ピザ屋に大量の注文をして受け取りに行かなかった偽計業務妨害罪の事例
ピザ屋に大量の持ち帰りの注文をして、受け取りに行かなかったとして、偽計業務妨害罪の疑いで男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。
事例
京都府南警察署によると、京都市内に住む無職の男性(35)が、近所のピザ屋に大量の持ち帰りピザの注文をしておきながら時間になっても来店せずに無断キャンセルした疑いが持たれている。
京都府南警察署は、男を偽計業務妨害罪の疑いで逮捕した。
取調べに対し男は、「ピザ屋の配達員がデリバリーの際に、ショートカットのため男の私有地を横切っていることに普段から腹が立っていた。ピザ屋を困らせてやろうと思って嘘の注文をした。」と容疑を認めている。
(フィクションです。)
偽計業務妨害罪とは
刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法233条は、信用毀損罪と偽計業務妨害罪という2つの犯罪を規定しています。
同条の「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人(…)の業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」という箇所が偽計業務妨害罪にあたります。
偽計業務妨害罪の妨害手段は、①虚偽の風説を流布することと、②偽計すなわち人を騙したり誘惑したり、あるいは人の勘違いや不知を利用することです。
本件では、男は、ピザ屋に大量の持ち帰りピザの注文をしておきながら時間になっても来店せずに無断キャンセルしたとされています。
男は、ピザを注文することであたかも代金を支払う客であるかのように装い、ピザ屋を騙しています。
したがって、男は偽計を用いたと言えそうです。
「業務を妨害した」と言えるか
偽計業務妨害罪が成立するためには、偽計を用いるなどして「業務を妨害した」と言える必要があります。
もっとも、判例によると現実に業務活動が阻害されたことは必要ではなく、業務活動が阻害されるおそれがあると言えれば良いとされています(大判昭和11年5月7日、最判28年1月30日)。
「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務をいいます(東京高裁昭和35年6月9日)。
例えば、職業として行われる活動がこれにあたり、ピザ屋ですと、ピザの製造のほか、仕込み作業、締め作業など多岐にわたります。
本件では、男による大量のピザの注文に応えるため、相当数のスタッフをピザの製造に割り当てています。
男の偽計がなければ、仕込みや清掃などの他の仕事を進めることができたと言えます。
また、男は大量のピザを受け取りに来なかったので、これらのピザを店舗は処理する必要が生じています。
男の偽計がなければ、定時までに終わらせていた締め作業を終わらせることができない可能性が生じています。
したがって、男は、ピザ屋の業務を妨害したと言えそうですから、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。
弁護士に相談して事件の早期解決を
偽計業務妨害罪は被害者が存在する犯罪です。
したがって、事件を早期に解決するためには、被害者と示談を成立させることが、重要となります。
本件では、男の注文によりピザ屋に損害が発生していますから、真摯な謝罪をした上で、被害額を含む示談金をお支払いして示談を成立させることができるかどうかが、男性の未来を左右することになるでしょう。
仮に被害届提出前に示談が成立すれば、警察沙汰にならずにすむかもしれません。
事件化した後に示談が成立した場合でも起訴前であれば、不起訴処分となるかもしれません。
不起訴処分となれば前科がつくこともありません。
もっとも、大量の注文にもかかわらず代金を支払ってもらえなかった被害者からすると、加害者に対して強い処罰感情を有しているのが自然ですから、示談交渉に応じてくれない可能性があります。
そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士にお任せすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、偽計業務妨害事件を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、事件化や起訴を防ぐことができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
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