傷害致死罪と殺人罪
京都市上京区の傷害致死事件を基に傷害致死罪、殺人罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
ケース
勤務終りのAさんは、京都市上京区にある自宅に会社の後輩であるVさんを招きました。
AさんとVさんは楽しくお酒を飲んでいましたが、次第にVさんがAさんに不遜な態度をとるようになりました。
AさんはVさんの態度にだんだんと怒りがわいてきました。
ついに我慢できなくなったAさんは、Bさんに少し痛い目にあわせてやろうと思い、傍に置いてあったスプレー缶でVさんの頭を殴りました。
殴られたVさんは頭から血を流し転倒しました。
我に返ったAさんは直ぐに救急車を呼びましたが、搬送先の病院でVさんは死んでしまいました。
その後、Aさんは傷害致死罪の容疑で京都府上京警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)
傷害致死罪
傷害致死罪は、大まかに説明すると、相手に傷害を与えた結果、相手が亡くなってしまった場合に適用されます。
傷害致死罪は刑法205条で規定されており、「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。」と定められています。
有期懲役とは期限が定められている懲役のことを言います。
傷害致死罪で有罪となってしまった場合には、3年以上の懲役を科されることになります。
殺人罪
殺人罪は人を殺す意図をもって人を殺してしまったときに適用されます。
殺人罪は刑法199条で規定されており、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と定められています。
殺人罪で有罪となってしまった場合には、死刑か無期懲役、もしくは5年以上の懲役を科されることとなり、非常に重い刑罰を科されることになります。
傷害致死罪と殺人罪の違い
傷害致死罪と殺人罪の大きな違いは、人を殺す意図があったかどうかです。
ですので、人に暴行を加えた結果として人が死んでしまったという点では同じでも、人を殺す意図をもっていたかどうかで適用される罪名が変わります。
今回のケースの場合、Aさんには傷害致死罪、殺人罪どちらが適用されるのでしょうか。
傷害致死罪となる場合と殺人罪となる場合、それぞれ当てはめて考えていきましょう。
AさんはVさんに怪我を負わせるつもりで、スプレー缶でVさんを殴ったがその結果、Vさんを殺してしまった場合は傷害致死罪が適用されます。
一方で、AさんがVさんを殺すつもりでVさんをスプレー缶で殴り、殺してしまった場合は殺人罪が適用されることになります。
今回の事件では、Aさんは、Vさんを殺す意図があったのでしょうか。
Aさんは、Vさんにあくまで少し痛い目にあわせてやろうというつもりでスプレー缶でVさんを殴りました。
つまり、AさんはVさんに怪我を負わせる目的はありましたが、殺そうとまでは考えていなかったと考えられます。
AさんはVさんを殺すつもりではなかったので、今回のケースの場合は、Aさんには傷害致死罪が適用されることとなります。
傷害致死事件、殺人事件に強い弁護士活動
今回の記事で見てきたように、傷害致死罪と殺人罪では、「人を死なせた」という外観は同じであっても、行為者の認識(殺すつもりであったかどうか)の部分が異なります。
実際は殺すつもりでなかったのに殺人罪に問われてしまえば、本来受けるべき刑罰よりも重い刑罰を受けることになりかねません。
実際の認識はどういったものであったのかなど、内面の部分を主張していくためには、自分の持っている権利や自分の認識・行為を正確に把握しておくことが必要です。
そのためにも、刑事事件に精通している専門家の力を借りることが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では刑事事件・少年事件を中心とした弁護活動を行っております。
あなたの周りの人が、傷害致死罪、殺人罪等で逮捕された際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。
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