[事例紹介] SNSを通じた未成年者誘拐事件の逮捕①

京都府京田辺市で起きた未成年者誘拐事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警田辺署は23日、未成年者誘拐の疑いで、大阪市東淀川区の運送業の男(27)を逮捕した。

逮捕容疑は1日午後10時14分ごろ、交流サイト(SNS)を通じて知り合った京田辺市の女子中学生(12)を自分の車に乗せて自宅に連れて行き、2日午後5時30分ごろまで居させた疑い。

田辺署によると、中学生が帰宅しないため、母親が同署に相談した。スマートフォンの位置情報などを基に容疑者宅付近を捜索していた捜査員が、1人で抜け出した中学生を保護した。中学生にけがはなかった。男は容疑を認めているという。

(6月23日 京都新聞  「SNSで知り合った12歳女子中学生を自宅に連れ込む 容疑の27歳男逮捕」より引用)

今回のブログでは未成年者拐取罪について解説します。

未成年者拐取罪

未成年者拐取罪は刑法で「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」(刑法224条)と定められています。

略取とは、簡単に言えば脅迫、暴行を手段として相手を連れ去る行為です。
対して、誘拐とは、相手を欺いたり、誘惑したりすることで相手を連れ去る行為を指します。
これらをまとめて「拐取」と呼び、未成年者を略取した場合には未成年者略取罪が、未成年者を誘拐した場合には未成年者誘拐罪が成立することになります。

未成年者誘拐罪

今回取り上げた事例では、逮捕された男性は未成年者誘拐罪の容疑をかけられていますので、ここからは未成年者拐取罪のうち、未成年者誘拐罪を詳しくみていきましょう。

未成年者誘拐罪は、その名の通り未成年を対象としています。
今回取り上げた事例では、逮捕された男性は未成年である中学生を家に連れ込んでおり、その手段として相手を騙したり誘惑したりする手段が取られたと考えられたために、未成年者誘拐罪の容疑となったのでしょう。
なお、未成年誘拐罪が成立には、相手が未成年だと知っている必要があり、未成年者を成人だと誤解していた場合には、未成年者誘拐罪は適用されないことになり、犯罪にはなりません。(一部例外があり、次回の記事で解説します。)

また、未成年者自身が連れ込まれることを許可していても、その未成年者と生活を共にしている者(監護者)がそれを許可しない場合には、未成年者誘拐罪が適用されます。

今回の事例に当てはめて考えてみると、女子中学生が男性の自宅へ行って滞在することに同意していたとしても、女子中学生の監護者(例えば両親)がその滞在を許可していなかった場合、男性は未成年者誘拐罪に問われることになります。
逆に、監護者が女子中学生の男性宅への滞在を許可し、女子中学生自身が許可をしなかった場合にも同様に、未成年者誘拐罪が適用されます。
これは、未成年者誘拐罪が保護している権利として、女子中学生自身の権利だけでなく、その監護者が女子中学生を監護する権利(監護権)も含まれていることによります。
ですから、未成年者が相手の場合、相手の同意をもらったから相手の生活環境から連れ出してよいというわけではなく、相手の監護者からも許可をもらわなければ、いくら未成年者自身の同意があったとしても未成年者誘拐罪の成立のおそれがあるのです。

昨今、SNSが発達したことにより、未成年者とSNSで関係をもち、そこから未成年者誘拐事件に発展するケースがまま起きています。
こうしたケースでは、相手の監護者(両親など)への謝罪対応などが求められますが、当事者同士で謝罪の場を設けることはなかなか難しいと考えられます。
取調べなど刑事手続きへの対応も含めて、弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービスなど、逮捕された方向けのサービスもご用意しております。
未成年者誘拐罪逮捕されてしまってお困りの場合には0120ー631ー881までご問い合わせください。

次回の記事では、営利・わいせつ・結婚・加害目的拐取罪について解説していきます。

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