されてしまうというケースも多く見られます。
突然の逮捕にお困りの際は、刑事事件専門の弊所弁護士までご相談ください。
カツアゲ恐喝事件で少年逮捕
カツアゲ恐喝事件で少年逮捕
京都府綾部市に住んでいるAさん(17歳)は、素行の好くない友人たちと付き合っており、夜遊びや学校をさぼることを頻繁にしていました。
ある日、Aさんがその友人といたところ、後輩のVさんとその友人が歩いてきました。
Vさんらがおこづかいをたくさんもらったという話をしていたことから、AさんらはVさんらからお金を巻き込んでやろうと数人でVさんらを取り囲み、「金を渡さないと痛い目を見る」などと言ってカツアゲを行いました。
VさんらはAさんらにリンチされるのではないかと怯え、持っていたお金をAさんらに渡しました。
その後、Vさんらが帰宅して親に相談をしたことからこのカツアゲが発覚し、後日、Aさんは京都府綾部警察署に恐喝罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、まさか息子が逮捕されるような事態になるとは思わず、慌てて少年事件を取り扱っている弁護士に相談に行きました。
(※この事例はフィクションです。)
・カツアゲで恐喝罪
カツアゲとは、脅して金品を巻き上げる行為を指す言葉で、カツアゲは刑法上の恐喝罪にあたるとされています。
恐喝罪は、刑法249条に規定されている犯罪で、「人を恐喝して財物を交付させた者」に成立します。
今回のAさんの起こした事件は少年事件として処理されるため、原則として刑罰を受けることにはなりませんが、成人の刑事事件で恐喝罪として検挙された場合には、10年以下の懲役という刑罰を受ける可能性が出てきます。
そもそも「恐喝」するとは、財物を交付させるために暴行又は脅迫によって相手を畏怖させることを言います。
今回のAさんも、Vさんらからお金を巻き上げるために不良仲間とVさんらを取り囲んで脅していることから、恐喝をしていると言えそうです。
そして、Vさんらはその脅し怯え、Aさんらにお金を渡していることから、AさんらはVさんらに「財物」を「交付させた」と言えそうです。
このことから、Aさんには恐喝罪が成立すると考えられるのです。
ただし、注意すべきは恐喝罪の「恐喝」にあたる暴行又は脅迫は、相手の反抗を抑圧しない程度のものであることが必要とされるという点です。
もしも相手の反抗を抑圧するほどの暴行又は脅迫であると認められれば、恐喝罪ではなく、強盗罪が成立する可能性が出てきます。
強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっていますから、恐喝罪と比べても重い犯罪であることが分かります。
Aさんの場合は少年事件ですから、原則こうした刑罰は受けませんが、それでもより重い犯罪が成立することで、処分に影響が出てくる可能性があります。
・少年のカツアゲ恐喝事件
今回のように、20歳未満の者が法律に触れる事件を起こした場合には、少年事件として扱われ、最終的に家庭裁判所の判断によって処分が決められることになります。
繰り返し記載しているように、少年事件では、法定刑の重い犯罪だから必ず少年院に行くとも限りませんし、逆に法定刑の軽い犯罪だから何も処分を下されないとも限りません。
通常の成人の刑事事件とは違い、少年事件ではその少年のその後の更生が第一に考えられるためです。
しかし、では少年事件において、通常の成人の刑事事件と同じような弁護活動は不要か、というとそういうわけでもありません。
例えば、今回のAさんのカツアゲによる恐喝事件では、Vさんという被害者がいます。
この被害者に対して謝罪をする、被害に遭った分について賠償をする、ということは、少年事件であっても全く不要というわけではありません。
確かに、起訴・不起訴を決める成人の刑事事件に比べれば、少年事件では示談は必須というわけではありませんが、少年が反省しているのかどうか、少年自身やその家族・周囲の人がどのように事件について受け止めているのか、といった事情を示す1つの材料として、被害者に謝罪をしていることや示談をしていることは有効であるのです。
ただし、今回の事件のように、子どもの間で起きてしまった少年事件では、示談するにも困難が伴うことも多々見られます。
