障害者手帳を偽造し不正使用した男性を有印公文書偽造罪などで逮捕①

有印公文書偽造罪などの容疑で逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。
事例
京都府木津警察署によると昨年(2024年)9月18日、記載事項を偽造した障害者手帳を使って、交通機関に割引料金で乗車した疑いで自営業の男(52)が有印公文書偽造罪などの疑いで逮捕されました。
同署によりますと、京都府木津川市内の市営バスを男が利用した際、偽造した障害者手帳を使って割引料金で利用したとのことです。
取調べによると男はこの1週間前に障害者手帳を偽造し市営バス以外にも、他の交通機関や施設などを利用しており、合計5000円ほどの割引を受けていました。
男が同市内のバスを利用した際、運転手が偽造に気付き警察に通報したとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
公文書偽造罪とは?
有印公文書偽造罪(刑法第155条1項)とは、自分もしくは他人が行使する目的で、公務所や公務員の印章や署名を使用して公文書や公図画を偽造、またはその印章や署名を偽造して公文書や公図画を偽造すると成立する犯罪で、処罰は1年以上10年以下の懲役と規定されております。
つまり、作成権限に基づいて公務所や公務員が名義人となって作成される書類(公文書)などを自分や他人が行使する目的で偽造したり、また公文書・公図画に署名捺印されている印章や署名を偽造して、公文書・公図画を作成すると成立します。
「文書」とは文字またはこれに代わる記号・符号を用いて、ある程度持続すべき状態において、意思又は観念を表示したものをいいます。
「公文書」とは公務所・公務員を名義人として作成した文書のことで、職務で作成されたと信じさせるに足りる外観を備えている場合は、その職務権限内に属さない事項であったとしても公文書とみなされることになります。
例えば以下のようなものが挙げられます。
・役所などが作成する住民票、戸籍、パスポート、運転免許証など
・法務局が作成する登記簿謄本など
・公証役場が作成する公正証書遺言など
・裁判所などが作成する起訴状など
「図画」とは象形的符号を用いたものをいいます。
例えば法務局の土地台帳付属の地図などです。
また「印章」とは人の同一性を証明するために使用される文字や符号のことで、いわゆる印鑑のことです。これは文字による必要もなく、図形で表されてもいいものです。
また「署名」は氏名など人が自己を表彰する文字のことで、いわゆるサインのことです。
これは自署だけではく、印刷されたものや代筆も該当します。
このような印章や署名がある公文書の偽造は特に、有印公文書偽造罪と呼ばれています。
また公文書ではありますが、印章や署名がない偽造は、無印公文書偽造罪になります(刑法第155条3項)。
こちらは3年以下の懲役または20万円以下の罰金が規定されています。
また偽造した公文書・公図画を行使した場合も偽造公文書行使等罪(刑法158条)によって処罰されます。
公印を行使する目的で偽造したり、公印を不正に行使した場合は公印偽造及び不正使用等罪(刑法第165条)に該当します。
変造とは何か?
また公文書偽造罪を規定する刑法第155条では、2項に変造した者への罰則規定が定められています。
ここでいう「変造」とは、作成権限のない者が公文書・公図画の内容に改ざんを加えることをいいます。
しかし、ここでいう改ざんは本質的な部分ではない箇所を改ざんすることで(例えば、預金通帳の預入れの日にちだけを改ざんした)、本質的な改ざんでは偽造罪に該当します。
今回の事例では公的機関が発行する障害者手帳を偽造し、割引を得るために、実際に交通機関で呈示し使用しています。
そのため有印公文書偽造罪、偽造公文書行使等罪が該当するでしょう。
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