京都市中京区で起きた強制わいせつ致傷事件を基に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が強制わいせつ罪、強制わいせつ致傷罪について説明します。
事例
京都府警中京署は26日、強制わいせつ致傷の疑いで、京都市伏見区、会社員の男(37)を逮捕した。
(10月26日 京都新聞 「カラオケ店で女性に抱きつき、胸触った疑い 強制わいせつ致傷容疑で37歳男を逮捕」より引用)
逮捕容疑は、(中略)抱きついたり胸を触ったりするなどのわいせつな行為をし、在宅療養1カ月の急性ストレス障害を負わせた疑い。
容疑者は「何も言いたくありません」と話しているという。
(後略)
強制わいせつ罪
刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪は、暴行や脅迫により抵抗することを困難にさせた状態でわいせつ行為を行った際に適用されます。
今回の報道からは、容疑者が暴行や脅迫を行っていたかどうかを判断することができませんが、容疑者が被害者に暴行や脅迫を行い、被害者が抵抗できない状態でわいせつ行為を行っていたのであれば、強制わいせつ罪が適用されることになります。
強制わいせつ致傷罪
強制わいせつ致傷罪を大まかに説明すると、強制わいせつ罪を犯した際に、人に傷害を与えた場合に成立する犯罪が強制わいせつ致傷罪です。
今回の報道によると、容疑者は強制わいせつ致傷罪の容疑で逮捕されていますが、逮捕容疑が強制わいせつ罪ではなく強制わいせつ致傷罪であることに疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか。
傷害といえば、身体にけがを負った場合を思い浮かべると思います。
しかし、実際は「傷害」とはけがを負った場合だけでなく、精神を傷つけられ精神病などを患った場合も「傷害」にあたります。
ですので、急性ストレス障害を負わせた場合も「傷害」にあたることになります。
報道内容によると、容疑者は被害者にわいせつ行為を行い、そのわいせつ行為によって被害者の精神を傷つけ急性ストレス障害を負わせたということを疑われているようです。
容疑者が強制わいせつ罪に当たる行為をしており、それによって被害者が急性ストレス障害を患ったのであれば、強制わいせつ致傷罪が成立すると考えられるため、こうした容疑をかけられているのでしょう。
ただし、そもそも容疑者が強制わいせつ罪に当たる行為をしていないといった場合や、強制わいせつ罪に当たると考えられる行為と被害者の急性ストレス障害の間に因果関係が認められないといった場合には、強制わいせつ致傷罪は成立しないということになると考えられます。
強制わいせつ致傷罪は強制わいせつ罪よりも法定刑が重く、有罪になれば、無期または3年以上の懲役が科されることになります。(刑法第181条1項)
強制わいせつ罪、強制わいせつ致傷罪はどちらも罰金刑の定めがなく、有罪になってしまえば執行猶予付き判決を獲得しない限り懲役刑が科されることになります。
ですが、示談の締結などにより、不起訴処分や執行猶予の獲得を望める場合があります。
示談交渉を行う際には、トラブルなどを回避するためにも、弁護士を付けることが望ましいでしょう。
示談交渉でお困りの方や強制わいせつ罪、強制わいせつ致傷罪で逮捕、捜査されている方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。