未成年者との示談では、示談交渉の相手は親となりますが、自分のお子さんが被害に遭ったとなれば、当然のことながら被害感情も小さくありません。
そうしたことから当事者同士の示談交渉で逆に話がこじれてしまうケースもあります。
だからこそ、少年事件の弁護活動にも専門家であり第三者である弁護士を介入させることが望ましいと言えるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
被害者との示談交渉だけでなく、釈放を目指した身柄解放活動や取調べ対応のアドバイスまで、一貫した弁護活動をご提供いたします。
京都府の少年事件にお困りの際は、少年事件の取り扱いも多い弊所弁護士に、ぜひご相談下さい。
傷害致死事件の情状弁護
傷害致死事件の情状弁護
Aさんは,京都市山科区の飲食店で行われた職場の飲み会の際,同僚のVさんと口論になり,Vさんの顔面を数回殴りました。
飲み会に参加していたほかの人や飲食店の従業員がAさんを止め,救急車を呼びましたが,VさんはAさんに殴られたことが原因で外傷性くも膜下出血となってしまい,搬送先の病院で死亡してしまいました。
Aさんは,救急車と一緒に通報を受けてかけつけた京都府山科警察署の警察官に,傷害致死罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは,口論をしていたとはいえVさんを殴ったことを非常に反省しており,その気持ちをどうにか表していきたいと考えています。
Aさんの家族は刑事事件に強いという弁護士に弁護活動を依頼し,情状弁護をしてもらうことにしました。
(フィクションです。)
~傷害致死罪~
人を傷害した場合に,その傷害を受けた人が死亡したときは,傷害致死罪(刑法205条)が成立し,3年以上の有期懲役が科せられます。
人の死の結果が生じたことについて過失がなくとも,人を傷害する故意があったのであれば,傷害致死罪は成立します(最判昭和26年9月20日)。
なお,人を殺す意思までもって人を傷害し,その結果傷害を受けた人が亡くなってしまった場合には,殺人の故意をもって人を殺してしまったわけですから,殺人罪が成立します。
つまり,傷害致死罪が成立するのは,大まかに言えば「殺すつもりはなかったが与えた暴行・傷害がもとになって亡くなってしまった」というような場合なのです。
ただし,傷害行為と人の死の結果について因果関係がなければ,傷害致死罪は成立しません。
Aさんは口論の結果Vさんを殴っているのですから,Aさんに傷害の故意があることは問題ないでしょう。
そしてAさんに殴られたためにVさんが外傷性くも膜下出血になって死亡したのですから,Aさんの傷害行為とVさんの死の結果には因果関係が認められます。
AさんはVさんを殺そうと思って殴ったり,死んでしまっても構わないと殴ったりしたわけでもなさそうですから,Aさんには傷害致死罪が成立すると考えられるのです。
~傷害致死事件と弁護活動~
傷害致死罪が成立することについて全く争いがなく刑事事件化して逮捕されてしまったような場合,被害者が亡くなっている事件であり,その法定刑が重いことからも,早期の釈放を実現させることは簡単ではありません。
被害者遺族と示談が成立しても,なかなか釈放されない場合も考えられます。
だからこそ,刑事事件に強い弁護士のサポートを受けながら,釈放を目指すと同時に身体拘束されている被疑者本人のケア,周囲のご家族のケアをしてもらうことが重要になってくるといえるでしょう。
また,傷害致死事件は裁判員裁判の対象事件となります。
裁判員裁判は,刑事裁判に至るまでの過程や手続きも特殊であり,さらに刑事裁判に一般の方である裁判員が参加します。
そのような場合であっても,刑を軽くしてもらうように弁護活動を進めていくことは可能です。
例えば,刑事裁判の場で,犯行の悪質性が低いことや被害者遺族との示談締結など,判決を決めるうえで被告人の有利になるような事情があれば,その事情を主張していくことが考えられます。
これを情状弁護といいます。
弁護士は情状弁護を行うことで,執行猶予付き判決の獲得や刑罰の減軽を目指していきます。
刑事裁判の場で情状弁護をするためには,被害者遺族への謝罪・賠償を含めた示談交渉や,被告人の周囲の人と協力した再犯防止対策の構築,その傷害致死事件の犯行当時やその前後の詳細な事情の検討など、さまざまなことに専門的な視点をもって取り掛からなければなりません。
