公務執行妨害事件の逮捕に対応

公務執行妨害事件の逮捕に対応

公務執行妨害事件逮捕に対応するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京丹後市でタクシー運転手として働いています。
ある日、Aさんがタクシーの乗客をおろすために交差点内で停止したところ、それを見ていた巡回中の京都府京丹後警察署の警察官から注意を受けました。
Aさんは注意されたことに腹を立てると、警察官に向かって複数回タクシーを前進させました。
警察官は転倒したものの怪我はありませんでした。
しかし、Aさんはその場で公務執行妨害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕されたことを知り、Aさんのために何かできないかと弁護士に相談することにしました。
(※令和3年7月25日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・公務執行妨害罪と逮捕

今回のAさんは、公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、公務執行妨害罪は刑法に以下のように定められている犯罪です。

刑法第95条第1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若し
くは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、ざっくりと大まかにいえば、公務員が仕事をしているところに暴行や脅迫を加えた者に成立するという犯罪です。
刑法における「公務員」とは「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」とされていることから(刑法第7条第1項)、今回のAさんの事例で相手となっている警察官も刑法上の「公務員」となります。
そして、今回の事例では、Aさんは巡回中の警察官に対してタクシーを前進させています。
警察官が巡回することは警察官の仕事の1つであり、今回の事例の警察官はその仕事の最中であることから、公務執行妨害罪の「職務を執行するに当たり」という部分にも該当することになります。
さらに、Aさんは警察官に対してタクシーを前進させており、それによって警察官を転倒させていますが、これは「暴行」であると考えられます。
ですから、今回のAさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられるのです。

そのAさんは、冒頭でも触れたように公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、公務執行妨害事件では現行犯逮捕される事例も少なくありません。
というのも、今回の事例のAさんのように、公務執行妨害罪の「公務員」に当たる人が警察官であることが少なくないからです。
警察官が事件の当事者としてその場にいる場合、犯行を現認してすぐに現行犯逮捕に結びつくため、公務執行妨害事件現行犯逮捕されるというケースがよく見られるのです。

こうした警察官相手の公務執行妨害事件では、基本的には示談締結ができません。
これは、法律上公務執行妨害罪の被害者は国や自治体となっているため、国や自治体相手に示談することは難しいということによります。
後述のように、公務執行妨害罪とは別の犯罪が成立した場合には、その犯罪に関しては被害者となる個人と示談交渉をするというケースもありますが、公務執行妨害罪自体は被害者対応をすることが難しいのが実情です。
だからこそ、それ以外の部分、例えば再犯防止策の構築や反省の深まりを表す反省文や贖罪寄付などに早い段階から取り組み、証拠化していくことが重要となります。

・公務執行妨害罪以外の犯罪

今回のAさんは公務執行妨害罪の容疑で逮捕されていますが、例えばAさんの暴行によって警察官が怪我をしていた場合には、公務執行妨害罪とは別に傷害罪(刑法第204条)が成立することになります。
さらに、Aさんが警察官を殺してしまうつもりでタクシーを前進させ、実際に警察官を殺してしまったり、殺す危険性のある行為に及んでいたりする場合には、殺人罪(刑法第199条)や殺人未遂罪(刑法第203条)の成立も考えられます。

公務執行妨害事件では、暴行が用いられることも多いため、その暴行行為から派生して別の犯罪が成立してしまう可能性があることにも注意が必要です。

公務執行妨害事件、特にAさんの事例のような警察官相手の事件では、逮捕などの身体拘束を受けやすく、さらに示談締結も難しいという事情がありますから、一般の方だけで手続に臨むことは負担が大きいでしょう。
刑事事件に強い弁護士に早めに相談することで、刑事事件に臨むことへの不安・負担の軽減が期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、公務執行妨害事件を含む刑事事件全般に対応しています。
京都府公務執行妨害事件逮捕にお困りの際は、お気軽にご相談下さい。

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