マスクの高額転売で刑事事件②
マスクの高額転売で刑事事件へ発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市南区に住んでいるAさんは、新型の感染症が流行していることでマスクの品切れが続いていることに乗じて、マスクを転売して儲けようと考えました。
そこでAさんは、ドラッグストアやスーパーマーケットでマスクを買い占めると、通常販売価格の10倍以上の値段をつけてフリマアプリやショッピングサイトに出品・売買し、いわゆる高額転売を行いました。
すると後日、京都府南警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんはマスクの高額転売をしたことで警察から話を聞かれることとなってしまいました。
Aさんは、マスクの高額転売で刑事事件に発展するとは思いもよらず、刑事事件に強い弁護士に相談することとしました。
(※この事例はフィクションです。)
・国民生活安定緊急措置法施行令
前回の記事で触れた通り、国民生活安定緊急措置法では、指定物資の供給が著しく不足し、相当期間その需要と供給のバランスを回復させることが難しい場合には、国民生活安定緊急措置法施行令によって指定物資の譲渡等について制限等を設けることができるうえ、それに違反した物については刑罰を科すことを定めることができるとされています。
今回は、マスクの高額転売の規制のために国民生活安定緊急措置法施行令が改正されたということになります。
改正された国民生活安定緊急措置法施行令では、衛生マスクが指定物資(=「生活関連物資等」)とされています。
国民生活安定緊急措置法施行令1条
国民生活安定緊急措置法(以下「法」という。)第26条第1項の政令で指定する生活関連物資等は、衛生マスクとする。
経済産業省のホームページによると、衛生マスクには、一般に売られている使い捨てマスクから産業用マスクや医療用マスクまで含まれているとのことです。
このマスクの転売について定めているのが、国民生活安定緊急措置法施行令の以下の条文です。
国民生活安定緊急措置法施行令2条
衛生マスクを不特定の相手方に対し売り渡す者から衛生マスクの購入をした者は、当該購入をした衛生マスクの譲渡(不特定又は多数の者に対し、当該衛生マスクの売買契約の締結の申込み又は誘引をして行うものであつて、当該衛生マスクの購入価格を超える価格によるものに限る。)をしてはならない。
国民生活安定緊急措置法施行令7条
1項 第2条の規定に違反した場合には、当該違反行為をした者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2項 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。
簡単にこのマスクの高額転売の規制を説明すると、
①スーパーやコンビニ、ドラッグストアやネットショップなど不特定の相手に販売している店や個人、業者からから購入したマスクを
②購入価格よりも高い値段で
③インターネットや店などを通じて不特定または多数の者に対して転売する
ことが規制されているということになります。
ですから、Aさんの行ったような高額転売行為はこの条文に違反することになるのです。
その時々の世情により、こうした聞きなれない法律や政令に違反する犯罪が出てくることもあります。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした目新しい犯罪についてのご相談ももちろん可能です。
刑事事件の手続き等、気になることは専門家である弁護士に聞いてみましょう。
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