だからこそ,傷害致死事件でお困りの際は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士まで,お早めにご相談ください。
弊所の刑事事件専門の弁護士が,逮捕直後の弁護活動から刑事裁判での情状弁護活動まで,迅速に対応いたします。
覚せい剤所持事件で保釈を目指す
覚せい剤所持事件で保釈を目指す
Aさんは、覚せい剤に興味を持ち、数か月前からインターネットを利用して覚せい剤を購入し、京都府福知山市の自宅で覚せい剤を使用していました。
しかし、Aさんの挙動がおかしいことに気づいた近隣住民が京都府福知山警察署に通報したことにより、Aさんは覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは勾留され、起訴されることも決まりました。
Aさんの家族は、どうにかAさんの身体拘束を解くことはできないかと、保釈について弁護士に相談することにしました。
相談後、Aさんの家族は弁護活動を依頼することにし、弁護士はAさんに速やかに接見を行い、保釈請求をするための準備を始めました。
(※この事例はフィクションです。)
・保釈とは
保釈とは、起訴後、保釈保証金の納付を条件に、被告人の身体拘束を解く制度のことを言います。
保釈は起訴後に可能となる制度であるため、逮捕段階や被疑者段階での勾留では利用することはできません。
そして、保釈の際に納付する保釈保証金とは、一般的に保釈金と呼ばれるもので、その額は事件や被告人の環境によって変動します。
保釈金は、保釈中に逃亡したり証拠隠滅をしたりしないようにするための担保とされるもので、それらの条件を破ってしまった場合に一部または全部没収されることになります。
そのため、その人の没収されてしまったら困るという額が保釈金とされるのです。
なお、保釈中に保釈の条件を守ることができれば、最終的に保釈金は戻ってきます。
そして、保釈金が払えれば保釈される、というわけではないことに注意が必要です。
保釈されるためには、逃亡や証拠隠滅等のおそれがないと認められる必要が出てきますから、客観的に見てそうしたおそれのない環境であることを主張していくことが求められます。
つまり、よくイメージされがちなように「お金をたくさん払えば保釈される」ということではないのです。
保釈には、3つの種類があり、それぞれ権利保釈、裁量保釈、義務的保釈と呼ばれています。
権利保釈は、保釈の要件(刑事訴訟法89条1~6号)を満たす場合は、保釈の請求があれば保釈しなければならないという保釈のことをいいます。
また、裁量保釈は、上記権利保釈に該当しない場合でも、裁判所が適当と認める場合には、保釈を許すことができるという保釈です。
最後の義務的保釈とは、勾留による身体拘束が不当に長くなった場合になされる保釈のことをいいます。
これらの保釈をするためには、裁判所に対して保釈請求を行わなくてはなりません。
保釈請求の際には、先ほど触れたように、被告人が逃亡しないことや証拠隠滅のおそれがないことなどを、具体的な事情にからめながら裁判官に主張する必要があります。
刑事事件に強い弁護士と被告人本人、被告人の周囲の方々が一丸となることで、この環境をつくり、保釈に向けた一歩を踏み出すことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所ですから、保釈に関連したご相談やご依頼も、多数承っております。
覚せい剤などの薬物事件は、逮捕・勾留といった身体拘束を受ける確率が高い事件であると言われています。
京都府の覚せい剤事件やその保釈請求についてお困りの際は、まずは弊所の弁護士まで、ご相談ください(お問い合わせフリーダイヤル:0120-631-881)。
夏休みに大麻所持で逮捕
夏休みに大麻所持で逮捕
京都市右京区に住んでいる高校1年生のAさんは、夏休み中、自由な時間が増えたことで、「何かもっと楽しいことはないか」とインターネットサーフィンをしていました。
すると、とあるSNSで知り合ったBさんから「楽しい気持ちになれるものがある」と言われ、Aさんはそれを譲り受けることにしました。
