事実を隠して契約の勧誘を行い、クーリングオフの書面を交付しなかったとして逮捕された事件を基に、特定商取引法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
オウム真理教の後継団体「アレフ」に勧誘する目的を隠し、客にヨガの受講契約を結ばせたとして、京都府警公安課と南署などは5日、特定商取引法違反(事実の不告知など)の疑いで、京都市南区の学校職員の女(47)を逮捕した。
(12月5日 京都新聞 「「地下鉄サリン事件は陰謀」アレフ信者の学校職員、勧誘目的隠して契約疑い逮捕」より引用)
逮捕容疑は、2020年2月18日、京都市南区の飲食店で、自身が営むヨガ教室が実際はアレフに勧誘する内容だったのに、男性(22)に事実を告げずに受講契約を結ばせ、クーリングオフなどに関する書類を渡さなかった疑い。「よく分かりません」と容疑を否認しているという。
(後略)
特定商取引法
特定商取引法第6条2項では、訪問販売の際に、商品や提供するサービスの内容などについて事実を隠して契約の勧誘を行うことを禁止しています。
今回の事例では、容疑者は飲食店でヨガ教室が宗教勧誘を行っていることを隠して、被害者男性に契約を結ばせたと報道されています。
報道が事実であれば、容疑者はヨガ教室で提供しているサービスの内容について、宗教勧誘を行っているという事実を隠して、契約の勧誘を行っていることになりますので、特定商取引法に違反しているといえます。
ですので、実際に容疑者が事実を隠して勧誘を行っていた場合には、有罪になってしまうと、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が科されることになります。(特定商取引法第70条1号)
加えて、報道によると、容疑者はクーリングオフなどに関する書面を被害者に渡していないとされています。
特定商取引法では、訪問販売時に役務(サービス)提供契約の申し込みを受けた際には契約の解除事項に関する書面を交付しなければならないと規定しています。(特定商取引法第4条5号)
ですので、容疑者が報道されているように、クーリングオフに関する書面を被害者に渡していなかったのであれば、容疑者は特定商取引法違反に問われることになります。
報道内容が事実であり、容疑者が特定商取引法違反で有罪になれば、6月以下の懲役または100万円以下の罰金もしくはその両方が科されます。(特定商取引法第71条1号)
今回の事例のように逮捕されてしまった場合は、逮捕後72時間の間に勾留の判断が行われます。
ですので、逮捕されてしまった場合には、勾留の判断が出されるまでの72時間がとても重要になります。
この72時間を過ぎてしまうと、勾留判断前に検察官や裁判官に働きかけることができなくなってしまいます。
釈放を求める機会を逃さないためには、早期に弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弊所では無料法律相談や初回接見サービスを行っています。
ご家族が逮捕された方、特定商取引法違反でお困りの方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。