サイバーパトロールで麻薬特例法違反が発覚したら
サイバーパトロールで麻薬特例法違反が発覚したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
〜事例〜
京都府南丹市に住んでいるAさんは、SNSを通じて大麻を購入したいという人を募り、自身の持っている大麻を販売していました。
ある日、AさんはいつものようにSNSに「チョコ(大麻の隠語)の入荷あります」「営業しています」などと書き込み、大麻の買取手を募り、SNSの閲覧者に大麻の買取を持ちかけました。
すると、サイバーパトロールをしていた京都府南丹警察署の警察官がその書き込みを発見。
Aさんは、大麻の取引を持ちかけたことによる麻薬特例法違反の容疑で、京都府南丹警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんは、SNSに書き込んだことで逮捕されたことを疑問に思い、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に相談することにしました。
(※令和3年1月30日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)
・大麻の所持・販売
まず、今回の事例のAさんは大麻の所持や販売といった行為をしているようです。
これらは大麻取締法に違反する行為ですから、現在Aさんが麻薬特例法違反の容疑で捜査されていたとしても、後々大麻取締法違反についても捜査される可能性は十分考えられます。
大麻取締法第24条の2
第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
大麻の所持行為等は、その目的が営利目的であればより重く処罰されることになりますが、今回のAさんは大麻を販売しており、大麻を所持しているのも販売目的であると考えられます。
ですから、Aさんの行為は大麻取締法第24条の2第2項に当てはまり、大麻をただ単純に所持していた場合よりも重く処罰されるものと考えられます。
・麻薬特例法とサイバーパトロール
今回の事例のAさんが麻薬特例法違反で摘発されたきっかけは、サイバーパトロールによってSNSで大麻の取引を持ちかけているところを発見されたことです。
大麻の取引きを持ちかけただけにも関わらず犯罪として摘発されることに疑問を感じられる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回のAさんの逮捕容疑である麻薬特例法には、以下のような条文があります。
麻薬特例法第9条
薬物犯罪(前条及びこの条の罪を除く。)、第6条の罪若しくは第7条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
麻薬特例法では、薬物犯罪や違法薬物の濫用をあおるだけでも犯罪とされていることがわかります。
今回のAさんは、SNSで大麻の買い取り手を募り、大麻の取引を持ちかけていることから、大麻取締法違反となる行為=「薬物犯罪」をあおり唆していると考えられるのです。
この麻薬特例法違反に該当する行為は大麻などの違法薬物を直接渡したり使用したりするわけではないことから見落とされがちですが、こうした行為も犯罪となるのです。
大麻などの薬物犯罪は、直接違法薬物に関わる犯罪だけでなく、今回のようなあおり・唆しに関わる犯罪まで多岐にわたります。
近年では、サイバーパトロールを積極的に行なっている捜査機関も少なくないことから、今回のAさんのようにSNSの投稿などから刑事事件に発展することも十分考えられます。
サイバーパトロールによって検挙された場合、住んでいる土地から離れた場所の警察署で逮捕されるなど、当事者だけではなかなか対応しづらいケースとなることも考えられますから、専門家の弁護士の力を早めに借りることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、サイバーパトロールによって検挙された刑事事件や、麻薬特例法違反や大麻取締法違反といった薬物事件にも対応しています。
まずはお早めにご相談ください。