その後、AさんはBさんと会い、Bさんから「楽しい気持ちになれるもの」を受け取りました。
自宅に帰ってからAさんがBさんから渡されたものを開封してみると、乾燥させた植物とパイプが入っていました。
Aさんは、その植物が何なのかは分かりませんでしたが、なんとなくよくないとされている類のものであろうと思いました。
しかし、Aさんは、どうせ少しの間しか使わないのだからばれないだろうと考え、同封されていたパイプを利用してその植物を吸っていました。
後日、Aさん宅に京都府右京警察署の警察官が訪れ、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Bさんは大麻の売人であり、その連絡先等からAさんへの大麻譲渡が露見したようです。
(※この事例はフィクションです。)
・大麻取締法違反
ご存知の方も多いように、大麻は違法薬物です。
大麻については、その所持や譲渡等が大麻取締法によって規制されており、これに違反すれば大麻取締法違反という犯罪になります。
大麻の使用自体は、麻の生産者や研究者が偶然その成分を摂取してしまう可能性があること等から大麻取締法で禁止されてはいませんが、大麻を使用するのに所持はしない、ということは物理的に不可能であるため、大麻の使用をしても大麻所持の大麻取締法違反となることが多いです。
なお、今回のAさんの事件は少年事件であるため、Aさんは基本的には刑罰を受けることはありませんが、営利目的でない大麻所持については、「5年以下の懲役」(大麻取締法24条の2 1項)という刑罰が定められています。
ここで、今回のAさんは、「大麻である」というはっきりした認識を持って大麻を所持したわけではありません。
こうした場合でも、大麻取締法違反は成立するのでしょうか。
実は、一般にこうした違法薬物事件では、犯罪が成立するにあたって違法薬物名まではっきり認識している必要はなく、「何らかの違法薬物だろう」という程度の認識があればよいと考えられています。
Aさんも、よくないものであろうと認識しながら大麻を所持しているため、大麻取締法違反の故意があると認められる可能性があります。
・少年の大麻取締法違反事件
SNSの発達・普及等により、たとえ未成年者であっても、大麻等違法薬物の売人にコンタクトを取りやすくなっています。
実際に、最近では中学生や高校生が大麻取締法違反の容疑で逮捕される事件も起きています。
大麻は他の違法薬物よりも比較的安価なことが多いことから、こうした若年層でも手が出しやすくなってしまっているのかもしれません。
しかし、一度大麻という違法薬物に手を出してしまうと、違法薬物に手を出すという行為のハードルが下がり、大麻や他の違法薬物に手を出しやすくなってしまうといわれています。
それ自体への依存症の危険等もあることから、やはり違法薬物には触れないよう注意していくべきでしょう。
先ほど触れたように、Aさんは20歳未満であるため、この大麻取締法違反事件は少年事件として扱われます。
ただし、家庭裁判所へ事件が送られるまでは、成人の刑事事件とほぼ同じ扱いを受けるため、逮捕や勾留といった身体拘束がなされる可能性が高いでしょう。
大麻取締法違反事件などの違法薬物事件では、証拠隠滅が容易であったり関係者がいたりする性質上、逮捕等の身体拘束を伴う捜査が行われやすいといわれています。
また、少年が薬物に依存している可能性があったり、大麻に手を出した経緯に調査すべき点があれば、家庭裁判所に行ってからも、観護措置という形で少年鑑別所に収容されての調査が行われることも考えられます。
さらに、依存が深ければ、最終的には医療少年院に送致され、治療を受けるということになる可能性もあります。
こうした身体拘束や処分を回避したい場合には、少年が社会内でも更生可能であるということを主張していかなければなりませんが、そのためにはそれが可能であると客観的に認められる環境を作っていかなければなりません。
そのために、刑事事件だけでなく少年事件に強い弁護士に相談・依頼してみることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年による違法薬物事件のご相談・ご依頼も受け付けております。
