【事例紹介】教師が生徒と性交し、執行猶予判決になった事例

元教師が教え子と性交したとして児童福祉法違反の罪に問われ、執行猶予付判決を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例概要

教え子の女子生徒にホテルでみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反の罪に問われた元(中略)教諭の男(中略)の判決公判が(中略)あり、(中略)裁判官は懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。
判決によると、男は授業を担当していた女子生徒が18歳未満と知りながら、教諭の立場を利用し、(中略)ホテルで自身を相手に性交させた。(中略)
その上で、男が性障害の専門治療を受け、二度と教育や子どもに関わる仕事はしないと約束していることなどから執行猶予を付けた。

(7月7日 京都新聞 「教え子にみだらな行為、元中学教諭に有罪判決 「結局は性欲満たす目的」大津地裁」より引用)

18歳未満と性行為等をするとどうなる?

18歳未満の者との性行為は、その行為態様や犯罪主体により、「青少年の健全な育成に関する条例(京都府条例第2号)」のほか、「児童売春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」、「児童福祉法」等さまざまな法令の規制対象となっています。
その中の1つとして、児童福祉法は、「児童に淫行をさせる行為」を処罰の対象とし(同法34条1項6号)、 このような行為に及んだ場合には、「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」としています(同法60条1項)。

ここで、同法のいう「淫行」とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又は性交類似行為をさします。
次に「させる行為」とは、「直接間接を問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をすることを助長促進する行為」を指し、その該当性判断にあたっては、「行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮」して判断されます。 (以上の解釈については最高裁平成28年6月21日決定)
具体的には、児童と性交等の行為をした者が当該児童の教師である場合が、「淫行させる行為」をしたと評価される代表例となります。

今回の事例では、被告人の元教師が教え子に性交させたとされています。
児童福祉法では、満18歳に満たない者を児童と定義しています(児童福祉法第4条1項)ので、今回の事例の被害者は児童福祉法が定義する児童にあたります。
今回の事例では、被告人と被害者の関係性は教師と教え子です。
被告人が被害者にさせたとされている性交は「淫行」にあたりますし、教師と教え子という立場から、被告人が被害者に影響力を及ぼして淫行することを助長促進させたと判断されたのでしょう。
児童福祉法では、淫行させる行為の相手が被告人本人である場合も「淫行させる行為」に該当します。(最高裁平成10年11月2日決定)
ですので、今回の事例では、被告人が児童福祉法違反で有罪判決を下されたのでしょう。

執行猶予付判決を取るためには

上記記載の児童福祉法の「淫行させる行為」の量刑は、その他法令の量刑と比較しても重くなっています。
児童福祉法では児童に淫行させた場合の法定刑が、「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」のため、執行猶予付判決の前提条件である3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡し(刑法25条)を満たさない可能性があります。
そこで、執行猶予付判決にするためには、そもそも下される量刑を軽くする必要があり、そのためには示談を成立していることが非常に重要になってきます。

まずは弁護士へ早めの相談を

このように、量刑を軽くする上でも、執行猶予付判決を得るためにも示談が成立していることは裁判で重要な意味を持ちます。
ところが、実際には加害者本人が示談交渉を成功させることは非常に困難です。
被害者が18歳未満の場合には、その保護者と話し合いをすることになりますが、通常、保護者の加害者に対する処罰感情は強く、示談交渉で落とし所を見つける過程での言動が火に油を注ぐ結果になりかねません。
そこで、加害当事者による示談は避け、交渉のプロである弁護士に任せることをおすすめします。

裁判は示談交渉を待ってくれませんから判決前に示談を成立させるためにも、可能な限り早い段階で弁護士に相談することも非常に重要です。
早期に弁護士に相談することで起訴前に示談が成立すれば、不起訴になり前科がつかない可能性もなくはありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、児童福祉法など18歳未満の者に対する法令違反行為の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と交渉を行うことで執行猶予付判決を獲得できる可能性がございますので、早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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