商標法違反での逮捕①

商標法違反での逮捕①

Aさんは、滋賀県東近江市にある会社Vが販売している、ゲーム機と連動してゲーム内でアイテムを入手できるカードXが人気であることを知りました。
そこでAさんは、Vが販売しているゲームのロゴ等が入ったXの偽造カードをインターネットで購入し、さらにそれをインターネットオークション等を利用して転売し、利益を得ました。
するとある日、Aさんのもとに滋賀県東近江警察署の警察官がやってきて、Aさんは商標法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、突然Aさんが逮捕されてしまったことに驚き、どうしていいのかひとまず専門家の意見を聞きたいと、弁護士に相談し、すぐにAさんのもとへ向かってもらうことにしました。
(※平成31年1月15日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・商標法違反

商標法と言う法律が保護しているのは、その名前の通り「商標」です。
「商標」とは、「人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)」であり、なおかつ、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」もしくは「業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの」を指します(商標法2条)。
つまり、簡単に言えば、何らかの商品やサービスを受ける時に、どこからその商品やサービスを受けるのかということが分かるもののことを「商標」というのです。
「商標」を保護することで、商品に対する信頼や企業に対する信頼、サービスに対する信頼を保護することに繋がります。
仮に、Bという企業のロゴマークを誰でも事由に使用して商売をしてもよいということになれば、Bという企業を信頼して商品を買う、Bという商品だからこそ購入する、ということができなくなりますから、これは企業にとっても消費者にとっても損をすることになってしまいます。
だからこそ、商標法では「商標」の保護を行い、こうした事態を防いでいるのです。
「商標」を登録することで「商標権」が発生し、その商標権を侵害すると商標法違反となるのです。

では、具体的にどのようなことが商標権の侵害となり、商標法違反となるのでしょうか。
まずは商標権の効力について見てみましょう。

商標法25条
商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。(略)

つまり、商標権はその商標を独占的に使用する権利ということなのです。
したがって、商標を勝手に使用するということは、その商標を独占的に使用する権利=商標権を侵害するということになるのです。
では、商標法違反をして、商標権の侵害をしてしまった場合、どのような刑罰が下されるのでしょうか。

商標法78条
商標権又は専用使用権を侵害した者(第37条又は第67条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行ったた者を除く。)は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

商標法78条の2
第37条又は第67条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行った者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

インターネットの発達や個人が取引できる場所の増加に伴って、偽ブランド品や偽商品を販売しようと思えばできてしまう環境がありますが、商標権を侵害したことによる商標法違反はこれだけ重い刑罰が規定されていることに注意が必要です。
もしも商標権侵害による商標法違反となったら、すぐに弁護士に相談し、不当に重い処分がくだらないよう活動してもらうことをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、商標法違反事件のような少し特殊な刑事事件でもご相談いただけます。
滋賀県商標法違反事件にお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。
次回の記事では、今回のAさんのケースでの弁護活動を取り上げます。
(お問い合わせ:0120-631-881

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