京都で高校生同士の児童ポルノ製造事件
~事例~
京都府南丹市の高校に通っているA(17歳)は、SNSで知り合った京都市の別の高校に通っている女子生徒V(16歳)から、SNSで「最近彼氏が構ってくれなくて寂しい」と言われたので、下心から「じゃあ、寂しさを紛らわせるために、エッチな話をしようか」と持ち掛け、それにVも乗ってきたため、Aは「Vちゃんの裸の写真送って」とメッセージを送ったところ、Vから裸の写真が送られてきました。
その後、他愛のないことからVとケンカしたところ、Vから「以前裸の写真を送ったことを親に言ったら、親が京都府南丹警察署に行くと言っている」旨のメッセージが届きました。
不安になったAは、自分の親にこのことを相談し、Aの親は今後の見通しを聞くために、刑事事件・少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料法律相談を受けることにしました。
(フィクションです。)
~本件で当たり得る犯罪~
本事例でAが当たりえる犯罪としては、①児童ポルノ製造罪、②児童ポルノ単純所持罪、③強要罪が考えられます。
このうち①と②については、「児童売春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に規定されており、本事例では、送ってもらった裸の写真は一枚なので、①が成立する場合には②は成立しないことになります。
当然、②よりも①の方が重く処罰されます。
そして、本事例の「裸の写真」は、18歳未満の卑わいな写真であるため、「児童ポルノ」に該当することは間違いありません。
そこで、①児童ポルノ製造罪が成立するかが問題となります。
本事例では、実際に裸の写真を撮影して送信しているのはVであり、Aはあくまでもその写真を受信したにすぎないため、Aには児童ポルノ製造罪ではなく、児童ポルノを保存していることによる児童ポルノ単純所持罪が成立するにとどまるように思えます。
しかし、現実の捜査や裁判例では、18歳未満の者に対して卑わいな写真を撮影して送るように仕向けたことが児童ポルノ製造罪にあたると解されています。
したがって、本事例のAも、「Vちゃんの裸の写真送って」とVに裸の写真を撮影して送るようにお願いしていることから、児童ポルノ製造罪が成立する可能性があります。
では、A自身も18歳未満であることは何か関係があるでしょうか。
答えはノーです。
被疑者がたとえ18歳未満であったとしても児童ポルノ製造罪が成立することに変わりはありません。
もっとも、単にお願いに留まるような場合には、児童ポルノ製造罪に当たらないとされた例もあり、どのような事情があれば児童ポルノ製造罪が成立し、逆に単純所持罪しか成立しないのかは、専門家に相談して判断してもらうしかありません。
軽い気持ちで卑わいな写真を送り合ってしまうことは、現在のインターネット社会ではよくあることです。
もし、そのような写真を送ってもらって不安な方は、児童ポルノに関する事件についての経験が豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
~強要罪との関係~
強要罪とは、脅迫や暴行を用いて人に義務のないことを行わせたりした場合に成立する犯罪です(刑法223条参照)。
本事例のAは、「Vちゃんの裸の写真送って」とお願いしただけですので、その点を考慮すれば強要罪にあたる可能性は低いといえます。
しかし、仮に「前に送ってもらった裸の写真をばらまかれたくなかったら、また新しい裸の写真を送れ」と言って裸の写真をさらに送らせたとしたらどうでしょうか。
この場合は、裸の写真をばらまくことはVの名誉を害することになるので、脅迫して義務のない裸の写真を送るという行為をさせたことになり、Aには強要罪が成立することになります。
また、このように児童ポルノを送らせる行為に強要罪が成立する場合、さらに児童ポルノ製造罪も成立する可能性が非常に高くなります。
~少年事件手続~
本事例のAは未成年なので、仮に警察が捜査を始めたとしても、最終的な処分として刑事罰を受ける可能性はかなり低いでしょう。
しかし、強要罪や児童ポルノ製造罪が成立する場合には、逮捕されたり、少年鑑別所に収容されて調査を受けたり(観護措置と言います)する可能性が高くなります。
そこで、そのような身体拘束を避ける若しくは早期に身体拘束を解くために、早めに弁護士に相談して、今後の予想される手続きに向けたアドバイスを受けるべきです。
特に少年事件手続は通常の刑事事件手続に比べて特殊な部分が多くあるため、経験を積んでいる弁護士に相談すべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に精通した弁護士が、丁寧に少年事件手続について説明します。
ぜひ一度ご相談ください。
(京都府南丹警察署までの初回接見費用:4万1,100円)