収賄罪の容疑で市役所職員を逮捕

収賄罪の容疑で逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務京都支部が解説いたします。
事例
京都府京丹後市の市役所職員の男(56)が市有地の所有権をめぐり便宜を図る見返りに現金を受け取ったとされる収賄罪の容疑で、京都府京丹後警察署に逮捕されました。
調べによると男は昨年(2024)4月20日に、市有地の所有権を主張する男性から土地を購入するため、不動産会社代表に便宜をはかった見返りとして現金50万円を受け取ったとみられています。
男は容疑を認めているとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
収賄罪とは?
賄賂を受けとる行為は収賄罪に該当し、刑法第197条から第197条の5まで規定されています。
このように収賄に該当する行為が多岐にわたるため、複数の条文で定めされています。
(なお賄賂を贈る贈賄罪は第198条に規定されています。)
1.単純収賄罪(第197条1項前段)
公務員が、その職務に関して賄賂を収受し、又は賄賂を要求若しくは約束したときは、5年以下の拘禁刑の罰則が規定されています。
2.受託収賄罪(第197条1項後段)
公務員が請託(その担当すべき職務に対し依頼を受けて承諾すること)を受け、賄賂を受取ったときは、7年以下の拘禁刑の罰則が規定されています。
3.事前収賄罪(第197条2項)
公務員になろうとする者が、請託を受け、賄賂を受取り、又は賄賂を要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合に5年以下の拘禁刑の罰則が規定されています。
例えば選挙に立候補している者が事前に賄賂をうけとり、当選した後に依頼の行為を行うような場合は事前収賄罪にあたります。
4.第三者供賄罪(第197条の2)
公務員が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、5年以下の拘禁刑の罰則が規定されています。
5.加重収賄罪及び事後収賄罪(第197条の3)
① 公務員が前の1~4の罪を犯し、不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、1年以上の有期拘禁刑の罰則が規定されています。
② 公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、①と同様の1年以上の有期拘禁刑が規定がされています。
③ 公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の拘禁刑の罰則が規定されています。
6.あっせん収賄罪(第197条の4)
公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせんをすること又はしたことの報酬として、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の拘禁刑の罰則が規定されています。
7.没収及び追徴(第197条の5)
犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴すると規定されています。
身分犯とは?
上記の1~6には全て「公務員が」と規定されています。
これは身分犯といわれるもので、特に真正身分犯といわれるものです。
真正身分犯とは構成要件において行為者が一定の身分をなければ犯罪を構成しないもので、収賄罪では公務員以外の民間人は適用されません。
(いわゆる国公立大学の職員など「みなし公務員」は適用になります。)
しかし民間人による公正性や透明性が求められる取引や仕事の場合は、例えば会社法など個別の法律で収賄罪が規定されています。
ちなみに贈賄罪に関しては、収受した者が公務員なら、贈賄した民間人にも適用になります。
また不真正身分犯とは構成要件において行為者が一定の身分をあることで法定刑が加重あるいは減軽されるものをいいます。
例えば賭博罪に該当する行為を常習性がある者が行った場合は、常習賭博罪になります。
今回の事例は賄賂をうけとり、職務として土地購入のあっせんを民間企業にしています。
特に不正な行為をしていると認められない場合、男がその職務に関する事項について依頼を受けてこれを承諾することによって、賄賂を受取ったときは、受託収賄罪が該当するでしょう。
また不正行為が伴っていた場合は、加重収賄罪が適用になるでしょう。
収賄罪で逮捕されてしまったら
公務員が収賄罪で逮捕された場合は、報道されることが多く、社会的に不利益を被る場合があります。
身柄開放や不起訴、減刑を目指すのであれば、刑事事件に精通した弁護士が心強い味方になるでしょう。
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