【事例紹介】息子の知人を装い、高齢女性から現金をだまし取ったとされる事件

【事例紹介】息子の知人を装い、高齢女性から現金をだまし取ったとされる事件

特殊詐欺事件の新聞記事

息子の知人を装い、高齢女性から現金をだまし取ったとされる事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

高齢者から多額の現金をだまし取ったとして、京都府警組対2課と東山署は11月28日、詐欺の疑いで、(中略)再逮捕した。府警は約20人でつくる特殊詐欺グループの首謀者とみている。
再逮捕容疑は、氏名不詳者らと共謀し、昨年12月16日、三重県鈴鹿市の女性(79)宅に息子や医師を名乗り「カードをなくし、至急現金が必要」「息子さんが喉のがんになった」などとうその電話をかけて200万円を詐取。同様の手口で同17日、京都市上京区の女性(81)から140万円をだまし取った疑い。「一切関わっていない」と容疑を否認しているという。(後略)

(11月28日 京都新聞「 『息子ががん』と高齢女性にうその電話、現金だまし取る 詐欺容疑で暴力団員を再逮捕」より引用)

詐欺罪とは

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

「人を欺いて財物を交付させた」というのは、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が処分行為を行い、④その処分行為により財物が行為者に移転する、ということを意味します。

欺罔行為とは?

人をだます行為がすべて、詐欺罪となりうる欺罔行為となるわけではありません。
詐欺罪となりうる欺罔行為とは、財物の交付に向けて人を錯誤に陥らせることをいい、その内容は財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることであるとされています。
例えば、機械は錯誤に陥りませんから、他人のキャッシュカードを使ってATMからお金を引き出す行為は欺罔行為とならず、詐欺罪が成立することはありません。

本件報道によると、容疑者は氏名不詳者等と共謀し、被害者にうその電話をかけて金銭をだまし取ったとされています。
仮に被害者をだまして錯誤に陥らせることで金銭を交付させようとして、うその電話を掛けたのであれば、詐欺罪が規定する欺罔行為があったとし判断される可能性があります。

処分行為とは?

上述の通り、詐欺罪が成立するためには、欺罔行為により錯誤に陥った被害者が、錯誤に基づいて処分行為を行い、その処分行為により財物が加害者に移転する必要があります。
詐欺罪における処分行為とは、錯誤による瑕疵ある意思に基づいて財物を終局的に相手方に移転する行為のことをいいます。
例えば、試着した服を着て逃走する意図を有していた者に対して、店員がした試着の許可は、処分行為とはいえません。
店内で試着を許可するだけでは、店員の意思によって服を終局的に相手方に移転したとはいえないからです。

本件では詳細は不明ですが、金銭を被害者からだまし取ったとされています。
仮に、被害者宅にまでやってきた容疑者等に対し現金を手渡ししたのであれば、処分行為があったとして詐欺罪が成立する可能性があります。
一度金銭を加害者に渡した場合、簡単にその場から離れて持ち逃げすることができ、被害者が保持したり取り返すことは困難なため、金銭を終局的に加害者に移転したと評価される可能性があるためです。

なるべく早く弁護士に相談を

詐欺罪のように被害者のいる犯罪では、被害者との間で示談を成立させることが重要となります。
というとのは、早期に示談が成立していれば不起訴となる可能性がありますし、起訴後に示談が成立した場合でも、罪の減軽や執行猶予付判決が得られる可能性があるからです。

もっとも加害者が独力で示談交渉をすすめることは通常困難です。
詐欺罪の嫌疑がかけられた場合、本件のように逮捕されることが多く、逮捕された状態で示談交渉を進めることは非常に困難です。
逮捕されずに在宅で捜査が行われる場合でも、被害者は自分をだました相手に強い処罰感情を有している可能性が高いですから、直接接触しようとしても交渉のテーブルに着くこと自体拒絶されかねません。

そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士に一任することをおすすめします。
直接加害者とやり取りすることに抵抗を感じる被害者でも、弁護士が相手であれば、示談交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、詐欺事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分や罪の減軽、執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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