電話で業務妨害事件に

電話で業務妨害事件に

京都市左京区に住んでいるAさんは、体調不良を訴えて119番通報をしながら、やってきた救急車に対して「帰れ」と言うなどして追い返していました。
Aさんは、こうした行為を繰り返しており、消防署からもやめるように言われていましたが、構わず行為を繰り返し、その回数は200回を超えていました。
するとある日、Aさんはついに京都府川端警察署偽計業務妨害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの娘は、京都府川端警察署からの電話でAさんの逮捕を知りました。
Aさんの娘は、とにかく状況が知りたいと思い、弁護士にAさんとの接見(面会)を依頼しました。
そして弁護士から報告を受けた後、Aさんの釈放のために協力できることはないかも詳しく聞くことにしました。
(※平成31年3月15日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・電話をかけて業務妨害罪?

業務妨害と言うと、例えば店の中で暴れるなど、直接的・物理的に妨害行為をするイメージも強いかもしれませんが、事例のAさんのように、電話(通報)をしてその業務を妨害するというパターンのものもあります。
今回のAさんの逮捕容疑である偽計業務妨害罪を見てみましょう。

刑法233条(偽計業務妨害罪)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回のAさんの行為が当てはまるのは、この「偽計を用いて」という部分です。
「偽計を用いて」とは、一般に、「人を欺き、誘惑し、または、人の錯誤・不知を利用すること」を指すと解されています。
今回のAさんは、体調不良を訴えて救急車を呼んでいますが、その後、やってきた救急車を追い返しています。
救急車はもちろん、急病人を早急に病院に運ぶため、治療するためのものですから、その救急車の出動が必要がないにもかかわらず必要のあるように見せることは、救急隊員を騙している=欺いているということになります。
そして、救急車の出動が必要ないにもかかわらず出動させられてしまえば、救急車が本来出動すべき場所に行けなかったり、救急車の出動の無い時間にすべき業務が滞ったりすることが考えられますから、「その業務を妨害」しているとも考えられるでしょう。
よって、今回のAさんは偽計業務妨害罪に当たると考えられるのです。

こうしたケース以外にも、電話による偽計業務妨害罪の成立は考えられます。
例えば、店舗などに嫌がらせ電話をかけ続けるようなケースでは、電話が鳴った時点では、店側は客や取引先など対応すべき何らかの電話であると判断して電話を取るでしょう。
しかし、実際は嫌がらせの電話であったような場合には、対応すべき電話であると騙して(=「人を欺」いて)、嫌がらせ電話への対応をさせることによって業務を滞らせて(=「その業務を妨害」して)いることから、偽計業務妨害罪が成立する可能性が出てきます。
他にも、電話で頼んでもいない人のもとへ偽の出前注文などを行う嫌がらせ行為も、本来出前を頼んでいない人が出前を頼んだかのように見せかけて(=「人を欺」いて)、その出前への対応をさせることで他の業務への対応をできなくさせて(=「その業務を妨害」して)いることから、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

このようにして、たとえ簡単にかけられる電話での対応だったとしても、業務妨害罪に問われることは十分考えられます。
偽計業務妨害罪の法定刑は、上述のように3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、決して軽くありません。

・Aさんのための弁護活動

Aさんは逮捕されていますから、釈放を目指す活動を行うことが考えられます。
釈放を目指すためには、Aさん本人の努力はもちろん、Aさんの娘の相談しているように、周囲の方々の協力も重要です。
例えば、家族の協力によってAさんが客観的に逃亡したり証拠隠滅をしたりしないような環境を整えている、ということを主張できれば、逮捕や勾留の必要がないという事情の1つとなります。
どういった手段が可能なのか、それをどうやって証拠としていくのかは、専門知識のある弁護士に話を聞いてみましょう。

また、Aさんの業務妨害行為によって、実際に損害が発生している場合には、被害者と示談することも必要となってくるでしょう。
Aさんの身体拘束が続いても、被害者と示談ができれば、身体拘束から解放してほしいと主張する際の大きな事情をなりますし、Aさんの処分が決められる際にも有利に働く事情となります。
こうした業務妨害事件では、示談交渉の相手が会社等の顧問弁護士となることもありますし、交渉に慣れた担当者となることもあります。
その場合、なかなか当事者だけで話し合うのは不安だ、という方も多いでしょう。
だからこそ、まずは刑事事件やその示談交渉に詳しい弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、偽計業務妨害事件を含む刑事事件を専門に取り扱っています。
特にAさんのように逮捕を伴う刑事事件では、時間の制約が厳しく、迅速に活動することを求められます。
京都府滋賀県刑事事件にお困りの際は、まずは0120-631-881までお電話ください。
京都府川端警察署までの初回接見費用:3万4,900円)

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら