あおり運転と交通事故③
~前回からの流れ~
AさんとBさんは、京都市左京区内の道路で、それぞれの自動車を運転していました。
Aさんの車はBさんの車の前方を走っていたのですが、後続のBさんの車が車間距離を詰めてきたことに腹を立て、故意に急ブレーキをかける行為を繰り返しました。
何回か目の急ブレーキで対応しきれなかったBさんの車がAさんの車へぶつかったことで追突事故となり、Aさん・Bさん両者が首など軽傷を負う事態となりました。
AさんとBさんはそれぞれ傷害罪と過失運転致傷罪(自動車運転処罰法違反)の容疑で京都府川端警察署で取調べを受けることになりました。
(※平成31年1月24日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)
前回から、あおり運転とそれを原因とした交通事故について、何罪が成立しうるのかを検討してきました。
今回は、事例のAさんとBさんがそれぞれ何罪にあたるかを、弁護活動に触れつつ考えていきます。
・Aさんの行為について
Aさんは、Bさんの運転に腹を立てて、故意に急ブレーキをかける行為を繰り返しています。
そしてその結果、Bさんの車と交通事故を起こし、Bさんにけがをさせています。
①で取り上げたように、後続の車に対して故意に急ブレーキをかけるような行為は、相手の運転操作を誤らせたり、自分の運転操作を狂わせたりして交通上の危険を発生させるおそれがあることから、相手に対する不法な有形力の行使であると言えます。
こうしたことから、Aさんの故意に行っていた急ブレーキは、暴行罪に当たる可能性があるといえます。
そして、今回は、その暴行罪にあたる行為によって交通事故が起き、相手に怪我をさせていることから、傷害罪に問われているということでしょう。
・Bさんの行為について
Bさんは、Aさんの車に追突する形で交通事故を起こし、Aさんにけがをさせています。
ここでポイントであるのは、BさんはAさんの車との車間距離を詰めていたということです。
①の記事で取り上げた通り、道路交通法では、安全な車間距離を保たなければならないという義務が定められています。
Bさんはこの義務を守らない状態で急ブレーキに対応できずに交通事故を起こしていることから、その点に過失があると考えられます。
したがって、Bさんには自動車運転処罰法上の過失運転致傷罪が成立すると考えられるのです。
・弁護活動について
Aさん・Bさんが問われている傷害罪も過失運転致傷罪も、被害者の存在する犯罪ですから、弁護活動としては、被害者への謝罪や弁償がまず考えられます。
また、Aさん。Bさんともに交通違反やあおり運転といった、交通規範に反するような行為を行っていることから交通事故を起こしてしまっているので、交通規範を守る意識を高めるための活動を行い、再犯の防止に努めること、それを適切に主張してくことも考えられます。
今回のようなケースでは、お互いが加害者と被害者両方の側面を持っているため(こうした事件を「相被疑事件」と言ったりします。)、謝罪や弁償の話をしづらかったり、示談交渉の席についても感情的になってしまってかえって溝が深まってしまったりということも考えられます。
だからこそ、こういった事案では専門家である弁護士を間に挟むということが有効となってきます。
弁護士であれば、お互いに適切な内容の示談を目指して交渉していくことができますし、再犯防止のための活動等も、法的に適切な形で主張してくことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、あおり運転に関連した交通事故事件などの刑事事件を専門に扱っています。
逮捕された方には初回接見サービス、在宅捜査を受けている方には初回無料法律相談がおすすめです。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
(京都府川端警察署までの初回接見費用:3万4,900円)