高校生と出かけて青少年健全育成条例違反に

高校生と出かけて青少年健全育成条例違反に

高校生と出かけて青少年健全育成条例違反に問われてしまったというケースで、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市上京区に住んでいる30歳の男性会社員Aさんは、SNSを通じて、Aさん自身と同じく京都市上京区に住んでいるという高校生Vさん(17歳)と知り合いました。
AさんとVさんはやり取りを経て親しくなり、実際に会って食事をしようという話になりました。
そこで、AさんとVさんは、お互いの仕事やアルバイトが終わる夜に会おうと約束し、22時頃に京都市上京区内で落ち合うと、24時前近くまで食事をしました。
AさんとVさんが帰宅しようと2人で歩いていたところ、巡回中の京都府上京警察署の警察官に声をかけられました。
そして、Aさんは「未成年を連れまわした」という青少年健全育成条例違反の容疑で話を聞かれることになりました。
その日は逮捕などされずに帰宅を許されたAさんですが、後日取調べに呼び出すと伝えられています。
不安になったAさんは、京都府刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・青少年健全育成条例と未成年者の連れまわし

今回の事例のAさんは、青少年健全育成条例という条例に違反した容疑をかけられているようです。
青少年健全育成条例とは、各都道府県ごとに定められている条例の1つで、名前の通り、青少年=18歳未満の者の健全な育成を図り、それを阻害するおそれのある行為から青少年を保護するための条例です。
京都府でも、「青少年の健全な育成に関する条例」という条例が定められています。
多くの自治体でこういった条例の名前となっているため、一般に「青少年健全育成条例」や「青少年保護育成条例」などと呼ばれているのです。

この青少年健全育成条例が対象としている「青少年」とは、「18歳未満の者(婚姻により成年に達したとみなされる者を除く。)」とされています(京都府青少年健全育成条例第12条第1号)。
今回の事例では、Vさんが17歳の高校生ということですから、青少年健全育成条例の対象となる「青少年」であることが分かります。

青少年健全育成条例違反事件としてよく報道される事件は、青少年とみだらな行為をしたことによる、いわゆる「淫行事件」です。
京都府青少年健全育成条例にも青少年との淫行を禁止する規定があります。

京都府青少年健全育成条例第21条
何人も、青少年に対し、金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し、若しくはそれらの供与を約束することにより、又は精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて、淫行又はわいせつ行為をしてはならない。

青少年健全育成条例違反というと、この「淫行」のイメージが強いかもしれません。
しかし、今回の事例のAさんは、Vさんと性行為をしたわけでもなく、単に食事をしただけのようです。
高校生と出かけただけとも言えますが、こうした場合でも青少年健全育成条例違反に問われることはあるのでしょうか。

実は、京都府青少年健全育成条例では、以下のようにして青少年の深夜の連れ回しを禁止しています。

京都府青少年健全育成条例第18条の2
第1項 保護者は、通勤、通学その他の特別な理由がある場合を除き、深夜に青少年を外出させないよう努めなければならない。
第2項 何人も、保護者の委託を受け、若しくは同意を得た場合又は深夜における勤務、緊急を要する特別な事情その他の正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を、その居所から連れ出し、その居所以外の場所において同伴し、又はその居所以外の場所にとどめてはならない。
第3項 深夜に営業を営む者は、深夜に当該営業に係る施設内又は敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すよう自主的に努めなければならない。

京都府青少年健全育成条例第18条の2第2項にあるように、京都府では、保護者から頼まれたり同意を得たりした場合や、深夜の勤務・緊急性のある場合等を除き、深夜に18歳未満の青少年を住んでいる家から連れ出したり、それ以外の場所にとどめたりしてはいけないとされています。
「深夜」というあいまいな言葉になっているようですが、京都府青少年健全育成条例では「深夜」という言葉の定義については以下のように定義しています。

京都府青少年健全育成条例第12条
この章以下において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
第8号 深夜 午後11時から翌日の午前4時までの時間をいう。

このことからすると、京都府では、夜11時から翌日朝4時までは、青少年の親の同意や依頼なしに青少年を外出させてそれに同伴することを、青少年健全育成条例によって禁止されているということになります。
今回の事例のAさんらの行動を振り返ると、Aさんは24時近く=午前12時近くまでVさんと出かけているため、「深夜」とされる午後11時以降に親の同意・依頼なしに18歳未満の青少年であるVさんを、その居住地から連れ出して同伴していたということになります。
こうしたことから、Aさんには、青少年を深夜に連れまわしたという青少年健全育成条例違反が成立すると考えられます。

青少年を深夜に連れまわしたとして青少年健全育成条例違反となった場合には、以下の刑罰を科せられる可能性があります。

京都府青少年健全育成条例第31条第5項
次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
第7号 第18条の2第2項の規定に違反した者

青少年の深夜の連れ回しの青少年健全育成条例違反の場合、罰金のみの規定となっていることから、比較的軽い犯罪であるといえるでしょう。
しかし、刑務所に行くことがなくとも罰金刑を受ければ前科が付くことにもなりますし、深夜連れ回しだけでなく淫行などほかの犯罪の容疑をかけられてしまう可能性もあります。
刑事事件化してしまったら、まずは弁護士に相談し、見通しや対応の仕方を十分に聞いてから対応に臨むことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料法律相談のご予約を24時間いつでも受け付けています。
お問い合わせは0120-631-881で受け付けておりますので、未成年と出かけたことによって青少年健全育成条例違反事件となってしまったとお困りの際は、まずはお気軽にご相談ください。

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