情報漏洩の地方公務員法違反で逮捕①

2019-09-25

情報漏洩の地方公務員法違反で逮捕①

京都府木津川市を管轄する京都府木津警察署に勤務する警察官のAさんは、ある日、10年以上前から付き合いのある知人のBさんからの連絡を受けました。
実はBさんは、京都府木津川市で起こった恐喝事件の被疑者として京都府木津川警察署に捜査されており、Aさんもそのことを知っていました。
BさんはAさんに対し、「今の俺の捜査状況を教えてくれよ。10年来の仲だろう」などと言って自分の捜査の状況を教えるよう求め、Aさんはそれに応じ、Bさんの恐喝事件の捜査状況や、Bさんの逮捕予定日を連絡しました。
しかし、それが露見し、Aさんは地方公務員法違反(秘密漏示)、Bさんは地方公務員法違反(そそのかし)の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、取調べの中で、Bさんから金銭を受け取っていたのではないかと疑われていますが、そういった事実はないと否認しており、家族の依頼で接見に来た弁護士にもその内容を相談しました。
(※令和元年9月24日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・地方公務員法違反(秘密漏示)

今回のAさん・Bさんは、どちらも地方公務員法違反という犯罪の容疑で逮捕されていますが、今回の記事ではまずAさんの逮捕容疑である、秘密漏示による地方公務員法違反について取り上げます。

そもそも、地方公務員法とは、地方公務員の守るべき規律等について定めた法律であり、地方公務員はみんなこの法律を守らなければいけません。
今回のAさんの逮捕容疑にある「秘密漏示」とは、公務員が守るべき秘密を漏らしてしまったという犯罪です。

地方公務員法34条1項
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
その職を退いた後も、また、同様とする。

この義務はいわゆる守秘義務というもので、地方公務員の仕事上知り得た秘密を他に漏らしてはいけないというものです。
この「秘密」がどういったものかというと、地方公務員法と同様、国家公務員の規律を定めた国家公務員法の「秘密」について、国家機関が単にある事項につき形式的に秘密扱いをしただけでは足りず、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値するものをいう(最決昭和52.12.19)とされている判例があります。
地方公務員法にいう「秘密」についても、この国家公務員法の「秘密」と同義であると考えられるため、地方公共団体が形式的に秘密であるとしているだけではなく、公にされていない、実質的に秘密として取り扱う必要のある事実が「秘密」であるとされるでしょう。

そして、「漏ら」すとは、秘密を知らない他人にその秘密を知らせることを指します。
その方法や人数は指定されていないことから、書面での通知や電話口で口頭で伝えるといった方法のいずれでも、秘密を知らない他人に知らせれば「漏ら」したことになります。

今回のAさんについて考えてみましょう。
Aさんは京都府警の警察官であり、地方公務員です。
そして、警察の捜査情報や逮捕予定日といったものは当然公にされるものではなく、警察の中でも秘密扱いされているものでしょう。
さらに、そうしたものが警察外に知られれば、捜査に支障をきたす可能性が出てくるため、秘密として保護されるべき事実でしょう。
こうしたことからBさんの捜査情報は地方公務員法の「秘密」であるということができ、それをBさんに知らせたAさんは秘密漏示行為による地方公務員法違反をしてしまったと考えられます。

こうした秘密漏示行為による地方公務員法違反は、以下の法定刑が定められています。

地方公務員法60条
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2号 第34条第1項又は第2項の規定(第9条の2第12項において準用する場合を含む。)に違反して秘密を漏らした者

次回の記事では、Bさんがどういった犯罪に問われうるのかについて触れていきます。
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