夏休み中の少年事件にお困りの方、大麻取締法違反事件にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
夏フェスで痴漢事件
夏フェスで痴漢事件
Aさんは、京都府舞鶴市で開催される夏フェスに参加することにしました。
その夏フェスは、野外に組まれた特設会場でアーティストがライブを行うというものでした。
Aさんは、ライブに参加していましたが、その際、自分の前に好みの女性Vさんがいることに気が付きました。
「こんな人混みの中なのだから、触ったところでばれないだろう」と考えたAさんは、Vさんの臀部を触ったり、胸を触ったりしました。
違和感を覚えたVさんが声を上げたことからAさんの犯行が発覚し、警備員が通報したことにより、Aさんは京都府舞鶴警察署に痴漢事件の被疑者として逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)
・夏フェスで痴漢事件
いわゆる「夏フェス」が多く開催される時期となりました。
夏フェスは、野外で行われるものからドームやホールで行われるものまで多種多様で、多くの人たちが参加し、楽しんでいます。
今回のAさんが参加した夏フェスは、野外での音楽フェスのようですが、そこでAさんは痴漢事件を起こし逮捕されてしまっています。
Aさんはどういった犯罪に問われることになるのでしょうか。
①京都府迷惑行為防止条例違反
多くの痴漢事件では、各都道府県の迷惑防止条例違反という犯罪が適用されます。
京都府では、「京都府迷惑行為防止条例」という条例が定められていて、その中には以下のような条文があります。
京都府迷惑行為防止条例3条1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1号 みだりに、他人の身体の一部に触ること(着衣の上から触ることを含む。)。
今回のような夏フェスの会場は、不特定多数の人が訪れる場所であることから、「公共の場所」であると考えられます。
その夏フェス会場で、AさんはVさんの臀部や胸を触っています。
見知らぬ人に臀部や胸をいきなり触られることは、「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」であるといえるでしょうから、Aさんの痴漢行為は京都府迷惑防止条例違反となると考えられます。
こうした痴漢行為で京都府迷惑防止条例違反となった場合には、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(京都府迷惑行為防止条例10条1項)。
②強制わいせつ罪
Aさんの痴漢行為の態様によっては、①で取り上げた京都府迷惑防止条例違反ではなく、刑法上の強制わいせつ罪となることも考えられます。
刑法176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
臀部や胸をもんだり、衣服の中にまで手を入れたりしていたような場合、その痴漢行為自体が強制わいせつ罪のいう「暴行」であり「わいせつな行為」であると認められ、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
強制わいせつ罪が成立した場合、①の京都府迷惑防止条例違反とは異なり、法定刑に罰金刑が規定されていませんから、起訴=公開の法廷で刑事裁判を受けるということになり、執行猶予がつかなければ刑務所に行くことになります。
最近では、ライブ会場やフェス会場での痴漢・盗撮行為も問題視され話題となっており、アーティストからそういった行為をしないように、というPRもされるほどです。
ここまで見てきたように、どれほど人混みであったとしても、痴漢行為をすることはれっきとした犯罪ですから、注意しましょう。
痴漢行為をしてしまった場合には、被害者への謝罪・弁償をはじめとして、さまざまな活動をすることが考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、痴漢事件のご相談・ご依頼も多くいただいています。
京都の痴漢事件にお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。
熱中症の看病で強制わいせつ罪を疑われた?
熱中症の看病で強制わいせつ罪を疑われた?
