急性アルコール中毒で過失傷害罪?

2019-10-09

急性アルコール中毒で過失傷害罪?

急性アルコール中毒過失傷害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

【事件】
Aさんは京都市北区で行われた同窓会で、久々に幼馴染であるVさんと再会しました。
久しぶりの同窓会の席で、AさんとVさんは昔話に花が咲き大いに盛り上がりました。
しばらく経ちアルコールが回ってきたAさんは、Vさんに対してもっとお酒を飲むよう勧めました。
お酒に強くないことを自覚していたVさんはやんわりと断りましたが、Aさんは飲むようさらに勧めました。
気の弱い性格だったVさんはAさんの勧めを断り切れず、促されるままお酒を飲み、45分間でビールをジョッキで2杯、ハイボールを3杯飲んでしまいました。
それから30分の後、Vさんは急性アルコール中毒で倒れ、病院に搬送され処置を受けました。
Vさんの命に別状はありませんでしたが、冷静になったAさんはVさんやその家族から何か被害届を出されるのではないか、京都府北警察署から何か言われるのではないかと心配です。
(フィクションです)

【急性アルコール中毒】

今年も残すところあと3か月を切りましたが、しばらくすれば忘年会など様々な飲み会が頻繁に開催される時期となるでしょう。
新年会や忘年会、成人式のシーズンで話題になるのが急性アルコール中毒です。
人はアルコールを摂取すると体内で徐々にアルコールが分解されていき、酩酊の度合いをだんだんと深めていきます。
酔いが回るうちに足元がふらついたり頭痛の症状が出たりするので、自分で飲酒の量を調節することができますが、短時間で一気に酔いが回ってしまった場合、そうもいかないことがあります。

急性アルコール中毒というのは、短時間で多量のアルコールを摂取することによって血中アルコール濃度が急激に上昇し、アルコールの作用によって脳の中枢神経が麻痺し、呼吸困難や心拍機能の停止を招き、最悪の場合死に至る中毒です。
この急性アルコール中毒の怖いところは、お酒に強い体質や弱い体質に関係なく、飲んだアルコールの量に比例して誰もがなりうることです。

今回、Vさんは死亡こそしませんでしたが、急性アルコール中毒となり病院に搬送され、処置を受ける結果となっています。
民事上はVさんから病院での費用等を請求されることが考えられますが、刑事上はどのようなことが考えられるでしょうか。

【過失傷害罪】

AさんはVさんにお酒を勧め、当初断っていたVさんにお酒を飲ませ急性アルコール中毒に陥らせました。
この事件で捜査が始まった場合、Aさんには後述する過失傷害罪や、お酒を飲ませる際に暴行・脅迫行為があった可能性があれば強要罪の容疑がかけられることも予想されます。
Vさんが急性アルコール中毒等身体機能に支障をきたす可能性を予想しつつもあえて飲酒をさえたのであれば、傷害罪となるおそれもあります。
今回はこのうち過失傷害罪に焦点を当ててみましょう。

過失傷害罪(刑法第209条第1項)は、過失によって人を傷害させた場合に成立します。

過失傷害罪の過失とは、傷害の結果を回避するために必要な注意を怠ったことを意味します。
今回の事件で考えますと、一般的に短時間で多量の飲酒を行えば急性アルコール中毒等により体調を崩すことが懸念されます。
そこでVさんに飲酒を勧めるにあたって、Vさんがそのような飲み方をしたために急性アルコール中毒等の健康不良状態に陥らせないよう注意を尽くす刑事上の義務がAさんには認められるところ、Aさんはこの注意をせずVさんに飲酒を勧め続けたために過失があったと認定されることが考えられます。

さらに、過失傷害罪にいう傷害とは、人の生理機能に障害を与えることを意味します。
今回の場合、AさんはVさんに飲酒させることによってVさんが急性アルコール中毒になっており、Vさんの生理的機能に障害が発生していますので、傷害の結果が認められる可能性は高いといえます。

過失傷害罪の法定刑は30万円以下の罰金又は科料となっています。
また、過失傷害罪は親告罪(刑法第209条第2項)となっており、告訴(刑事訴訟法第230条)がなければ公訴を提起することができないため、Vさんが告訴しない限りAさんが起訴されることはないです。
ただし、今回の場合で仮にVさんが死亡した場合、Aさんは過失致死罪(刑法第210条)に問われることになり、過失致死罪は親告罪ではないため、告訴がなくても起訴される可能性が出てきます。

過失傷害罪や過失致死罪の被疑者となってしまった場合、事実関係に関わらず早めに対処することが重要です。

【過失傷害事件の弁護活動の方針】

Aさんに依頼をされた弁護士はどのような活動をすることになるでしょうか。

告訴前や刑事事件化前であれば、Vさんに告訴の意思があるかどうか確かめ、場合によっては示談に向けた活動を始めることになります。
告訴された後であっても、起訴前に示談が成立すれば不起訴になる可能性がかなり高くなります。
その際Vさんへの謝罪は必要不可欠です。
反省の姿勢や今後どのようにしていくかなど、Vさんに対する真摯な対応を早めに行っていくことによって、Vさんの処罰感情を和らげることが考えられます。

アルコールのトラブルで人を急性アルコール中毒に陥らせてしまった方、京都市北区刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の無料法律相談、初回接見サービスをご利用ください。