京都府舞鶴市の大麻輸入麻薬特例法違反事件①

京都府舞鶴市の大麻輸入麻薬特例法違反事件①

Aさんは、京都府舞鶴市で、X国から大麻を輸入し、その大麻を販売して利益を得ることを数年の間繰り返していました。
しかしある日、舞鶴税関支署により、Aさんの大麻輸入行為が発覚し、Aさんは京都府舞鶴警察署麻薬特例法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
Aさんは、「自分が輸入していたのは大麻であったのに、麻薬特例法違反という罪名で逮捕されたのはなぜなのだろうか」と思い、Aさんの家族が依頼した弁護士が接見(面会)に来た際に、弁護士に質問してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・大麻輸入なのに麻薬特例法?

Aさんは、大麻を販売するために大麻輸入行為を繰り返したという麻薬特例法違反の容疑で逮捕されています。
Aさんも疑問に思っているように、大麻なのに麻薬特例法という法律に違反することになるのでしょうか。
大麻に関しては、大麻取締法によって規制されているのではないのでしょうか。

麻薬特例法とは、「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」という法律の通称です。
麻薬特例法が定められている趣旨は、その1条にあります。

麻薬特例法1条
この法律は、薬物犯罪による薬物犯罪収益等をはく奪すること等により、規制薬物に係る不正行為が行われる主要な要因を国際的な協力の下に除去することの重要性にかんがみ、並びに規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図り、及びこれに関する国際約束の適確な実施を確保するため、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)、大麻取締法(昭和23年法律第124号)、あへん法(昭和29年法律第71号)及び覚せい剤取締法(昭和26年法律第252号)に定めるもののほか、これらの法律その他の関係法律の特例その他必要な事項を定めるものとする。

つまり、麻薬特例法は、麻薬や向精神薬、大麻、覚せい剤などの規制薬物に関する特例であり、「麻薬」特例法という通称で呼ばれてこそいるものの、麻薬特例法の対象には麻薬や向精神薬だけでなく、大麻やあへん、覚せい剤についても含まれるということになります。

では、どういったことをした場合、麻薬特例法によって処罰されることになるのでしょうか。
今回のAさんのような、大麻取締法違反にかかる例にとって見てみましょう。
麻薬特例法では、以下のような形で、麻薬特例法違反として処罰するケースを定めています。

麻薬特例法5条
次に掲げる行為を業とした者(これらの行為と第8条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。)は、無期又は5年以上の懲役及び1,000万円以下の罰金に処する。
2号 大麻取締法第24条又は第24条の2(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。

大麻取締法24条
1項 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。

大麻取締法24条の2
1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。

すなわち、大麻取締法で禁止されている大麻輸入行為等について、「業として」行った場合には、大麻取締法違反ではなく、麻薬特例法違反として処罰されることになるのです。
なお、このほか、薬物犯罪による収益と知りながらその収益を収受したり、規制薬物の輸出入に係る薬物犯罪をする意思で規制薬物として物品を輸出入したり、薬物犯罪の濫用をあおったりそそのかしたりした場合にも、麻薬特例法違反となります。

では、麻薬特例法違反大麻取締法違反では、具体的に何が異なってくるのでしょうか。
そして、どういった違いによって成立する犯罪が変わってくるのでしょうか。
次回の記事で詳しく取り上げます。

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