ある日、Aさんが京都市南区を歩いていると、通行人の女性Vさんがふらふらと歩いており、道端にうずくまってしまったのを目にしました。
Aさんは大変だと思い、Vさんに近づいて様子を見ると、どうやらVさんは熱中症になってしまったようでした。
Vさんの意識がぼんやりしていることから、すぐに看病をしなければならないと考えたAさんは、救急車を呼んだうえでVさんを日陰に誘導し、飲み物を渡し、Vさんの胸元のボタンを外したりベルトを緩めたり、濡れタオルをあてるなどして体を冷やしたりしていました。
すると、別の通行人Wさんが通りかかり、その様子を見て「男性が意識のない女性の服を無理矢理脱がせて体を触っている」と勘違いし、京都府南警察署に通報してしまいました。
Aさんは駆け付けた警察官に、熱中症の看病をしていただけだと説明しましたが、強制わいせつ罪の容疑で話を聞かれることになってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・熱中症の看病で強制わいせつ罪?
最近は気温も高く、最高気温が38度や39度となる日もあります。
全国的に暑い日が続いており、報道などでも繰り返し言われているように熱中症に注意が必要な時期となっています。
今回のAさんは、その熱中症になってしまったVさんの看病をしていたところ、強制わいせつ罪の容疑をかけられてしまったようです。
もちろん、こうした状況であった場合に事情を話して分かってもらえることも多いでしょうが、犯罪を疑われてしまうこともあるのでは、と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
もし強制わいせつ罪そうなってしまった場合、どうなるのでしょうか。
まず、Aさんが容疑をかけられている強制わいせつ罪は、刑法176条に規定されています。
刑法176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪においては、「暴行」が「わいせつな行為」と一体となっている場合でも成立が認められます。
例えば、別途殴ったりする分かりやすい「暴行」がなくとも、抱き着いたり胸やお尻をもんだりといった行為が「暴行」であり「わいせつな行為」であるとされ、強制わいせつ罪となることがあるのです。
今回のAさんは特にVさんに個別に暴行をふるっているわけではありませんから、看病のためにVさんの体に触れた(もしくは触れたように見えた)ことがこうしたとらえ方をされてしまった可能性もあります。
また、相手に意識がないような場合には、刑法178条の準強制わいせつ罪を疑われる可能性もあります。
刑法178条(準強制わいせつ罪)
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
「人の心神喪失若しくは抗拒不能」とは、簡単に言えば人が意識を失うなどして抵抗できない状態になっていることを指します。
そうした状況に相手を陥らせたり、相手がそうした状態になっていることを利用してわいせつ行為をした場合に成立するのが準強制わいせつ罪です。
しかし、Aさんはあくまで熱中症の看病のためにVさんに触れていたのであり、わいせつな行為をしようとしていたわけではありません。
そもそもAさんの行為はあくまで看病であり、その行為にわいせつ性があったとは考えにくいです。
さらに、Aさん自身も熱中症の看病をしようと動いていたわけですから、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪の故意もなかったと考えられます。
ですから、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪を疑われてしまったら、そうしたことを具体的な事情に基づいて主張して、Aさんの行為が強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪に当たらないと主張していくことが重要でしょう。
例えば、今回の場合、Aさんは熱中症の看病に必要なこと以外でVさんの体には触れていないようですし、救急車も呼んでいます。
そうしたことから、Aさんの行為にはわいせつ性がなく、Aさん自身もそうした認識はしていなかったと主張していくことになるでしょう。
ただし、「看病にかこつけて体を触ってしまおう」などと考えていたような場合には、行為のわいせつ性や故意が認められ、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪が成立する可能性があることにも注意が必要です。
そうでないかどうかは、看病に必要なこと以上に過剰な行為をしていないか、周囲の状況はどうだったか、といった詳しい事情を考慮して判断されることになるでしょう。
冤罪を主張するには、取調べ時の対応が非常に重要です。
しかし、被疑者本人1人で捜査官と対峙しなければならない取調べにおいて、自分の主張を間違いなく話し続けることは、実はとても負担の大きいことです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そうした冤罪事件のご相談もお受けしています。
刑事事件専門の弁護士がフルサポートいたしますので、冤罪事件にお困りの際はお気軽にご相談ください。
花火大会でチケット不正転売防止法違反
花火大会でチケット不正転売防止法違反
