高校の更衣室での盗撮事件は何罪に?

2022-02-07

高校の更衣室での盗撮事件は何罪に?

高校更衣室での盗撮事件は何罪に当たるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府城陽市にある高校に勤務する教師です。
Aさんは、度々インターネットで未成年の女子のヌード画像などを購入していましたが、そのうちに、「自分でも撮影してみたい」と考えるようになり、ついに勤務先の高校の更衣室にカメラを設置し、女子生徒の更衣室盗撮するようになりました。
しかし、ある日、京都府城陽警察署が児童ポルノ販売事件を捜査していたところ、購入者としてAさんが浮上。
Aさんのスマートフォンが捜査される中で、高校更衣室での盗撮行為も発覚しました。
Aさんは、盗撮事件についても捜査されることになり、今後のことについて弁護士に相談したいと考えています。
(※令和4年1月18日朝日新聞デジタル配信記事を基にしたフィクションです。)

・高校の更衣室での盗撮

今回のAさんの事例では、児童ポルノを購入したことから捜査され、その捜査の延長で盗撮事件が発覚したという経緯のようです。
多くの盗撮事件では、盗撮事件の起こった都道府県で定められている迷惑防止条例に違反する、迷惑防止条例違反という犯罪が成立します。
この迷惑防止条例という条例で注意しなければいけないことは、条例が都道府県ごとに定められている=内容が都道府県によって異なるため、盗撮行為は共通していたとしても、盗撮が行われた都道府県によって迷惑防止条例違反になるのかならないのかということが異なるということです。

今回の事例のAさんの盗撮事件を例にとって考えてみましょう。
盗撮事件が起こったのは京都府ですから、まずは京都府の迷惑防止条例(正式名称:「京都府迷惑行為等防止条例」)に当てはまるかどうかを確認します。

京都府迷惑防止条例第3条第3項
何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。
注:「第1項に規定する方法」とは、京都府迷惑防止条例第3条第1項にある「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指します。

京都府の迷惑防止条例第3条第3項では、「客室、更衣室、便所、浴場」などで行われるいわゆる盗撮行為をすることを禁止していますから、今回の事例のAさんのような、更衣室での盗撮行為はまさに京都府迷惑防止条例に違反するということになります。

このように、京都府では「客室、更衣室、便所、浴場」といった場所を挙げて盗撮行為を禁止していますが、都道府県によってはこれらの場所を含まない「公共の場所」「公共の乗物」などに限定して盗撮行為を禁止しているということもあります。
そういった場合には、その都道府県の迷惑防止条例違反ではなく、別の犯罪(軽犯罪法違反や建造物侵入罪・住居侵入罪など)が適用される場合もあります。

今回のAさんの事例でさらに注意が必要なのは、盗撮が起こった現場が高校の更衣室であるため、盗撮の対象となった人に、18歳未満の未成年者が含まれている可能性があり、Aさんもそれを認識していただろうという点です。
18歳未満の者を盗撮した場合、その盗撮した画像やデータが児童ポルノとなる可能性があり、そうなると、盗撮によって児童ポルノを作り出した=児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反という犯罪になる可能性があるのです。
児童ポルノ禁止法は、今回の事例のAさんが捜査されるきっかけとなった、児童ポルノの売買や所持も禁止している法律です。

児童ポルノ禁止法には、以下のような条文があります。

児童ポルノ禁止法第7条第5項
前二項に規定するもののほか、ひそかに第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。
※注:「第2項と同様とする。」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に定められている刑罰の「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」と同様の刑罰に処するということです。

児童ポルノ禁止法のいう「児童」とは18歳未満の者のことであり(児童ポルノ禁止法第2条第1項)、「児童ポルノ」とは大まかにいえばそうした児童の性的な画像やデータなどを指します(児童ポルノ禁止法第2条第3項)。
掲載した児童ポルノ禁止法第7条第5条では、「ひそかに」撮影などをすることでこうした児童ポルノを製造したという場合について定めています。
今回のAさんの事例のようないわゆる盗撮行為は、「ひそかに」撮影することと言えるでしょうし、盗撮現場も更衣室という人が下着姿になったり裸になったりという場所ですから、その盗撮対象が18歳未満の「児童」でありそれを認識しながら盗撮していたのであれば、盗撮によって児童ポルノを製造したことによる児童ポルノ禁止法違反となる可能性が出てくるのです。

今回の事例のAさんの場合、その他に盗撮用のカメラを設置するという目的で更衣室に立ち入ったことによる建造物侵入罪(刑法第130条)が成立する可能性もあります。
このように、盗撮事件では、盗撮が行われた場所によっても成立する犯罪が異なってくる可能性がありますし、盗撮された被害者の年齢によっても成立する犯罪が異なってくる可能性があります。
盗撮事件という身近な刑事事件であるものの、どういった犯罪が成立するのか、見通しがどのようになるのかといったことを検討するには、専門的な知識や経験が必要となります。
だからこそ、当事者となってしまったら、まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、高校更衣室での盗撮事件など、性犯罪についてのご相談・ご依頼を受け付けています。
お問い合わせは0120-631-881で受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。