キャバクラで未成年者を働かせたら犯罪?

キャバクラで未成年者を働かせたら犯罪?

キャバクラ未成年者を働かせたら犯罪に当たるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市左京区キャバクラXを経営しているAさんは、SNSを通じて中学2年生のVさん(14歳)と知り合いました。
Vさんが「お金を稼ぎたい」と言っていたことから、Aさんは、「中学生とばれないようにメイクしてくれればいいよ」と話し、キャバクラXでVさんをキャストとして採用し、いわゆるキャバ嬢として接客対応をさせていました。
AさんがVさんをキャバクラで働かせ始めてからしばらくして、京都府下鴨警察署がAさんの店を訪れ、Aさんは児童福祉法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和4年3月15日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・15歳未満の未成年者とキャバクラ

今回の事例のAさんは、自分の経営しているキャバクラで、14歳の未成年者であるVさんをキャストとして働かせ、接客をさせていたようです。
こうした場合にまず問題となるのが、今回のAさんの逮捕容疑にもなっている、児童福祉法違反という犯罪でしょう。

児童福祉法とは、児童の適切な養育や生活の保障、成長や発達、福祉の保障のために、関連施設についての定めや措置などを決めている法律です。
その児童福祉法には、以下のような条文があります。

児童福祉法第34条第1項
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
第5号 満15歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為

この条文の「酒席に侍する」とは、いわゆるキャバ嬢やホステスのように、飲酒の席で客相手にその応接に努める行為を指すと考えられています。
児童福祉法第34条第1項第1号~第5号では、児童に有害な影響を与えると考えられる行為を禁止しており、その趣旨からすると、15歳未満の者を酒の席にとどまらせるということ自体が児童に悪影響を与えると考えられ、後述する風営法の「接待」までの限定は求めないと考えられています。

今回の事例のAさんの場合、キャバクラで働かせていたVさんは14歳=15歳未満です。
そのVさんにキャバ嬢として接客対応をさせていたのですから、「酒席に侍する」行為を業務としてさせていたことになります。
こうしたことから、Aさんは児童福祉法違反の容疑をかけられたのでしょう。

・15歳以上の未成年者とキャバクラ

では、15歳以上の未成年者についてはキャバクラで働かせてよいのかという問題が出てくるかもしれません。
この場合、風営法(正式名称「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」)という法律が問題となります。

この風営法では、名前の通り、風俗営業等に係る規制や業務の適正化のための措置などが定められています。
例えば、キャバクラはこの風営法上の「風俗営業」に当たります。

風営法第2条第1項
この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
第1号 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業

風営法の「風俗営業」にあたるということは、キャバクラはが営業するにあたっては、風営法の規制を受け、その中で営業をしなければ、風営法違という犯罪になってしまいます。
ここで、その風営法の中に、18歳未満=未成年者に関する規定があります。

風営法第22条第1項
風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
第3号 営業所で、18歳未満の者に客の接待をさせること。
第4号 営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること。

風営法第22条第1項第3号は、未成年者に「客の接待をさせること」自体を禁止しています。
風営法にいう「客の接待をさせること」とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と解されています。
キャバクラでいわゆるキャバ嬢が客の席に着き、客をもてなし談笑するといった行為はこの「接待」にあたると考えられます。
つまり、18歳未満の未成年者がいわゆるキャバ嬢のような形でキャバクラで接客すること自体が、風営法で禁止されているのです。

また、いわゆるキャバ嬢のような形で「接待」しない形であっても、風営法第22条第1項第4号のように、午後10時から翌日午前6時の間については、「客に接する業務」をすることが禁止されていることにも注意が必要です。
「客に接する業務」とは、客に接し、客にサービスを提供するなどの業務を指しており、例えば、先ほど挙げた「接客」の他、客を席に案内することや、客席に飲食物を運搬すること、客の手荷物を預かることや客から飲食代金等を徴収することも含まれます。
いわゆる接客サービス全般が含まれると考えてよいでしょう。
ですから、「キャバ嬢の立場でなければ大丈夫」「キャストで無ければ大丈夫」ということではないということです。

これらの条文から分かる通り、未成年者キャバクラで働かせるというケースでは、先ほど掲載した15歳未満の者をキャバクラでキャストとして働かせた場合の児童福祉法違反だけでなく、この風営法違反についても成立する可能性があるということなのです。

・児童福祉法違反・風営法違反は弁護士に相談

自分のした行為が児童福祉法違反風営法違反に当たるのかどうか、どういった部分がどの条文に当たるのか、違反しているのであれば手続はどのように進んでいくのかといったことは、当事者だけで分かりづらいものでしょう。
特に、手続がどのように進んでいくのか、自分にどういった処分が下され得るのかといったことは、多くの被疑者・被告人とその家族の方にとって気がかりなことだと思われます。
だからこそ、早めに弁護士に相談することで、その不安解消につながることが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を数多く取り扱う弁護士が逮捕・勾留された被疑者・被告人の方、在宅捜査を受けている被疑者の方など、様々な状況に応じてサポートを行います。
京都刑事事件にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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