Aさんは、京都府宮津市で開催される人気の花火大会の有料席のチケットを、行く気がないにも関わらず何枚も取得し、SNSなどで定価よりかなり高額の値段で買い取りを募集しました。
実はAさんはこの花火大会以外にもこうした手口でチケットの高額転売を繰り返しており、今回もチケットの転売により利益を得るつもりでした。
すると、京都府宮津警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんはチケット不正転売防止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・花火大会でチケット不正転売防止法違反
夏も真っ盛りの時期となり、各地で花火大会も開催されています。
人気の花火大会では、有料席のチケットも販売されており、座って花火を見ることができたり、いい位置で花火を見ることができたりするところもあるようです。
今回は、この花火大会の有料席のチケットについて、刑事事件となってしまったようです。
Aさんに容疑がかけられているチケット不正転売防止法違反という犯罪は、つい先日、令和元年6月14日に施行された、チケット不正転売防止法(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)に違反する犯罪です。
この法律では、主に①チケットの不正転売、②チケットの不正転売を目的にしたチケットの取得が禁止されています。
・チケット不正転売防止法の対象は
チケット不正転売防止法が対象としているチケットは、全てのチケットというわけではありません。
チケット不正転売防止法では、①「興行主等(興行主(興行の主催者をいう。以下この条及び第5条第2項において同じ。)又は興行主の同意を得て興行入場券の販売を業として行う者をいう。以下同じ。)が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨を当該興行入場券の券面に表示し又は当該興行入場券に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に当該興行入場券に係る情報と併せて表示させたもの」(2条3項1号)であり、②「興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者(興行主等が当該興行を行う場所に入場することができることとした者をいう。次号及び第5条第1項において同じ。)又は座席が指定されたもの」(2条3項2号)であり、③「興行主等が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める事項を確認する措置を講じ、かつ、その旨を第1号に規定する方法により表示し又は表示させたもの」(2条3項3号)を満たすチケットが対象とされています。
③については、入場資格者が指定されているチケットについては入場資格者の氏名及び電話番号、電子メールアドレス、その他の連絡先(2条3項3号イ)、座席が指定されたチケットについては購入者の氏名及び連絡先(2条3項3号ロ)が「次に定める事項」とされています。
多くの大手チケットサイトでは、チケット購入の際には①や③の確認を求められることが多いため、チケットサイトを通じて購入したようなチケットの多くが当てはまると考えられます。
また、今回のAさんの花火大会の有料席の場合には、日時や場所の指定はもちろんしてあると考えられます。
ですから、入場資格者や席が指定されていれば、Aさんの転売した花火大会のチケットもチケット不正転売防止法の対象になる可能性が高いと考えられます。
・チケットの不正転売とは
チケット不正転売防止法では、チケットの不正転売について、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの」(チケット不正転売防止法2条4項)とされています。
つまり、興行主に無断で、反復継続の意思をもって、販売価格を超える価格でチケットの転売をした場合に、チケット不正転売防止法のいうチケットの不正転売にあたるのです。
今回のAさんの場合、公式のリセールサービスなどを使っていないことから、興行主に許可を取って転売をしているとは考えにくいです。
また、過去にも同様のチケットの転売をしていることや、花火大会のチケットを複数取得していることから、花火大会のチケットの転売について反復継続の意思があるとも考えられます。
さらに、Aさんは定価よりも高額にチケットを転売していますから、チケット不正転売防止法のいうチケットの不正転売をしていると考えられます。
チケットの不正転売をしてしまった場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます(チケット不正転売防止法9条1項)。
なお、チケットの不正転売目的にチケットを取得した場合にも、同様の刑罰を受ける可能性があることにも注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうしたチケット不正転売事件のご相談も受け付けております。
チケット不正転売防止法はまだ施行されて日が浅い法律ですが、刑事事件を専門に扱う弁護士だからこそ、迅速で丁寧な対応が可能です。
まずはお気軽に0120-631-881までお問い合わせください。
室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪③~裁判員裁判
