撮り鉄の線路内立入で鉄道営業法違反に
撮り鉄の線路内立入で鉄道営業法違反になってしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、電車を撮影することを趣味とする、いわゆる「撮り鉄」でした。
Aさんは、京都市下京区にある京都駅付近で電車の撮影をしていた際、よい写真を撮影しようとするあまり、線路内に立ち入って写真撮影をしていました。
その様子を通行人が目撃して京都府下京警察署に通報・相談したことで、Aさんは京都府下京警察署の警察官に、鉄道営業法違反の容疑で話を聞かれることになりました。
後日取調べに呼び出されると聞いたAさんは、取調べを受ける前に京都府の刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・線路内立入行為と刑事事件
いわゆる「撮り鉄」による線路内立入行為は、たびたび報道などにより話題に上がります。
もちろん、「撮り鉄」だからといって線路内への立ち入りをするわけではなく、マナーを守って趣味を楽しんでいる方はたくさんいらっしゃいます。
しかし、時にはその趣味への情熱がいきすぎてしまい、線路内立入行為などをしてしまう「撮り鉄」もいるようです。
今回のAさんのように、線路内へ立ち入る行為は、鉄道営業法違反となります。
鉄道営業法は、明治に作られた古い法律で、その条文は漢字とカタカナで書かれており、中身についてはあまり知らないという方も多いかもしれません。
鉄道営業法では、以下のように線都内への立ち入り行為について定められています。
鉄道営業法第37条
停車場其ノ他鉄道地内ニ妄ニ立入リタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス
つまり、電車の停車場や、鉄道地にみだらに立ち入れば、鉄道営業法違反となり、1万円以下の科料となるということです(罰金の金額については、法律制定当時と現在のレートが異なるため、「罰金等臨時措置法」という法律によって調整されています。)。
Aさんのような線路立入行為はもちろん、電車の停車場等に侵入することもこの条文で規制されており、違反すれば鉄道営業法違反となります。
この鉄道営業法に定められている「科料」とは、1万円未満の金額を取り立てることをいいます。
「科料」は軽微な犯罪に規定されている刑罰で、額も大きくはありません。
しかし、それでも科料となれば前科となってしまいます。
なお、Aさんが立ち入った線路が新幹線の線路だった場合、鉄道営業法ではなく、いわゆる「新幹線特例法」(正式名称:「新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する法律」)に違反することになります。
新幹線特例法第3条
次の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
第2号 新幹線鉄道の線路内にみだりに立ち入つた者
新幹線の線路の場合、一般の電車の線路よりも立ち入った場合の刑罰は重いものとなっています。
これは、新幹線の方が速度などの関係上より、線路に立ち入った際に想定される危険が大きいものであるためであると考えられます。
このように、線路への立ち入り行為は犯罪に当たる行為なのです。
その他にも、線路への立ち入りの態様や事情によっては、刑法の威力業務妨害罪や往来危険罪など、他の犯罪が成立する可能性もあります。
線路への立ち入りをしないようにすることはもちろんですが、もしも線路へ立ち入ってしまって刑事事件となってしまったら、お早めに弁護士へ相談することをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料法律相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。