[事例紹介] SNSを通じた未成年者誘拐事件の逮捕②

京都府京田辺市で起きた誘拐事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警田辺署は23日、未成年者誘拐の疑いで、大阪市東淀川区の運送業の男(27)を逮捕した。

逮捕容疑は1日午後10時14分ごろ、交流サイト(SNS)を通じて知り合った京田辺市の女子中学生(12)を自分の車に乗せて自宅に連れて行き、2日午後5時30分ごろまで居させた疑い。

田辺署によると、中学生が帰宅しないため、母親が同署に相談した。スマートフォンの位置情報などを基に容疑者宅付近を捜索していた捜査員が、1人で抜け出した中学生を保護した。中学生にけがはなかった。男は容疑を認めているという。

(6月23日 京都新聞  「SNSで知り合った12歳女子中学生を自宅に連れ込む 容疑の27歳男逮捕」より引用)

今回の記事では営利・わいせつ・結婚・加害目的拐取罪について解説していきます。

目的を伴った誘拐・略取

前回は、未成年者誘拐罪について取り上げましたが、誘拐罪には他にも誘拐罪の種類が存在します。
刑法225条では、営利・わいせつ・結婚・加害目的拐取罪について定めています。

営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。(刑法225条)

ここでいう「営利…の目的」とは、財産上の利益を得ることや、第三者に得をさせるために誘拐・略取をすることを言います。
一時的に利益を得る目的であっても、営利目的は適用されます。
また、「営利目的」が対象としているのは、売春など誘拐・略取された者を犠牲にして直接的に利益を得る行為ですので、例えば身の代金を得ることで利益を得ようとしている場合は、営利目的拐取罪ではなく、身の代金目的拐取罪(刑法225条の2)になります。

一方、「わいせつ…の目的」とは、その名の通りわいせつ行為など性的な目的を持って誘拐・略取する行為を指します。

そして、「結婚…の目的」とは、結婚する目的で誘拐・略取する行為であり、第三者と結婚させる場合にも結婚目的となります。
また、婚姻届の提出を伴った法的な結婚だけでなく事実婚も結婚目的による誘拐・略取となります。

さらに、「加害…の目的」とは、誘拐・略取した者に殺害・傷害・暴行を行う目的を指します。

こうした営利・わいせつ・結婚・加害を目的として誘拐・略取した場合には、上記の刑法225条が適用されることになります。
加えて、相手が未成年であった場合には、前回の記事で取り上げた未成年者拐取罪に加重される形で適用されます。

今回の事例で、男性が上記の目的を持って中学生を自宅に連れ込んでいた場合には、刑法224条に未成年者拐取罪に刑法225条の営利・わいせつ・結婚・加害目的拐取罪が加重されます。

また、前回の記事で未成年者拐取罪を取り上げた際、未成年者が成人だと誤解した場合には未成年者拐取罪が適用されず犯罪にならないと説明しましたが、これには一部例外があります。
営利・わいせつ・結婚・加害の目的を持って、誘拐・略取をした場合には刑法225条が適用され、犯罪となります。(未成年者拐取罪は適用されませんが、営利・わいせつ・結婚・加害目的拐取罪が成立するということです。)

誘拐事件と一口に言っても、被害者の年齢がいくつなのか、誘拐の目的がどういったものなのかといったことにより、成立する犯罪が異なります。
事件の見通しを正確に把握するためにも、まずは弁護士に詳しい意見を求めてみることをおすすめします。

営利・わいせつ・結婚・加害目的拐取罪で罪に問われた場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
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