【事例紹介】警部補が知り合いを転倒させてけがを負わせ、服の一部を壊した事例
京都府南丹署の警部補が知人にけがを負わせ、服の一部を壊したとして、傷害罪、器物損壊罪の容疑で書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
知人に軽傷を負わせたなどとして、京都府警は(中略)、傷害と器物損壊の疑いで、南丹署の30代の男性警部補を書類送検した。(中略)
(2月15日 京都新聞 「知人にけがを負わせた男性警部補 傷害と器物損壊容疑で書類送検 京都府警」より引用)
書類送検容疑は、昨年10月、勤務後に飲酒して帰宅途中だった午後11時ごろ、南丹市内の路上で中傷を受けた知り合いの男性に対し、体を押して転倒させて右膝に軽傷を負わせ、服の一部を壊した疑い。(後略)
傷害罪
刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
傷害罪は簡単に説明すると、暴行などを加えて人にけがなどを負わせた際に成立する犯罪です。
今回の事例では、容疑者は知人の体を押して転倒させ、右膝に軽傷を負わせたとされています。
体を押す行為は暴行にあたりますし、体を押されたことで被害者である知人は転倒し、右膝をけがしたようです。
ですので、実際に容疑者が知人を転倒させ、けがを負わせたのであれば、傷害罪が成立する可能性が高いといえます。
器物損壊罪
刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪は、簡単に説明すると、公用文書や私用文書、建造物以外の物を壊したり、使えなくした場合に成立する犯罪です。
今回の事例では、容疑者が知人の服の一部を壊したとされています。
服がどのように壊れたのかは報道からでは明らかではありませんが、おそらく転倒した際に破れたりしたのでしょう。
服は公用文書や私用文書、建造物にはあたりませんし、破れた服を着ることはできないでしょうから、実際に容疑者が知人の服の一部を壊したのであれば、器物損壊罪が成立する可能性があります。
書類送検
ニュースを見ていると、書類送検という言葉を目にすることがあると思います。
書類送検とはいったいなんなのでしょうか。
書類送検とは、事件が検察庁に送られることを指します。
検察官は警察署から送られてきた事件記録などを基に、起訴、不起訴の判断を行います。
書類送検後も必要であれば、取調べなどを追加で行いますから、書類送検されたからといって事件の捜査が終わるわけではありません。
また、書類送検後に起訴、不起訴の判断をするわけですから、略式起訴ではない限り起訴の判断がなされた場合には裁判が開かれることになるでしょうし、有罪になれば懲役刑などを科される可能性もあります。
時々、「これだけの事件を起こしといて書類送検で済むのか」などの意見を目にすることがあるのですが、書類送検は処分ではないため、書類送検された場合でも実刑判決が下されて刑務所に行かなければならなくなってしまう場合もあります。
示談と不起訴処分
器物損壊罪は親告罪(刑法第264条)ですので、告訴を取り下げてもらうことができれば、器物損壊罪で刑罰を科されることはありません。
被害者に対して、謝罪と賠償をしっかりと行い示談を締結することで、告訴を取り下げてもらえる場合があります。
ですが、知人との間で起こした事件の場合は、知人と言えど被害者は加害者から連絡をもらいたくない、むしろ関係を断ちたいと思っている可能性もあり、加害者自らが被害者に連絡を取ることはあまり得策ではありません。
むしろ、今までの関係性があることから、事件後に連絡を取ることで余計にトラブルに発展してしまう可能性もあります。
弁護士が間に入ることで、双方が落ち着いて話をすることができる可能性もありますから、謝罪や賠償の申し入れや示談の提案を行う際には、弁護士に相談をすることをお勧めします。
また、傷害罪は親告罪ではありませんが、被害者と示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる場合があります。
仮に、不起訴処分を獲得できなくとも、被害者と示談を締結していることが、執行猶予付き判決の獲得や罪の減刑など有利に働く可能性が高いといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
傷害罪や器物損壊罪に詳しい弁護士に相談をすることで、不起訴処分などのより良い結果を得られるかもしれません。
傷害罪、器物損壊罪で捜査を受けている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。