性風俗スカウトで職業安定法違反②
~前回からの流れ~
18歳のAさんと21歳のBさんは、京都市東山区で性風俗店へのスカウト活動のアルバイトをしていたことから、京都府東山警察署に職業安定法違反の容疑で逮捕されました。
(※平成31年1月16日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
前回の記事では、AさんやBさんの行っていた性風俗店のスカウト活動が、職業安定法上の有害業務の紹介に当たり、職業安定法違反となると考えられることを取り上げました。
AさんとBさんは、20歳を超えているかどうかという点に違いがあります。
つまり、20歳未満のAさんは少年事件の、20歳以上のBさんは刑事事件の手続きにのっとって進められていくことになります。
少年事件と刑事事件では注目すべき点や活動内容も異なってきます。
以下では、AさんとBさんそれぞれに考えられる弁護活動の一例を挙げていきます。
・Aさんのための弁護活動
先ほど触れたように、Aさんについての職業安定法違反事件は少年事件の手続きを踏んでいくことになります。
少年事件では、原則的に刑務所へ行ったり罰金を納めたりという刑事罰を科せられることはありません。
少年事件では、家庭裁判所での審判の結果、少年院送致や保護観察と言った保護処分を受ける形になります。
保護処分は、少年の更生と健全な育成を図る目的で行われ、どのような保護処分がその少年に適切であるのかは、家庭裁判所で行われる少年の性格や環境などの調査を経て判断されます。
ですから、少年事件での付添人活動活動(家庭裁判所に事件が送られてからの弁護活動)では、少年の更生を図るための環境調整が主になります。
20歳以上の者が起こした刑事事件の弁護活動でも再犯防止のための対策は重要ですが、少年事件の場合は特に重視される点の1つと言えるでしょう。
Aさんの場合、性風俗店のスカウトについて自身の認識はどうだったのか、それがどうして悪いことであるのかといったAさん自身の内面について、Aさん本人が向き合っていくことはもちろん、なぜ性風俗店のスカウトをするに至ったのか、その原因をどうすれば取り除いていけるのかといった外的な環境を整えていくことが必要となってくるでしょう。
こうした活動には、少年事件の専門的知識が必要不可欠です。
少年事件では捜査段階での対応はもちろんのこと、こうした更生のための活動も早期に取り掛かることが必要です。
・Bさんのための弁護活動
Bさんは20歳以上であるため、通常の刑事事件の手続きに沿って事件処理が進められていきます。
Bさんは逮捕されているため、ここから勾留されるかどうかの判断をされ、さらに取調べを経たのちに、起訴・不起訴の判断を下され、起訴されれば裁判を受けて有罪・無罪を決められることになります。
前回の記事でも取り上げた通り、性風俗店のスカウトを行って職業安定法違反となった場合、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」という刑罰に処せられる可能性があります。
見ていただいてもお分かりいただけるように、職業安定法違反は非常に重い刑罰が定められていますから、少しでも軽い処分にしてもらいたいと考える方も多いでしょう。
被疑事実を認めている刑事事件で裁判となった場合、弁護士としては情状弁護といって、被告人側の事情を主張し、刑の減軽を図る活動を行うことが考えられます。
今回のような性風俗店のスカウトによる職業安定法違反事件では、法律上の被害者はいないことになりますが、実質的に被害を被った方がいればそちらへの被害弁償や謝罪、贖罪寄附、再犯防止対策の構築、ボランティア活動による社会奉仕等を行い、刑の減軽や執行猶予の獲得、罰金での終了等を目指していくことが考えられます。
どのような情状弁護が有効かという点は、その刑事事件の性質や態様によって異なりますから、弁護士に相談しながら進めていくことをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件も少年事件も分け隔てなく取り扱いを行っています。
刑事事件も少年事件も悩んだらすぐに弁護士に相談することが重要です。
不安を感じたら、ためらわずに弁護士を活用しましょう。
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(京都府東山警察署までの初回接見費用:3万4,100円)