室内熱中症事件で保護責任者遺棄致死罪③~裁判員裁判
~前回からの流れ~
京都市北区に住んでいる18歳のAさんは、1歳になる息子のVさんと2人で暮らしていました。
ある8月の日、Aさんは出かける用事があったのですが、Vさんは特に汗をかいているわけでもなく、よく寝ていました。
そこでAさんは、特に冷房を付けずにVさんを自宅に残し、出かけてしまいました。
Aさんは用事をすぐに済ませるつもりでしたが、「室内にいるのだから大丈夫だろう」と考え、それから4時間ほど家を空けていました。
するとVさんは室内熱中症になってしまい、帰宅したAさんが病院に連れて行きましたが、Vさんは死亡してしまいました。
その後、Aさんは京都府北警察署に保護責任者遺棄致死罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・Aさんが逆送・起訴されたら
前回の記事では、少年事件でも「逆送」され起訴されることで刑事裁判になりうるということを取り上げました。
では、Aさんが逆送され、起訴されてしまったとしたら、どういった裁判を受けることになるのでしょうか。
実は、Aさんに容疑がかかっている保護責任者遺棄致死罪は、裁判員裁判の対象となる犯罪です。
裁判員裁判の対象となる犯罪については、裁判員法(正式名称:裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)に定められています。
裁判員法2条1項
地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第3条の2の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第26条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
1号 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
2号 裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
裁判員法2条1項2号の「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件」とは、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪(刑法第236条、第238条又は第239条の罪及びその未遂罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)第1条の2第1項若しくは第2項又は第1条の3第1項の罪並びに盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和5年法律第9号)第2条又は第3条の罪を除く。)に係る事件」(裁判所法26条2項2号)のことを指します。
保護責任者遺棄致死罪は、「3年以上の有期懲役」が法定刑に定められている犯罪ですから、「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件」です。
さらに、保護責任者遺棄致死罪では「故意の犯罪行為により被害者を死亡させ」ていますから、裁判員法2条1項2号に該当することになり、裁判員裁判の対象となるのです。
ですから、Aさんの事件が逆送され起訴された場合には、Aさんは裁判員裁判を受けることになります。
・裁判員裁判
裁判員裁判は、裁判官3人に加え、一般の国民の中から選ばれた裁判員6人が審理に参加する裁判の制度です。
裁判員は、プロの裁判官3人とともに、被告人が有罪なのか無罪なのか、有罪だとして刑罰はどの程度が適切なのかを判断することになります。
裁判員裁判は、一般の法律知識のない裁判員が参加することもあり、通常の刑事事件の裁判よりも特殊な手続きや日程となっており、それに合わせた弁護活動が必要となってきます。
例えば、裁判員裁判の際には必ず公判全整理手続という手続が取られます。
これは、争点や証拠を整理し、裁判本番になってスムーズに進行ができるようにするための準備の手続です。
通常の裁判ではこの手続がとられるかどうかは事件ごとの事情によりますが、裁判員裁判の場合は必ずこの手続がとられます。
また、裁判員裁判は連日裁判が行われることが多いことも特徴です。
通常の裁判では、1回の裁判が行われた後、次回の裁判まで1~2か月程度時間が空くことが多いのですが、裁判員裁判では裁判員の予定調整の負担を減らすために連日開催することが多いです。
最高裁判所の統計によると、多くの裁判員裁判で期日は5日間前後となっています。
裁判員裁判では、こうした手続きや期日に特徴があることに加え、一般の国民から選ばれた裁判員が審理に参加することから、裁判員にもわかりやすく争点やこちらの主張を伝えなければなりません。
ですから、裁判員裁判の弁護活動については、刑事事件・裁判員裁判への知識のある弁護士に相談されることをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所ですから、裁判員裁判対象事件の弁護活動についても安心してご相談いただけます。
少年事件で逆送されてしまった、裁判員裁判となりそうだ、とお困りの際は、弊所弁護士までご相談ください。
