所得隠しの脱税で所得税法違反

2019-07-31

所得隠しの脱税で所得税法違反

Aさんは、京都市西京区で会社を経営しています。
Aさんは、所得税として多額のお金を引かれることに納得がいかず、自分の所得を実際よりも少なく申告していました。
しかし、それを怪しんだ右京税務署が調査を行い、Aさんの脱税行為が発覚しました。
右京税務署京都地方検察庁に告発したことから、Aさんは所得税法違反の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・脱税

脱税とは、本来払うべき税金を払うことを不当に免れることやその行為を指します。
この「脱税」は犯罪となるため、刑事事件となり「脱税事件」として報道されているところを目にしたことのある方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、脱税罪という犯罪が刑法に規定されているわけではありません。
脱税をするとどういった犯罪になるのでしょうか。

今回のAさんのように、いわゆる「所得隠し」を行って所得税の支払いを免れた場合には、所得税法違反という犯罪が成立します。
そもそも所得税とは、所得税法で支払うことが義務付けられている税金であり、個人の所得に対して課される税です。
累進課税制度が適用されているため、たくさん所得のある人はそれだけ多くの税金を引かれることになります。
ですから、「所得隠し」をして実際よりも少ない所得を申告してしまえば、払うべきとされる税金が少なくなるということなのです。
しかし、所得隠しをして脱税をすれば、以下の所得税法の規定に該当する所得税法違反となります。

所得税法238条1項
偽りその他不正の行為により、第120条第1項第3号(確定所得申告)(第166条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第95条(外国税額控除)又は第165条の6(非居住者に係る外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第172条第1項第1号若しくは第2項第1号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第142条第2項(純損失の繰戻しによる還付)(第166条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

この規定は、簡単に言えば「偽る等の不正行為により払うべき所得税の支払いを免れたり、所得税の還付を受けた者は10年以下の懲役若しくは1000万円罰金、又はこれの併科とする」ということです。
いわゆる「所得隠し」では、実際よりも少ない所得を申告する手口が用いられますから、「偽」って所得税の支払いを免れているといえるでしょう。
ですから、「所得隠し」による脱税所得税法違反となるということになるのです。

・「所得隠し」と「申告漏れ」

今回のAさんは意図的に所得隠しを行っており、京都検察庁に告発されていることから脱税事件として刑事事件化していますが、意図せず所得を少なく申告してしまった、いわゆる「申告漏れ」の状態であった場合でも犯罪として罰せられてしまうのでしょうか。

犯罪の成立には、原則として「故意」という、犯罪をしているという認識や意思が必要です。
故意が欠けている場合、つまりわざとではない場合については、犯罪は基本的には成立しません。
故意がなくても例外的に犯罪が成立するのは、「過失犯」=不注意によって罪を犯してしまった場合についても処罰する規定があるものに限られます。
所得税法には、先ほどの所得隠しについての規定について過失犯の規定はありません。
ですから、うっかり申告するのを忘れてしまったり、計算ミスで少なく申告してしまったりといった申告漏れについては、脱税として犯罪となることはないといえます(ただし、支払い額等の面でペナルティーが科せられる可能性は考えられます。)。

万が一、所得隠しをしたつもりはないのに脱税を疑われてしまった場合には、冤罪ということになりますから、早急に弁護士に相談してみることがおすすめされます。

脱税事件の場合、逮捕・勾留といった身体拘束をされず、在宅での捜査によって手続きを進められるものも多いです。
しかし、逮捕や勾留をされていないからといって軽い処分で済むというわけではありません。
先ほど示したように、所得隠しによる脱税は「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」、「又はこれを併科」という重い刑罰が設定されていますから、在宅で手続きが進んでいたのに裁判の結果刑務所へ行くことになった、となってもおかしくはありません。
所得隠しをするつもりのなかった申告漏れの分まで脱税と疑われて不要に重い刑罰を下されてしまう可能性もあります。
脱税事件は事情が複雑であることも多いため、まずは刑事事件の専門家である弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所はフリーダイヤル0120-631-881でいつでもお問い合わせを受け付けております。